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佐和商店怪異集め

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短編連作の創作小説「佐和商店怪異集めシリーズ」をまとめています。 夜はお化けがわんさか出るコンビニで働く女子大生・芽吹菫と、呑気な先輩おじさん・榊晃次郎は、どちらも霊感ありの凸… もっと読む
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記事一覧

【創作小説】佐和商店怪異集め「間違わない」

夕方の佐和商店。 「ーー榊さん」 (ん?) 客のいない店内で、榊は一人、棚の整理をしている…

宵待昴
2週間前
7

【創作小説】佐和商店怪異集め「ゲーム」

「すみちゃん、最近そのゲームずっとやってるな。どんなゲームなんだ?」 休憩中。事務所にや…

宵待昴
1か月前
4

【創作小説】佐和商店怪異集め「足音と守り刀の活躍」

いつもの佐和商店。 じゃんけんに負けて倉庫に来ていた私・芽吹菫が、電気を消して売り場へ戻…

宵待昴
3か月前
4

【創作小説】佐和商店怪異集め「行く年の瀬に」

二十四時間営業でないコンビニ佐和商店の話。 大晦日。 年末だけども勤務はシフト制なので、…

宵待昴
4か月前
4

【創作小説】佐和商店怪異集め「榊の誕生日」

いつもの佐和商店。 閉店後の片付けも一段落したところで、菫は傍らにいる榊を見やる。 「榊さ…

宵待昴
5か月前
4

【創作小説】佐和商店怪異集め「月は禁止」

佐和商店での仕事中、菫がぽつりと呟いた。 「今日、中秋の名月らしいですね」 榊は直ぐに反応…

宵待昴
7か月前
3

【創作小説】佐和商店怪異集め「防犯カメラ」

二十四時間営業でないコンビニ・佐和商店の話。 いつもの佐和商店。 閉店まであと少しという店内に、相変わらずお客さんはいない。 カウンター内にいる私・芽吹菫と榊さんだけど、榊さんが不意に真剣な表情で私を見た。 「すみちゃん……頼まれてくれるか?」 「何ですか、榊さん。改まって」 軽い気持ちで聞いたら、手を合わせて頭を下げられる。えっ、そんなに重大な頼み事? 「俺と一緒に店の防犯カメラ見てくれ……!」 一瞬、榊さんの言葉が理解出来なかった。ええと。 「防犯カメラ?……有ったんだ

【創作小説】佐和商店怪異集め「線香花火」

ちりちり、バチバチ、と音がする。 それは倉庫の方からで、私はカウンターから顔だけを倉庫に…

宵待昴
7か月前
14

【創作小説】佐和商店怪異集め「幽霊の日」

※7/26の幽霊の日にちなんで 佐和商店の閉店後。 菫と榊はカウンター内にいた。菫が入口のド…

宵待昴
9か月前
2

【創作小説】佐和商店怪異集め「HappyBirthday Violet」

※菫の誕生日は6月30日です。 「菫ちゃんお誕生日だって!?おめでとう!仕事してて良いの!…

宵待昴
10か月前
2

【創作小説】佐和商店怪異集め「瓶詰め」

大学帰り。 陽が落ちて暗い。 私・芽吹菫は一人で帰路についている。いつも通りに歩いていたん…

宵待昴
10か月前
5

【創作小説】佐和商店怪異集め「榊家の一幕」

「あら〜いらっしゃい。二人揃ってどうしたの?」 日曜の昼下り。 榊家には、晄一郎と晃次郎の…

宵待昴
11か月前
3

【創作小説】佐和商店怪異集め「琥珀色の記憶」

琥珀色をした明かりのことを、榊晄一郎は今でもよく覚えている。 夏だった。晄一郎とまだ幼い…

宵待昴
11か月前
4

【創作小説】佐和商店怪異集め「端午の節句」

二十四時間営業でないコンビニ佐和商店の話。 今日は五月五日。端午の節句。 「じいちゃんへの預り物、ちょっと置いてくねー。明日持ってくから」 店長の吉瑞さんがそう言って、古くも立派な五月人形を倉庫に置いていった。 「これは何の謂れがあるんだ?」 夜勤の時間帯。私・芽吹菫と店にいた榊さんが、半眼で吉瑞さんを見る。佐和家の私物は曰く付きが多いのだ。 「知らん。でも何か人の良さそうな人から預かったし、悪いことないと思うよ。じいちゃんが明日来るから、よろしくねー」 吉瑞さんは一緒に持