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「中国人のマナーが良くなった」について、いろいろ言いたいことがあります

こんなツイートを見ました。

サムネで煽っていますが、実際の内容は中国人のマナーはどんどん良くなっているというものでした。その主張するところはこんな感じです。

・以前は割り込みや街中でのケンカは日常茶飯事だった(=つまりマナーはよくなかった)。
・いまも大半の日本人は、中国はマナーが悪いと思っている。
・でも、特に若者世代はマナーを意識して行動するようになっている。
・豊かになったことや、世界につながるようになったことがその理由だと思う。
・友達の中国人は、若者を中心にマナーが改善されているということを知ってほしいと言っていた。
・中国という国を一括りにして考えず、一人一人を見ることが大切だと思う。

反応としては賛否両論といったところでしょうか。

せっかくなので、僕もいっちょ噛みというか、このツイートに対する所感を述べてみることにしました。

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まず、「若者を中心にマナーへの意識が向上している」ということについては、ある程度正しいと言えると思います。

このツイート主がいうように、少し前までの中国の人々は、基本的にマナーへの意識は薄かったと思います。ツイート主がいう割り込みはもちろんのこと、ゴミのポイ捨て、ツバ吐き、街中での騒音、エレベーターでの喫煙、ところかまわず子どもにトイレをさせる親……なんでもござれです。

いまでも年配者を中心にそういう行為は街中に数多く見られますが、対して若い世代ほどそうした振る舞いを恥ずかしいものとして捉える傾向があります。たとえば中国人の嫁の実家に帰ると、嫁やその兄弟が、親世代の粗野な振る舞いを咎める光景を見たりします。

こうした変化はやはり国が豊かになったこと、教育が普及したことがその要因として大きいでしょう。経済が成長して国に余裕が出たことで、他者に配慮する余裕が生まれたのです。

中国はその成長スピードがあまりに急激であったため、世代間による文化の差がかなり大きいという側面はあります。でも、基本的にはこの流れは不可逆なものでしょう。

これからも世代を経るごとに、社会的なマナーへの意識は向上していくと考えられます。

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ただ、「日本人から見た中国人のマナー」でいうと、なかなかその溝が埋まることは難しいだろうな、とも思います。

しかしそれは、日本がマナーへの意識において特段に優れているとか、中国はそうはいっても遅れているとか、そういう話ではありません。前述したようなこともあり、マナーへの意識の差それ自体は、おそらくどんどん縮まっていくことが予想されます。そのあたりは時間の問題だと思います。

ただ、いくら中国人のマナーへの意識が向上したとしても、そもそも「何をマナー違反とみなすか」という点においてはどうでしょうか。

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