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「中国は独裁国家だから、国民が政府を支持している」←本当か? という話

Twitterを見ていると、こんな記事が流れてきました。

以下引用です。

世界の民主主義国家では経済を巡る悲観的な見方が広がる中、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への対応を巡り、政府に対する国民の信頼感が過去最低に落ち込んでいることが調査で分かった。

政府やメディア、企業などへの信頼度を調査しているエデルマン・トラストバロメーターによると、中国など複数の独裁国家では逆に国民の信頼感が高まっているという。

上掲記事より

これに対して、Twitterでは少なくない数の「独裁国家なんだから当たり前だろう」「情報が統制されているから、国民は政府に都合のいい情報しか知らされていないんだ」という反応があったように見えました。

それってどこまで本当なのかな、というのが今日の趣旨です。

データを見にいってみた

上の記事で政府への信頼度の根拠とされているEdelman Trust Barometerのページで、元となった調査データを過去の分まで見てきました。それによると、確かに中国の人々の政府への信頼度は高い水準で推移しています。雑ですが、取り急ぎ過去10年分をグラフにしてみました。比較用に日本の数値も入れてあります。

Edelman Trust Barometerの毎年データから筆者作成。年次は調査結果の発表年であり、実際の調査はその前年に行われている)

おおむね80%以上の人が政府を信用しており、パンデミックがあったここ2年では90%台に達しています。

2010年以前のデータでは70%を下回ることもあったようですが、どちらにせよいわゆる「独裁ではない」国と比べて、中国の人々は政府を高く評価しているのは間違いなさそうです。

では、その理由って本当にTwitterのみなさんの言うように「独裁だから」「国を批判する自由がないから」なのでしょうか(中国が本当に独裁国家であるかどうかは別に議論が必要ですが、ここでは仮に独裁であることを前提とします)。

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