夜空に指切りをする


足元をさらってゆこうとする
午後、白い日の雨
爛熟する果実と似た香りで
朽ちていく花の重なりの隙間に
たぷりと満たされたのは誰の涙で
果てがないのは誰の願い事なのか
ビニール傘を投げ捨てた


砕いたこころに名前をつける
微睡んだままの仕草で
夜空に指切りをする
ぼくだけの神様が
囁いたのは寂しかったから
届かないはずの手紙が
その口唇から歌われるのを待った


手折られた こころの
亡骸は赤く燃えるあの花と似て
ひそませた蜜がこぼれる前に
触れていられたら良かった と。
先日の便りは届いたでしょうか
ゆっくり繰り返す瞬きの隙間に
誰の背中を見ていると言う


ここまでお読みくださり、ありがとうございました