世界の終わりに、恋をして。


少女の背からは花が咲き
少年の目からは鉱石がこぼれる
神様のてのひらがやわらかく
朝と夜のあわいに幕を引く
でたらめな鼻唄を好むのは
誰も願いを告げないから
世界の終わりに、恋をして。


夜を泳ぐための魔法がほしくて
爪先を染めた青いろの
仄かなきらめきにキスをした
人魚姫の足が痛むのは
うまく呼吸ができないから
そっと手を引いて、名を呼んで
震えぬ喉でも歌えると笑おう


雨の降るにおいがするから
君が笑ってくれそうだった
透明なビニール傘を回す下で
小さな歌声が聞けたらいい
水槽に沈められた街みたいに
すべてが秘密の隠れ家になったら
ふたりぼっちで踊っていよう


ここまでお読みくださり、ありがとうございました