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地獄でも笑い飛ばしたい 


謝罪


笑い飛ばす前に
真摯に謝らなければならない。
急遽休みをもらった職場
保護、捜索してくれた警察
突然でも受け入れてくれた病院
心配や対応してくれた入所先の施設
本当に申し訳ありませんでした。
もちろん頭を下げて謝ってはきたがそれで済むことでもない、本当に申し訳ありません、の一言。

はじめに「母は病」

母は精神疾患だ
私自身も罹患リスクが高そうだし、偏見はない
病である以上責められない
だけど身内としての苦労は独特。
そんな私の経験談。


私の思う負担


他害はないが奇異な言動で通報されがち。
身寄りが私しかいないので行かなければならない


・家族だから、って圧力
・身寄りが私ひとり
・親って何、勝手に産んでおいて

これが私の感じている負担。




呼び出し

仕事中、大都会ど真ん中へ呼び出される
「通報により母を保護してます」
仕事中にこの連絡これで3回目。
どうなっても知るか
沸々とわく殺意を剥き出しにする訳にもいかず

ただただ職場に頭下げ、迎えに行く。

対面

着いてまた頭を下げる
母は「ごめんね、セイ」
「ごめんで済んだら警察いらんわ!
誰に謝ってんねん、私ちゃうやろ。
それに謝るようなことすんなや。」
以下罵詈雑言
ごめん最低な子で。

不測の事態、しかし驚きはない

「関西に連れて帰る」と告げると
「昨日泊まったネットカフェの支払いができていない。」
踏み倒しではなく利用途中の出入りで保護されたらしいが、こんなの朝飯前。
駅へ向かう途中で寄り、母をタクシーに残して支払いを済ませる。

「ごめんね」
「だから謝んな、許さん。」
「いや産んでからのことずっとごめん。
殴ったり酷いこと言ったね、辛い思いさせたね。」
「謝って許されることなん?自分の気持ちの為に謝んなや」
「でも謝らないと、許してもらえなくても。本当にこれまでずっとごめんね。最低な親でした、ごめんなさい。」
今生の別れのような馬鹿丁寧な挨拶、お礼

「もういいから、病気がさせたことやし美味しいお弁当でも食べながら早く関西へ行こう。」精一杯の優しさを返す

迎えに行く間に住んでる施設へ謝罪
病院へ緊急受診手配済み
無茶なお願いにも応じてくれて本当に救われた
ことごとく足を掬ってくるのは唯一の肉親である母!


不測の事態に狼狽える『消えた』

イライラと悲しさで上手く新幹線の切符が買えず
買い直そうと券売機に向かった僅か1、2分に

    やられた、消えた…

電話の電源も切られる。

まさか迷惑かけたことを気に病んで死なれたら…
あれだけ殺意が沸いていたのに
自分のせいで死なれたと思うと後味悪いし、やっぱ悲しいらしい。

悪かったよ…涙が出てくる
泣きながら駅内をウロウロして探す。

これ実に無駄な涙と周囲に多大な迷惑。
死んだらどうしよう、と警察に連絡してしまった。

当たり前だが人員を割いて探して欲しかった訳ではない
・不審、迷惑行為で通報されたらすぐ分かる
・事故が起きたらすぐに身元照会されるだろう
・防犯カメラ見て行き先の方向だけでも分かれば大変有り難い(改札内→諦め、駅構内→くまなく探す、外→外を重点的に早足で周る)

行方不明の手配して頂き、
また1人で泣きながらアテなく探す。
結局2時間半くらいして
「どうしても行きたいところがある」と電話してきて再び電源を切った。

おい!凄まじい!あれだけ謝り反省の色出して
めっちゃ自分本位やないかー!


行方知れずのまま
結局関西と別な方向へ200キロ移動したよう
着いてたら電話してきたので
「ええ加減にしろ!無駄になった新幹線代返せ」
と言ったら
そうなん?ごめんね、すぐ帰る」
そもそも行くなや。

合流できるまでの3時間、
・夜間の受診相談。
・施設、病院へ謝罪。
・着替えを一式買う。(終電で帰れるか分からないので明日の仕事の為、結局休まざるを得ずただのお荷物)
・初診の可能性を考え病歴や経過を書き出す。
・昼兼夕食のパン一個かじり、母にも買っておく。


再び再会

合流して謝罪と捜索解除。
とにかく帰らせるか早く受診させたい。

外で交番を背にして立たせ動静監視。
パンとお茶を食べさせるが
「また逃げたら困るからトイレには行かさんからな」と脅す(その後、入口を見張り行かせた)

その場で救急受診依頼
しかし「地元の方が良いのでは?」
地元からは「道中のリスクが高いからなんとも…」
その間に新幹線の終電逃す。


夜行バスで帰るしかないか


どこかへ泊まり夜通し見張る自信はなかった
混雑していたが、ようやくバスの席を確保。

「もし逃げたら死んでやるから、もう逃げんといて。」と脅すと「なんでアンタが死ぬん?嫌や、死なんといて。」素直な驚き。
いや、逃げずに一緒に関西まで帰ってくれりゃ良いのよ

「でも自分の意思と関係なく連れ去られたら?」
誰がこんなくそババアを連れ去るか!


