最初の願い事はなんだっけ


しんとした夜には
月から夢が降る
拾いあげた指先が痺れたら
旅立ちの合図とすればいい
猫がにたりと空で笑えば
もう小細工もいりはしないさ
手を取る覚悟はできたかい?


冷めたマグカップの底
消え切らず残った泡
混ざりゆく、気がして
止めた呼吸では進めない
忘れ物の煙草の箱に
ひとつぶ、星を投げ込んだ
最初の願い事はなんだっけ


聞き馴染んだ唄を流して
かじかんだ指で画面をなぞる
「そちらはどうですか」
見上げた空に喉元の震え
擬態飛行の束の間
ふれた端から溶けてゆくのが
さみしさだったらよかった


ここまでお読みくださり、ありがとうございました