菅原ケンイチ

仙台市在住のライター、ブロガー。現在「人生の第5ステージ」にて麺類活動と人間活動を絶賛…

菅原ケンイチ

仙台市在住のライター、ブロガー。現在「人生の第5ステージ」にて麺類活動と人間活動を絶賛進行中。食と旅と歴史、世の中の成り立ちや仕組みに興味あり(漠然)。物事に対し科学的にアプローチする傾向あり。そばとラーメンはライフワーク。日本酒を愛し、好きな芸人はハイツ友の会。

最近の記事

ヒトの味覚を掘り下げて科学した(後編)

前編では味覚のうちの甘味、塩味、酸味、苦味までそのメカニズムを考察しました。後編では残りのうま味と、近年の科学で存在が推測されている第6の味覚について、そして味覚とは異なる辛味、渋味について詳しく見ていきましょう。 日本人が発見した第5の味、うま味  知っての通り、「うま味」は明治41年に日本の池田菊苗博士が昆布からグルタミン酸を発見し、新たに5番目の味覚となりました。  そしてその後も、イノシン酸、グアニル酸といったうま味成分が、日本人の手によって発見されています。

    • ヒトの味覚を掘り下げて科学した(前編)

      ヒトの舌は5つの味を感じとることができます。甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5味ですね。これらは味蕾(みらい)にあるそれぞれの受容体(センサー)が特定の味物質に反応する仕組みになっています。 人間が5つの味をそれぞれ感知するのは、本来的には生物としての重要な目的があるのです。今回は味覚のメカニズムと意味を詳しく見てみましょう。 甘味はエネルギーのもと  まず甘味は「糖類」に対する反応ですが、その物質にはブドウ糖(グルコース)、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖など多種類あります。

      • 「おいしさ」の大半は「匂い」で決まるという事実(後編)

        さて前編では人間が物を食べて感じる味は、味と匂いの情報を脳内で統合させたものであり、「おいしい」と感じる要素は、舌で感じる味よりも匂いのほうが重要であると書きました。 今回は、そのようなメカニズムは人間だけが持つ特殊なものである、というお話です。 ヒトのノドと動物のノドの決定的な違い  前回お話ししたように、人間は口の中に漂う匂い物質を鼻でキャッチしており、これを「口中香」というのですが、実はこれは人間だけが感じているものなのです。  私たちの鼻と口の奥は、ノドの部

        • 「おいしさ」の大半は「匂い」で決まるという事実(前編)

          人間は栄養を摂るために食べ物を食べるわけですが、その時においしいとかおいしくないとか感じたりします。多くの人はそれを舌で判別していると思っていますが、実は全くの誤解なのですね。それはどういうことなのか。 今回は人間が感じている「味」の真実についてのお話です。 「風味」とも表現される食べ物の「味」  人間は食べ物を味わうとき、舌で感じる味のほかにも実にたくさんの情報が関係しています。  そして人間が味を感じるに当たっては、舌による「味覚」の重要度は思っているほど高くはなく、

        ヒトの味覚を掘り下げて科学した(後編)

          ラーメン-3 日本のラーメンがものすごい進化を遂げている件(後編)

          前回はラーメンのスープに着目して、ここ20~30年の進化の実際を書きましたが。今回は同様に進化しているラーメンの麺について考えてみましょう。 大きく変化しているラーメンの麺  一般的にラーメンは麺とスープで構成されています。プラスとしての具材もありますが、主役はあくまでも麺とスープですね。  ラーメンの進化の初期段階では、麺にはあまり関心がなかったようで、スープでの新たな展開が中心でした。  しかし私はそば好きということもあり、かねがねラーメンもそばと同様、麺にもこだわ

          ラーメン-3 日本のラーメンがものすごい進化を遂げている件(後編)

          「沸騰する地球」の時代をどうすればいいのか(全4回)                第4回 なぜ温暖化対策は進まないのか

          この地球温暖化と異常気象は以前から予測されていたはずなのに、「根本的な対策」は一向に講じられる気配がなく、さらに深刻なステージへ進行しようとしています。いま世界がやらなければならないことは、一体何なのでしょうか。 温暖化の歯止めは、化石燃料の燃焼を止める以外にはない  今の地球温暖化については、二酸化炭素の増加が主な原因であるとの説でほぼ一致していますが、それに異を唱える科学者がいるのも事実です。  化石燃料による二酸化炭素排出以外での温暖化要素としては、前述のミランコ

