【短編ホラー小説】短夜怪談「公園のベンチ」
会社近くの公園には、木製のベンチがいくつかある。昼時などは、多くの人々が利用するのを見掛けた。だが、一つだけ、いつ見ても誰も座っていないベンチがある。周りのベンチはどれも人で埋まっているというのに、だ。ある日の昼休み。後輩を伴って食べに出る。件の公園に差し掛かった時、後輩の顔が曇った。
「どうした?」
「この公園のベンチ、嫌なんですよね。奥にあるやつ」
「ベンチ?」
言われて、公園内のベンチを見る。あの、誰も座っていないベンチが直ぐ飛び込んで来た。
「どっかの家か、建物の廃材