2023年3月の性癖短歌

2023年3月に詠んだ歌の中でわたしの性癖が色濃いものだけ集めてみました。需要あるかな?あったらいいな♪
連作8つと自選10首。

~連作8つ~

※カギカッコ内は各連作のタイトルです。


「君をついばむ鳥になりたい」


平均じゃ男が先に死ぬらしい来世はカタツムリになろうね

来世では結合双生児になれば君とおんなじ日に死ねるかな

君のことわたしなんかと心中をさせたくないと思う夕映え

どうしても死はバラバラに来るならば君をついばむ鳥になりたい




「さくらちるちる」


火葬場で爪は残るのかなちょうど桜が散ったようになるかな

かなちゃんがいつもたべてるてのつめがさくらみたいでぼくもたべたい

まだ君に恋してるから復讐の夢で桜の下に埋めたよ

ドブ川にさくらちるちる水死体になっても君はきっと綺麗だ




「恋してる。君の子宮の深海で。」


君という深海にただ愛されて目が退化したいきものになる

深海魚にはあすを見る目は無くて君の素肌の匂いがすべて

アンコウが羨ましいよ溶けあって君のからだになって生きたい

恋してる。君の子宮の深海で。君の内部に閉じこめられて。



「アオハル・リビドー」


暑いわとばさばささせるスカートが散らすあの娘の汗の香の羽

ふるふると君がわたしの太ももに置く手の甲へわたしの鼻血

くちびるに第二ボタンを押し当てて「呑んで」と君が強く見つめる

知っているいつかアオハル・リビドーも忘れつちまつた悲しみになる




「Yくんがいた小六の夏」


声域の差が開く夏Yくんはわたしのことを「女」と呼んだ

Yくんは初潮のときに血の川の向こう岸へと連れ去られたの

かき氷ほじくりながら昼ドラを初めて観た Yくんと「シたい」

小六の夏Yくんの花火からわたしの花火に火をもらうときセックスってこんな感覚なのかなって初めて思った

人生でいちばん「女」してましたYくんがいた小六の夏



「わたしには欲情しない先生が好き」


初恋でとろけたアイスクリームになったわたしを啜って、先生

穴が開くほどに心を見て、先生。フェルメールがグリートにそうしたように。

先生はわたしが波に攫われて遠ざかるのを成長と呼ぶ

夕日差すふたりの教室(へや)でわたしには欲情しない先生が好き

「地獄絵に見惚れる吾子の横顔に奇麗に育つ兆しのありて」


地獄絵に見惚れる吾子の横顔に奇麗に育つ兆しのありて

台風にはしゃぎし吾子はかみさまは護ってばかりくれると信ず

ひゃくねんのあいを約束させられてシロツメクサの鎖を指へ

吾子よおまえが人を狂わす悪女へと育てど可愛い可愛い娘



「君という人」


他所様の庭でぱきっと花を折りサイダーの缶へと挿した君

ミント色のエレキギターを弾きながら君はわたしを海に喩えた

死のように安らかなりて君の腕(宇宙のついでにわたしも抱いて)

芸として舌で煙草の火を消したようにわたしも殺してほしい

~自選10首~


軟骨に君の誕生石を入れ骨まで所有されて痺れる

私たちおしゃれな愛は知らなくてふたりで死体を埋めに行きたい

美しい絵画のような横顔にわたしの指で穴を開けたい

そのおっぱいわたしも酔って揉みあったよ君の赤子に圧を送った

肉じゃがを煮込みつつ待つ煮崩れるほどにあなたを想いつつ待つ

君の言う「馬鹿」とわたしの「ヤな奴」はどちらも「愛い」の隠語なのです

君の手が髪をひと撫でするたびに溶けたアイスが寄せては返す

事後、ひとつだった肉体(からだ)を切断するあの感覚が不思議なんです

寂しさを煮詰めて飲むとほんのりと君の唾液の味がしました

十歳で拾った貝が今見ても綺麗で中で君を飼いたい


ここまで読んでくださり、ありがとうございました!来月もよろしくお願いいたします^^(by須藤はる)


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