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〖 エッセイ 〗パソコンができない私。

今年学びたいことそれはパソコンだ。

お恥ずかしながら私はパソコンができない。
パソコン以前にめちゃくちゃ機械音痴だ。

ローマ字も読めるし、かろうじて打つことはできるのだが、「えっとgは…」のように一個一個探しながら打つため猛烈に遅い。
日が暮れるとはこのことである。

いいわけをさせてほしい。まず貧乏だったゆえに家にパソコンなんてものはなかった。
母も同じ理由でパソコンを学べなかったそうだ。
母の時代はパソコン授業がそもそもなかったらしい。

私はというと小学生の頃、パソコンの授業というものが、ごく稀にあった。
だが、かなり自由なもので、やり方を教えるというよりも「自由に各々調べものしましょう。」というものだった。
自由にやらせる前にまずやり方を教えてくれ。

現在では本格的にパソコンの授業があるらしい。今の子がなんだか羨ましい。

そんなんでこんなで、ろくにパソコンを学べず、中学生になったのだが、いざパソコンの授業でとても困った思い出がある。

担当の先生が最も子どもたちに恐れられていた怖い先生だった。身体が熊のように2m近くある巨体で、しかも太っていることから陰で『熊』と呼ばれていた。
そのくせ苗字は「小手」だった。小手どころかグローブぐらい大きい手だったが。
熊はどんな些細なことでもすぐ怒る。そして怒鳴る。また熊のような見た目で野太い声を出すため、
子供たちはみな震え上がるのだ。

担当がよりによって、熊か!最悪だ。
私は絶望した。
果たして無事に乗り越えられるだろうか。


いざ授業の日。
詳しくは覚えていないのだが、確か生徒にそれぞれ紙が配られ、そのパスワードを入力しなければならないことになった。

「ローマ字が読めないやつは俺が教えるから聞きなさい。パスワードだから人には聞かないこと。
分からなければ俺にいいなさい。」と熊がいった。

案の定このとき私はあまりローマ字が読めなかった。
読めるものもあったが、分からないものもあったのだ。

そのパスワードにTの文字があったのだが
私はTが読めなかった。

仕方なく、そろ〜と挙手。めちゃくちゃみんなこっち見とる。ぎゃー恥ずかしい!!

熊は怖い顔で私のところへゆっくり近づいてくる。
森で熊に遭遇したら、こんな気持ちなのかと心臓がドクドクする。熊は私の前で止まると

「それは、“ ティー ”だ。」
めちゃくちゃネイティブにいった。
見た目によらず、すごい発音いいやん。
危うく吹き出しそうになった。

自分の中でツボり、それからしばらく母に紅茶を出すときにいつも、発音よく野太い声で「“ティー”だ。」と真似して出していた。
母にはなんなのそれといわれたが。

その後パソコンをいじったはずなのだが、全く記憶にない。一体何をしていたんだ私は。

覚えているのは「分からなければ聞きなさい。」というので、なんでもかんでも聞いたら「少しは自分で考えなさい!」と怒られたことくらいだ。


そんな苦い思いからいつかパソコンを習得してやると思いつつ、この歳になった。あれから何十年経つのか。ズボラにも程がある。

もちろん私もパソコン習得を試みたことは何回もある。
一万円くらいの安くて、やたら起動の遅いパソコンを買った。
だがいつも気付くとパソコンを開かなくなっているのだ。
パソコン教室に行けばいいのかもしれんが、高すぎるゆえ行けない。

ちなみに私には兄がいるのだが、兄は大学でパソコンを専門に学んでいたため、とてつもなくパソコンができる。分からないものはないといった感じだ。

ならば兄に教えてもらえばいいではないかと思われるかもしれんが、私はなんせ兄が苦手だ。
(詳しくはまた別で書こうと思う。)

それでも心を鬼にして「教えて!」と頼んだこともあったが、「タイピングができるようにならなきゃ話にならん。」といわれた。こんちきしょうめ。

兄を見ていていつも思うのだが、できない人からすると、一体何をそんなにカタカタと打っているのか疑問である。( 疑問点の素人感がすごい。)

特に仕事でなく、プライベートでパソコンを使っているときは、一体何時間も何をしているのだろうと不思議だ。

人がカタカタカタカタと素早く手を動かす姿は凄まじくかっこいい。問診のときのお医者さんなど話よりもつい手に目がいってしまう。
仕事できる感じがかっこいい。
私も早くカタカタしたいのである。

そこで今年こそはパソコンを学ぼうではないか。
おもちゃみたいなダサダサパソコンではモチベーションがイマイチ上がらないので奮発していいものを買い、挑戦してみようと考えている。
今ではyoutubeでも親切に教えてくれる人がいる。

冬は高熱費がバリ高なので、お金の都合上、時期は夏頃と見ている。果たして私がパソコンを使いこなせるときが来るのか、というかその前にパソコンを買えるのか、未知の世界である。

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