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「沸騰する地球」の時代をどうすればいいのか(全4回)                       第1回 地球温暖化のメカニズムを知る          

今年の日本の夏の「異常さ」を見るにつけ、地球温暖化の問題はもはや「待ったなし」の状況にまでなっています。先日国連事務総長が「地球は沸騰の時代になった」と強い表現で発言したのには、対策が一向に進まない現状に焦りと憤りすら感じているように見えます。
いよいよ深刻になった地球温暖化を憂慮するあまり、急遽全4回のコラムを書きました。その第1回目では、地球温暖化のメカニズムを見てみたいと思います。

なぜ二酸化炭素が問題なのか

 地球温暖化は、石油、石炭などの化石燃料を燃やしていることが元凶とされていますが、実は温暖化は燃焼で生じた熱が根本原因ではありません。これらの化石燃料を燃やしたことで発生した、膨大な量の「二酸化炭素」が地球温暖化をもたらしていると考えられているのです。
 
 それがどういうことなのか、ここでまず地表温度の仕組みについて見てみましょう。地球の表面付近は、太陽から届く光によって温められているわけですが、その熱が全て地表付近にため込まれているわけではなく、温められた地表からは赤外線が放射する形で、熱を宇宙空間に逃がしています。熱を全てため込んでいれば、地表は灼熱地獄になりますよね。
 
 しかし温められた地表の熱が全て宇宙空間に放出されるのであれば、地表の温度はマイナス19度と極めて低い状態になるそうです。
 そのような極寒にはならず、現在の平均気温がプラス14度に保たれているのには、大気中の二酸化炭素などが重要な役割を担っています。
 二酸化炭素は赤外線を吸収する性質があるため、宇宙に放射される赤外線の一部を大気中で取り込んで熱を持ちます。そしてため込んだ熱の一部を赤外線の形で地表に戻しているのです。その絶妙なバランスのおかげで、地表は14度に保たれ、生き物が繁栄し、安定して活動できているのですから、まさに奇跡のような話といえます。

増加に拍車がかかっている温室効果ガス

 このように赤外線を吸収する性質をもつ気体を「温室効果ガス」(英語ではグリーンハウスガス)といいます。これらは地表から宇宙空間に逃げる熱の一部をブロックして、地球を温室のように温める役割を担っているのです。その代表格が二酸化炭素ですが、ほかにもメタンやフロン類などがあります。
 さらにいえば、水蒸気は二酸化炭素よりはるかに温室効果が大きいのですが、水蒸気は雲となって太陽光を遮ってもいるので、その収支はほぼわからず、地球温暖化の議論では除外されています。
 
 では地球の大気中に二酸化炭素はどれだけあるのでしょうか。2021年の数値では415.7ppmとなっています。ppmとはパーツ・パー・ミリオン、つまり百万分率のことであり、パーセント(百分率)に直すと0.04%という極めて少ない値ですから驚きます。 
 
 大気中の二酸化炭素濃度が増えたのは、産業革命以降に化石燃料を燃やすようになってからのことです。この200数十年で約50%増加しており、ここ数十年は著しい増加となっています。
 そして産業革命以降、地表の気温はおよそ1.1度上昇しており、特にここ30年は上昇のスピードが著しく、ついに地球温暖化の時代を迎えてしまったのです。(つづく)
 
次回は温暖化がもたらす異常気象を考えてみたいと思います。

(#005 2023.08)

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第4回 なぜ温暖化対策は進まないのか





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