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クラウド円簿レビュー

こんにちは、山梨県北杜市のまちの税理士です。
まちの税理士が始めた小規模事業者向けのサービスでは、会計入力・給与計算についてクラウド円簿を利用しています。
今回はクラウド円簿についてレビューしてみたいと思います。

(参考情報)
小規模事業者向けのサービスは、令和5年3月に立ち上げたばかりなのですが、すでに契約者は4件(令和5年4月末時点)になりました。
内訳は、不動産所得で青色申告特別控除65万円を受けたい方が1件、新規設立法人が2件、収益事業を開始した任意団体が1件となっています。


1.クラウド円簿の概要

クラウド円簿を運営しているのは、株式会社円簿インターネットサービスという会社です。
クラウド円簿の特徴は、下記のとおりです。

・インターネット環境とブラウザがあればインストール無しで使えます。
・すべての機能がずっと無料、アップデートも無料です。
・パソコン、タブレット、スマホ、どの端末からでも操作可能で、WindowsでもMacでも使えます。

株式会社円簿インターネットサービスのホームページより

株式会社が運営していて、システムを無料で提供できるということは、マネタイズは広告収入であると推測できます。
また、下図のとおり、システム以外のコンテンツも非常に充実していると言えます。

マネー知識に関する情報提供
助成金・補助金等の情報提供
書式文例集

あくまでも個人的な意見ですが、利用者負担がないサービスを高いレベルで提供していることを鑑みれば、株式会社で運営するよりも公益法人で運営した方が収入が得られるようにも思われます。
余計なお世話だと思いますが(笑)。

2.クラウド円簿の良い点

(1)無料のクラウドサービスであること

概要部分と重複してしまいますが、デバイスを限定せずに会計入力及び給与計算ができ、しかもそれが無料で利用することができることは最大のメリットだと思います。

会計入力するソフト
給与計算するソフト

(2)【円簿会計】無料でも、シンプルに複式簿記ができること

簿記の知識がある方であれば、次の入力方法でシンプルに複式簿記ができます。
①現金及び預金取引
「通帳入力」で入力をしていきます。
「複合仕訳入力」ですと、借方と貸方の両方に科目・金額・摘要を入力しなければならず手間が掛かってしまいます。
現金及び預金取引以外の取引
「仕訳パターン」に登録しておいて定型仕訳として入力していきます。
「仕訳パターン」に登録するものとしては、発生主義で処理するための売掛金の計上や買掛金の計上、月次損益を適正に把握するための見積減価償却費の計上や月末が土日休日で預金支払が翌月初に回ってしまう場合の月末における未払金・未払費用の計上などが挙げられます。

(3)【円簿給与】無料でも、機能が網羅されていること

月々の給与計算以外に、年末調整、社会保険の標準報酬月額の改定、労働保険の年度更新処理にも対応しています。

3.クラウド円簿【円簿会計】の改善点

更なるシステムの改善を期待する意味を込めて、挙げさせていただきます。

(1)クラウドの動作環境の改善

ユーザー数が増えているため、アクセスが集中する場合には動作が著しく遅くなってしまいます。
一応、下記のお知らせがホームページにアップされていました。

アクセス集中によりご迷惑をお掛けしております。
2023年2月22日 15時55分
日頃より大変多くの方々にクラウド円簿をご利用頂き、厚く御礼申し上げます。
本年度は、弊社の想定を遥かに超える新規のユーザー様にもご利用を開始いただき、一部にアクセス集中による「遅い」等のご意見を頂戴しております。ご迷惑をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございません。
登録されたデータ方は弊社の二重化されたデータセンターに保存されておりますので、ご安心いただき継続してご利用いただければと思います。
弊社では本年2023年度の前期には、大規模なサーバーの移設、増強を計画しており、状況改善の上で将来的にも安定したサービス提供に努める所存でございます。
皆様には時節柄のご不便をお掛けしておりますが、何卒のご容赦と今後ともクラウド円簿のご愛顧を、宜しくお願い申し上げます。

クラウド円簿のホームページより

(2)インターネットバンキング取引及びクレジットカード取引との連携

クラウド会計システムでは、インターネットバンキング取引及びクレジットカード取引と連携できるのが主流になっています。
一応、下記のお知らせがホームページにアップされていました。

銀行や会社用クレジットカード等の直接データを導入できますか?
金融機関等との連携は対応しておりませんが、現在計画中ですので詳細が決まりましたら別途ご案内いたします。

クラウド円簿のホームページより

(3)請求書発行システムの追加

令和5年10月1日以降に導入される消費税のインボイス制度に対応した区分記載請求書が発行等できるシステムの追加を望みます。
専門的な話になってしまうのですが、売上に係る消費税を積上げ計算する場合には、請求書の消費税相当額と会計帳簿の消費税相当額が完全に一致している必要があります。

(4)法人の事業年度変更等への対応

新設法人や事業年度変更した法人は、事業年度が12か月未満になる場合がありますので、事業年度の月数を調整できるようなシステム改善を望みます。

(5)かんたん入力の設定

現状ではある程度簿記の知識が必要になるシステムになっていますので、他の会計システムのような「かんたん入力」の設定が欲しいです。
例えば、「携帯通話料を支払う」という選択に対して、自動で「(借方)通信費/(貸方)普通預金」といった仕訳が計上できるような設定です。

4.まとめ

無料であることを考えれば、現状でもクラウド円簿は素晴らしいシステムであると考えます。
個人的には、オプションで有料にしてもらってもいいので、「3.クラウド円簿【円簿会計】の改善点」はクリアしてもらいたいと願っています。

最後にクラウド円簿の情報は、↓で入手できます。
・ツイッター https://twitter.com/yenbo_jp

・Youtube 円簿動画チャンネル


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