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【#76】自分の世界を広げる小説5選

こんにちは!
今回は本の紹介ネタです。

これまでにも本の紹介記事は何度か書いてきました。

ただこれまでは読書習慣のない人に向けた紹介記事という設定でメジャーで読みやすい本をピックアップしてたんですが、今回は割と容赦なく読むのがタフな本も入れてみました。

というのも今回のテーマは

小説を通して専門領域に触れる

としてみたからです。

僕は1on1で生徒とコミュニケーションを取っていくタイプの指導スタイルなので、できるだけ幅広い知識を持っていたいと思っています。
テニスをやってる生徒、バンドをやってる生徒、言語に興味がある生徒、生き物に興味がある生徒…。
自分の好きなことについて話す時に、相手が「ちょっと知っている程度の素人」だと結構話しやすいじゃないですか?
完全な素人だと説明に手間がかかりすぎるし、相手が玄人すぎても自分語りが憚られます。
生徒にとって、自分の話をしやすい相手であるために、僕は色んなジャンルにおいて「ちょっと知ってる素人」でありたいと思っています。

そこで僕がよく活用するのが小説です。

例えばテニスについて知りたければ

「テニス 小説」

と検索して、出てきた本を読みます。
僕は物語の中に織り込まれた知識が一番入ってきやすいので、この方法で色んなジャンルについて「ちょっと知っている素人」になろうとしています。

今回はその手法に基づいて、それぞれ美術・経済・音楽・言語学・物理学をテーマにした小説をご紹介します。

もしこれらの領域に興味がある人や、色んな専門領域に楽しみながら触れてみたい人がいたら、これから紹介する本を読んでみて下さい。

一応ちょっとしたガイドとして読みやすさを★の数で表現しました。
読書慣れしていない方は★が少ない本を、タフな本に挑戦したい読書通な方は★が多い本を選んで下さい。

楽園のカンヴァス(原田マハ)

読みやすさ:★

とうとう、みつけたわね。

ルソーの名画に酷似した一枚の絵。そこに秘められた真実の究明に、二人の男女が挑む。興奮と感動の傑作アート・ミステリ。山本周五郎賞受賞。

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは――。山本周五郎賞受賞作。

筆者の原田マハさんは元キュレーター。キュレーターとは美術展覧会を企画する人。「ゴッホ展」とか「近代西洋美術展」みたいなイメージです。つまり美術のプロ。
美術への深い造詣を活かした作品が多く「アートノベルの第一人者」とも呼ばれているそうです。

美術はとっつきにくい印象を持つかもしれませんが、読みやすい語り口とミステリー仕立てのストーリーでサクサク読めます。
僕はこの本を読んで美術への興味が一気に高まり、美術館へ行くのが3倍は楽しくなりました。

架空通貨(池井戸潤)

読みやすさ:★★

女子高生・麻紀の父が経営する会社が破綻した――。かつて商社マンだった社会科教師の辛島は、その真相を確かめるべく麻紀とともに動き出した。やがて、2人がたどり着いたのは、「円」以上に力を持った闇のカネによって、人や企業、銀行までもが支配された街だった。 江戸川乱歩賞受賞第1作『M1』を改題


街は暗黒の企業に呑み込まれた!

女子高生・麻紀の父が経営する会社が破綻した――。かつて商社マンだった社会科教師の辛島は、その真相を確かめるべく麻紀とともに動き出した。やがて、2人がたどり着いたのは、「円」以上に力を持った闇のカネによって、人や企業、銀行までもが支配された街だった。
江戸川乱歩賞受賞第1作『M1』を改題

「倍返しだ!」でおなじみ半沢直樹の著者の池井戸潤さんの作品です。
池井戸潤さんは元銀行員。お金のプロですね。半沢直樹シリーズもその経歴を生かした「銀行の裏側」を描いていることで有名ですが、今回紹介する架空通貨は

お金とは?

というところにより焦点が当たっています。

あらすじを少し補足すると「田神札」という独自の通貨が流通し、円以上の力を持ってしまった街のお話です。今でいう仮想通貨やトークンとも通じる部分があり、お金や経済への理解がぐっと深まる作品です。

楽園のカンヴァス同様に読みやすい作品ですが、経済用語が少し出てくるので(読みながら十分わかりますが)★ひとつ分、上げています。

船に乗れ!シリーズ(藤谷治)

読みやすさ:★★★

新生学園大学音楽科の創設者を祖父に持つ津島サトルは、プロのチェリストを目指し、一家の敷いたレールに乗っていたはずだった。しかし芸高に落ち、失意のまま新生学園大学付属高校に入学する。
サトルはそこで一流の音楽を奏でるため奮闘する同級生たちに出会う。フルートを奏でる美少年・伊藤慧とポニーテールの鮎川千佳。そして、見たこともない澄みきった目をしたヴァイオリン奏者、南枝里子。オーケストラの想像以上に過酷な練習は、彼らを戸惑わせる。夏休みのオーケストラ合宿、文化祭、南とピアノの北島先生とのトリオ結成と、一年は慌ただしく過ぎていくが……。
本屋大賞ノミネートの傑作青春音楽小説3部作が、人気漫画家・穂積さんの描き下ろしカバーイラストで新装文庫化!!

