須藤はる

小説を書いています

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最近の記事

五月自選十首

こんにちは。四月はあまり詠めなかったので、五月は色々と詠めて嬉しかったです。 梅雨が来ますね。めんどくさーい。でも、頑張って…いや、頑張らずにほどほどで、のらりくらりと六月も生きていきましょう。 以下、五月自選十首です。 ┄┄┄┄ 流れ星流れる君が理不尽を許すときする眉の角度で 『大丈夫』そう吾子に背で語るため未婚の母のプリキュアは行く 『先生へ。泡になります。』の手紙以来石鹸を泡立てると熱い 王冠が折り紙製と気づき子はおうさまでない自己と向き合う 僕たち

    • “言葉での自傷”と“セルフ埋め合わせ”について

       こんにちは。蒸し暑くなってきましたね。かと思えば、まだまだ肌寒い日もあったり。体調を狂わされている人も多いことと思います。  ところで、  『私なんか』が口癖になっていませんか? 口に出さずとも、心の中で『私なんか…』とそればかり考えてはいませんか?  私なんか、どうせ何やってもダメだし。私なんか、社会のゴミだし。私なんか、みんなの嫌われ者だし……  だから、死にたい。だから、消えたい。生きててごめんなさい……  そんな風に考えてしまってはいませんか?  だとし

      • 人に期待してみる生き方

         こんにちは。春ですね。  自己啓発系の本やYouTube動画などでは、“人に期待しない生き方”が推奨されがちですが、個人的にはどうもしっくりと来ません。だって、自分が期待される側だったら嬉しいし、頑張れます。「私なんかに期待されても…」と思う心理状態より、「よくぞ期待してくれた、任せてくれ!」と思えるほうが健康的なようにも感じるのですが…。  もちろん、自分にとっての頑張る動機が“人に期待されたから”という、ただそれだけではダメなことも、過度な期待が人を縛ったり、潰して

        • 2023年3月の性癖短歌

          2023年3月に詠んだ歌の中でわたしの性癖が色濃いものだけ集めてみました。需要あるかな?あったらいいな♪ 連作8つと自選10首。 ~連作8つ~※カギカッコ内は各連作のタイトルです。 … 「君をついばむ鳥になりたい」 … 平均じゃ男が先に死ぬらしい来世はカタツムリになろうね 来世では結合双生児になれば君とおんなじ日に死ねるかな 君のことわたしなんかと心中をさせたくないと思う夕映え どうしても死はバラバラに来るならば君をついばむ鳥になりたい … 「さくらちるちる

        五月自選十首

          蒲公英が土に綿毛を撒くような ~月刊うたらば「土」に応募した歌たち~

          月刊うたらば「土」に応募させていただいた歌たちです。残念ながら採用はありませんでしたが、自分にとってはどれも大切な作品なので、ここで紹介させていただきます。 ―― 犬は死後、花壇の土に溶けこんで育む側の喜びを知る 永劫に生命体を知らぬまま土星は今日も死を司る 撃ち殺し記憶の土に埋めた過去が咲かす光の色の蒲公英 雨雲は豪雨を土に打ちつけて傷つくだけの性交でした やっと知る盛られた毒は母なりに土に肥料を撒いたつもりと 父からの不器用な愛ぽつぽつと種を土へと落とすのに

          蒲公英が土に綿毛を撒くような ~月刊うたらば「土」に応募した歌たち~

          創作BL「僕からのチョコをあなたはカレーに入れた」

           羽海(うみ)に渡すチョコレートを選ぶ。羽海は腐ったもの以外はなんでも喜んで食べるので却ってどれを渡せばいいかわからない。そもそも、羽海の性格上、僕のあげたチョコレートをほかの誰かとシェアして食べてしまう可能性すらあった。彼は独占欲や執着といったものと縁遠い。渡した本命チョコを羽海に独り占めしてほしいなんていう僕の気持ちを理解することもないだろう。それでも僕は羽海にチョコレートを渡したかった。プレゼントをするのが好きな人間は所有欲が強いのだと何かで読んだことがある。僕もそのう

          創作BL「僕からのチョコをあなたはカレーに入れた」

          離れたら呼吸できなくなりたい

           この心臓の鼓動は僕を安心させるためにあるんじゃないかって思い上がるほど愛されていた。  「花野子(かのこ)さん、俺はあなたの目の届かないところには行きたくない」  僕が言うと、彼女は優しく笑って  「ダメだよ」 と言う。  「君は自由にならなきゃいけない」  嘘吐き、と思う。僕を手放す気なんてないくせに。僕がどこにも行かない、あなたの手のひらの上だけを這いずる獣になるよう、日々、刷り込んできていることに僕が気づいていないとでも思っているのか。だから、僕からもお返しだ。  「

          離れたら呼吸できなくなりたい

          たっくん

          (※前作の「くみくん」と同じ世界線です)  初めて出会った日のたっくんはどこから来たのか知らないけど、死んだような目をして、マジで今すぐ川に飛び込みそうだったので、あたしは初対面で「スロット、行こうよ」って誘ったんだ。「アガるよ」って。そしたら、たっくんは、興味なさそうにしながらついてきた。断るほうが面倒くさかったんだと思う。たっくんの歳は聞かなかったけど、成人はしてたっぽいから、入店できた。金も持っていたらしかった。あたしはいつも打っているまどマギの台の前に座った。たっく

          小説「くみくん」

           くみくんは馬鹿でろくでなしのくせに、すぐ葛藤するので、あたしが悩み相談に乗ってあげている。彼は本当に馬鹿で、本当にろくでなしで、二人の女性を同時に好きになるなどしては二人ともと両想いになり、肉体関係を持ち、やがてバレて二人がかりでボコボコに殴られ、蹴られ、流血沙汰を引き起こすなどしている。そうしておいて「流れたのが俺の血だけでよかった」と真顔で言うなどしている。馬鹿だ。あたしは頭の悪い奴と話していると反射的に手が出そうになる。普段はもちろん、堪えているが、くみくんなら殴って

          小説「くみくん」

          小説「巻き戻せないから」

           一週間くらい前に作ったシチューがまだ腐ってなくて美味しかったから、たぶんこれは、何もかも大丈夫だということの示唆だと思う。明日、きーちゃんと別れなくてはいけない。クズだから、捨てなくてはいけない。さゆがそうしろって、カフェで話してても電話でもメッセージでも、あまりにもうるさく言うから、さゆは本来、人に指図するような性格ではないのに、言いづらいことを口を酸っぱくして言ってくれてるんだろうし、親友だし、きーちゃんよりさゆのほうがまともな人間であることは確かなので、さゆの言葉に従

          小説「巻き戻せないから」