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〖 エッセイ 〗回転寿司でやらかした。


2、3年ぶりに母と回転寿司に行ってきた。

コロナもあったので足が遠のいていたが、お寿司は大好きだ。

といっても、エビしか食べられないのだが。

エビしか食べられないのだが。

大事なことなので2回いってみた。

生魚がどうも苦手なのである。

だが驚くなかれ。皆さんもご存知のとおり、エビだけでも回転寿司にはいろいろな種類がある。

普通のエビはもちろん、エビアボカド、あぶりエビチーズ、えび天にぎりなどなど。種類豊富な品揃えだ。

味を変えながら、ひたすらエビだけを食べ続けるという偏食ぶりである。

寿司を食べに行くというより、もはやエビを食べに行っている。

よく飽きないね。と毎度いわれる。

さすがの私も最後の方は決まって飽きる。

だがしかし、兄の友人に回転寿司で、肉しか頼まないという人がいるから、私はまだマシな方なのだろう。

しまった。エビの話は全く本題とは関係がない。
早々に脱線してしまったので話を戻そう。

母が回転寿司に着くなり、トイレに向かう。

「トイレ行くから先に席座ってて。」

私たち親子は異様にトイレが近いのである。

仕方ないので1人テーブル席に向かう。

私たちの席は一番後ろだった。
席が一番後ろだとトイレ行くときに皆んなの視線を感じるんだよね〜、なんて思いながら座る。

いつもとなんだか少し違和感が。

机の中心にところに、フタが2枚ついていて微妙にズレている。

ん?なんかズレとる。てかこんなの前あったけ?
定員さんが閉め忘れたのかな…

とあまり深く考えずに蓋を閉じる。

そのまま、母が来るまで1人ぼっーとする私。

「お待たせ。」

母が戻ってきてはっと気付く。

あれ、お茶用意してない。慌ててお茶をくむ。

母が来るまで時間があったのに、来てから用意する。
なんて要領が悪い娘なんだ私は。と思いながらも何頼む?と聞くと

「あれ?お箸とかお醤油は?」と母。

本当だ。あれ?どこにあるんだろう?

いわれてから気づく。大丈夫か私。

探してみるけどどこにもない。

しばらく来ない間にいつの間にかセルフになったのか?

「ちょっと取ってくる。」

そういって席を立ち、レジの方に向かうと
お箸やお醤油のセットがたくさん置いてある場所があった。

あ、ここから持ってけってことね。

その一式を持って自分の席に戻ろうとすると

「お客様、どうされましたか?」

定員さんがびっくりした様子でとんできた。

「あ、えっと、お箸を持っていこうと思いまして…」

「あの、お箸やお醤油等は… テーブル内に収納しております。」

すると定員さんは誰もいないテーブル席の机で丁寧に説明してくれた。

「このフタを退かすと中に入っているんです。」

え!いつの間にそんな掘りごたつみたいな収納になったの?

そこで気付く。あ。私、フタ閉めちゃったわ。
フタが微妙にズレていたのは、
わざわざ分かりやすいように、フタをズラしておいてくれていたのか。
そんな優しさを無視して、私、フタ閉めちゃったわ。

全然気づかなかった。気付かない自分がもはや怖い。
そしてもし定員さんに声をかけられなかったら、そのまま堂々とお箸セットを持って帰った自分を思うと怖い。どう見ても目立つし、きっとみんな私を見てひそひそしたことだろう。

教えてくれた定員さんには心から感謝の気持ちでいっぱいである。

「あはは。そうなんですか、ご丁寧にありがとうございます〜。」

何も気にしてません私はという感じを装って、お礼をいい、席に戻る。
さぞ顔が赤かったことだろう。

ことの次第を母に説明をする。

「お箸ここに入ってるんだって!」

パカッ

本当だ〜!定員さんのいうとおり。すご〜い!

「最初来たとき、わかりやすいようにフタをずらしてあったんだけど私、知らなくて閉めちゃったわ。」

「普通、気付くよね、フタがズレていたら、なんだろう、これ?って見るじゃない。」

母、呆れ顔。

「あはは。だよね〜。」

必殺、笑ってごまかす。

その後、恥ずかしさを紛らわすように、エビをたらふく食べた。(単にお腹が空いているだけだったが)

とほほ。回転寿司でさえも、恥をかく私であった。


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