「中国、若者失業率の発表を停止」についての雑感。「優しい嘘」はいつまで通用するのか
急きょ予定を変更して、今日のニュースから書きます。
そのニュースとは、中国で若者の失業率の公表が一時とりやめになった、というものです。
若者の失業率の高さは今年に入ってから何度も話題になっていて、毎月ごとに過去最高を記録したということで、大きな議論を読んでいました。
統計局の説明では、この措置は「労働力統計調査の改善」のためだということになっています。具体的には、若者(この統計調査では16〜24歳)における学生の占める割合が高くなってきており、求職活動をしない学生を調査に含めることは社会の実情に則していないので、手法を見直すために一時とりやめる、という理屈です。
もちろん、このロジックを信じている人はいません。発表される失業率がどんどん高くなり続けてきたなかで、突然のこの発表。みんな、「あまりにも若者失業率が高くなったので、公表できなくなったのでは」と思っています。
規制が厳しく、なかなか好きなことを言えない中国のSNSでさえ、この件については皮肉めいたコメントが並んでいます。
こうした「都合の悪い統計や情報は、あえて公表しない」というのは中国にお決まりのムーブではあるのですが、その程度は少しずつ強まっているように見えます。
たとえば先日は、エコノミストや調査会社などに対して、経済について悲観的なコメントを控えるように通達が出たという報道がありました。特に中国をデフレであるとするのは御法度だということです。
ソースは英語圏のものが中心で、その真偽は定かではありません。しかし、先述した失業率公表取りやめと同時に、統計局の報道官は「中国はデフレではなく、これからもデフレになることはない」と発言するなど、それを裏付けるような話は随所に聞かれます。また、近年の過剰なまでに「正能量」を押し出そうとする「公式」の姿勢とも一致します。
生活者の実感としては、物価上昇はある程度のところで止まった感があるし、不動産に関しても悪いニュースばかりが聞こえてくるしで、デフレではないと言われてもとうてい信じられないのですが、国はあくまでそう言い張るつもりのようです。
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以下、こうした現状への雑感です。
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