【創作小説】佐和商店怪異集め番外編「バレンタイン」
バレンタイン。
この日、菫は榊を自分の部屋に招待していた。手作りチョコを振る舞う為だ。
オフホワイトのゆったりしたセーターに、ワインレッドのロングスカート。髪をハーフアップした姿で出迎えた菫を見た榊は、一瞬見惚れる。
「晃さん?」
「可愛い」
ふわりと頭を撫でられ、菫は恥ずかしそうに目を伏せた。
「ありがとうございます。バレンタインですし、部屋に来てもらうので、たまには良いかな……って」
「似合ってるぜ。これからも見たい」
「ど、どうぞ」
照れから少しパタパタと中へ戻る菫を、