これ本人は本気でそう心配してるから
感情的になっても無意味むしろ逆効果
だろうけど、突っ込まずにいられない。


とにかく背後から見張らねば!
なのに、先ほど逃げた母が何度も何度も振り返り私を見張っている!そして深刻な顔して頷く。
謎に小分けにして所持品を渡してくる。
(お金、貴重品は身分証を残して没収済み)
私があなたを置いて逃げたなら「迎えに来い」と結局呼び出されるのよ…

まさかのトイレにもいちいち付いてこいとな
さっき逃げたくせに…
ドアの前に立って待たされる
走行中の夜行バスのトイレで何が起きる?
(ワープできんの?)

トイレの帰り「ねえ、セイ」深刻な顔で振り返り

「これジャンボスター号(仮称)やったのに
スター号に変わった。
バスが入れ替わったんかも知れん。」



入れ替わるかー!
表示の問題やろ
一応「へー」と返しておく。

バスでは夜通し涙が溢れてきた。
拭いても拭いても。

これまでのこと


私は家事を担い、それでも殴られたり否定され
お金もロクに出してもらえず、無心ばかりされた
なぜ呼び出されたら迎えに行かなきゃいけなくて
なぜいなくなったら探さなければならないのか

溢れる涙を拭き、それでも溢れ
熟睡を避けウトウトしつつも逃げられず無事に関西へ

謝罪の嵐


「ごめんね、アンタが高校生の頃、バイト先のおばちゃんに嫌味言われて辞めたいって言った時何て返した?」
「辞めて良いよ」って言ってくれたよ
「そう、良かった。お金どうすんの、とか怒ったかと思った。」
それは受験に集中したいから、って言った時。
おかげで受験1週間前までバイトして1人で引っ越しした。でも名前書けたら受かる大学や。

「上京する時反対してごめんね。」「引っ越しや荷物運んだりも一切手伝ったことなかった、ごめんね。」
「大学も無理に一般受験させてごめんね。」
「高校も大学もお金出さずにごめんね。」
「小学生の時、ホームステイさせたきょうだいに会いに行く時アンタ何してた?」
1年の間、関西から飛行機で2時間の所へ、イベント毎に呼び出され2.3泊で出掛けていた。
友達の家に行かせてもらったり、1人で留守番してたよ。「そう、小学生1人置いて?酷いね。」
私が大人になって責めたこと今更詫びてきた。

今までの母なら



アンタが悪い
アンタは育てにくい子やった
そうやって嫌なことばっかり覚えて
何でも悪く捉える

このように逆ギレして決して認めなかったことを
いちいち詫びてくる

昨年きょうだいが亡くなったことも影響しているのか
(母の子ども)亡くなったこと忘れてたけれど

何より
私が辛く当たったからここまで悪くなったんだろうか

でもあなたを反面教師に
友達に恵まれ助けてもらい
良き伴侶に出会って幸せになれたし
ありがとう、とも伝えてきたのに。
今更詫びたり悲劇のヒロインぶらないで。

何を言われても腹を立ててしまう自分の醜さが嫌だ!

無事に関西へ帰り着く


私にこてんぱんに怒られた母はしょんぼり反省モード
施設へ荷物を取りに行き謝罪して病院へ向かう。

診察では「子どもに迷惑かけないように後見人をつけてほしいです。」
どの口が言うか
先生は優しく「良いお子さんですね」と言ってくれる。
すかさず「いえ、ボロクソ言うたんで反省してますけど一時的です。良くなったら薬減らしたいだの、私に金が足りない、あれせえ、これせえ言うてきますわ。」捲し立てる

病院では私の方が要注意人物だろう
虐待で訴えてくれ。

だけどさ


私は
親は頼れないし味方じゃない
お金ない
実家もない
親族もいない
これが小さい頃から当たり前だったから
自分で何とかしないと、逆に人様に助けてもらって自分次第で何とかしてきた。

お金にしても愛情にしても
あるものが壊される、失われる…
壊れていく苦痛は計り知れないと思う

それでも家族だから、って優しく接してあげる人も多く見て本当に頭が下がる。

私は全くできない、可哀想な母。


病気の問題よりも確執

精神疾患は5.6年前に発覚。
病気の面は正直、キテレツで
もはやおもしろく可愛らしいとさえ思う。(人様へは迷惑かけんなと思うけれど)
さすがに今回は本人も混乱して参っていたし。

だけどあんなに強気で自分の非を認めない人が
必死に全部謝ってこようとする姿に
悲しく、切なく、そして腹立たしく感じられた。
多分病気と加齢も問題かと。
私が怒っているのは病というよりも確執を経た現状
なのだろう、書いて気付いた

無事に入院させてもらい帰路に着く。

帰ってから


駅まで迎えに来てくれた
「大変だったね。」労われ堪えていた涙腺崩壊
泣き笑いながら面白おかしく報告
「迎えに行かなくて済む親なら良かったのに」
「私が選んだ親じゃないのに」

声を上げて泣いた
うんうんと聞いてもらい用意された風呂に入る。

せっかく欲しい物のために節約していたのも台無し
せっかくの桜や観光名所も素通り
せめてもと職場や友人、自宅にお土産を買い込んだ。

今後のこと


次は計画的に行けるだろうから御朱印集めよう
美術館や博物館の興味のある展覧に合わせて行こうかな
楽しみながらやるしかない

月末に予定していた旅も諦めたくない


いっそ私のことなんて忘れて欲しい
そうなれば少しは優しくできるかな


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