あまり知られていない作品ですが、名作です。
引用したあらすじの通り、高校生が主人公の青春小説です。

音楽小説の多くはコンクールや演奏会など「陽の当たる場所」を中心に据えたものが多いですが、これはその前段階である「音楽高校での学校生活」を描いています。とにかくリアルですし、それ以上にシビアです。音楽という切り口での苦労・不安・葛藤もそうですし、高校生の人間模様においても負の部分が容赦なく描写されます。「キラキラで甘酸っぱい」ではなく「ドロドロで苦い」青春小説。

上の2作と同じぐらい読みやすいですが、全3巻あることと、ドロドロ感のクセが強いところを加味して★3つにしました。特に人間(恋愛)関係のドロドロに耐性のない方は注意してください。

図書館の魔女シリーズ

読みやすさ:★★★★★★

鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる!

最近読んだ本。これもあまりメジャーではありませんが、とんでもなく面白い。ただとんでもなく読みにくい(笑)

味わいが特殊すぎて僕の説明能力では追い付かないので、とりあえず講談社の特設サイトにある書評家の方々のコメントを引用しておくと

完結してほしくない。延々と、この世界にひたり続けていたい。そんなことを思わせてくれるのは、わたしにとってこの「図書館の魔女」シリーズだけ。書評家人生を賭して、熱烈推薦します。 豊崎由美

権謀術数が渦を巻く、超スリリングな外交エンターテイメント。正真正銘、世界レベルの大傑作! 大森望

なんなんだこれは。読みながらこれほど楽しい小説は久々だった。 北上次郎

こんな壮大な世界、素晴らしい物語を短い「言葉」(このスペース)で表現することは僕にはできない。 勝間準

裏表紙を閉じたあと、私と同じようにつぶやくはずである。「すごい」と。 東えりか

著者の高田大介さんは言語学者。作中でも「言葉」に対する理解の深さが尋常じゃないです。ファンタジー小説ですが武器も魔法も出てきません。何ならほとんど戦いません。この世界では「言葉」こそが武器であり、魔法です。
「ペンは剣よりも強し」ということわざがありますが、この本を読めば「言葉」が持つ力をとことん味わうことができます。

ただ読みやすさで言うとかなりタフ。筆者の頭はどうなってるんだと思うぐらい情景描写が細かい上に、「そんな名詞初めて聞いたんですけど!?」って何度も思うほど知らない言葉がたくさん出てきます。辞書必須。読書慣れしている人が挑戦するには良い本です。

四季シリーズ

読みやすさ:★★★★★★★★★★★★

科学者・真賀田四季。
幼くして発現する、真の天才。
圧倒的人気のカリスマ、真賀田四季の物語、第1弾。

天才科学者・真賀田四季(まがたしき)。彼女は5歳になるまでに語学を、6歳には数学と物理をマスタ、一流のエンジニアになった。すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考するその能力に人々は魅了される。あらゆる概念にとらわれぬ知性が遭遇した殺人事件は、彼女にどんな影響を与えたのか。圧倒的人気の4部作、第1弾。

めちゃくちゃ好きな作品なんですが、めちゃくちゃクセが強いです。半分冗談で入れました(笑)

著者の森博嗣さんは工学博士。助教授職の傍ら執筆されていたそうです。ミステリーを多く書く方ですが、理系の人らしく論理的で理路整然まるで美しい数学の証明を読んでいるような気分になる作風です。『すべてがFになる』という作品はアニメ化もされ、有名です。

この本はミステリーというジャンルではないでしょう。もはや何のジャンルなのかもわかりません。シリーズ最終巻に至ってはほぼ「詩」です。抽象概念のオンパレード。頭に徹底的に負荷をかけたい方、天才の脳内を垣間見たい方は是非。


いかがでしたか?
どんな人にもおすすめできる3作と、読書通向けが2作。
どれも各専門領域の魅力がたっぷり詰まった作品です。

読書幅を広げてみたい人は是非挑戦してみて下さいね!

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