          「沸騰する地球」の時代をどうすればいいのか(全4回)                第4回 なぜ温暖化対策は進まないのか

          「沸騰する地球」の時代をどうすればいいのか(全4回)                              第3回 深刻さを増す生態系の破壊

          地球温暖化のもうひとつの側面は、生き物たちが危機にさらされているということです。温暖化が要因となっている絶滅危惧種は4000種以上に及ぶと見られています。生態系の破壊はすでに進行しており、このままでは大量絶滅の時代がやってくる恐れさえ出てきているのです。 失われてゆく地球の生き物たち  今進行している地球温暖化の最大の問題は、生態系の破壊が進行していることでしょう。私たちは魚を食べるので、日本近海での漁業の深刻な事態を見ていますし、極めて憂慮すべき状況と考えなければなりま

          「沸騰する地球」の時代をどうすればいいのか(全4回)                              第3回 深刻さを増す生態系の破壊

          「沸騰する地球」の時代をどうすればいいのか(全4回)                第2回 過去の地球温暖化とは何が違うのか

          地球は長い時間の中で温暖化と寒冷化を繰り返してきました。しかし、今回の温暖化はこれまでのものとは異なり、人間の生産活動によってイレギュラーに発生したものとされています。そしてあまりにも急激に進行した温暖化が、深刻な気象災害を引き起こしているのです。 温暖化と寒冷化を繰り返しているメカニズム  日本では縄文時代にあたる7000年前から4000年前頃、地球は間氷期(温暖化の時期)にあり、気温は2~3度高かったと見られています。そのため海面は今より3~5m高く、関東平野では内

          「沸騰する地球」の時代をどうすればいいのか(全4回)                第2回 過去の地球温暖化とは何が違うのか

          「沸騰する地球」の時代をどうすればいいのか(全4回)                       第1回 地球温暖化のメカニズムを知る          

          今年の日本の夏の「異常さ」を見るにつけ、地球温暖化の問題はもはや「待ったなし」の状況にまでなっています。先日国連事務総長が「地球は沸騰の時代になった」と強い表現で発言したのには、対策が一向に進まない現状に焦りと憤りすら感じているように見えます。 いよいよ深刻になった地球温暖化を憂慮するあまり、急遽全4回のコラムを書きました。その第1回目では、地球温暖化のメカニズムを見てみたいと思います。 なぜ二酸化炭素が問題なのか  地球温暖化は、石油、石炭などの化石燃料を燃やしているこ

          「沸騰する地球」の時代をどうすればいいのか(全4回)                       第1回 地球温暖化のメカニズムを知る          

          ラーメン-2 日本のラーメンがものすごい進化を遂げている件(前編)

          私たちは日々、当たり前のようにラーメンを食べていますが、そのラーメンがここ20~30年で大きく進化していることを、どれだけの人が認識しているでしょうか。近年の日本のラーメンの何がどのように変わったのか、2回に分けて話してみたいと思います。 世界をとりこにしているラーメン  近年のラーメンブームはついに海外にもおよび、ラーメンが外国人の好きな日本食の第一位になっているのですから驚きです。  ラーメンのルーツは中華料理ですが、明治以降どんどん日本化して行き、今や中国人ですらラ

          ラーメン-2 日本のラーメンがものすごい進化を遂げている件(前編)

          そば-2「冷たいそば」こそがそばの基本であるという2大理由

          前回の記事では、冷たい「もりそば」こそがそばのうまさを最大限に味わえる食べ方である、と書きました。ではなぜ温かいそばではなく、冷たいもりそばなのか、今回はその理由をさらに掘り下げて、詳しく話してみたいと思います。 重要なのはフレーバーとテクスチャー  私はそばが好きなので、時間を見ては気になるそば店を食べ歩いているのですが、その時食べるのは、ほぼほぼ「もりそば」です。店によっては「ざるそば」とか「せいろ」とか呼んだりもします。いずれ冷たいそばが大基本であるのは、そば好き共

          そば-2「冷たいそば」こそがそばの基本であるという2大理由

          ラーメン-1 縮れ麺はスープがよく絡むだなんて、誰が言ったの?

          これまでラーメンの縮れ麺は、スープの持ち上げがいいなどと、さも世間の常識のようにいわれてきましたが、本当のところは全く根拠のない俗説でしかありません。そして縮れ麺よりも「細いストレート麺」の方が、はるかにスープ絡みがいいというのが真相、というお話です。 麺とスープ絡みの本当の関係  ラーメンの縮れ麺は「スープがよく絡む」あるいは「スープの持ち上げがいい」といったことが、今でもSNSやネット記事で当たり前のように語られています。いつからそんな話になったのでしょうか。誰が

          ラーメン-1 縮れ麺はスープがよく絡むだなんて、誰が言ったの?

          そば-1 そばの魅力を語らせてくれ

          そばとは、つくづく奥の深い食べ物です。そばのおいしさとはとても繊細ですが、それを決めているのは「風味」と「食感」であるといえます。記念すべき第1回では、その2大要素を深く掘り下げ、そばの持つ魅力を考察してみたいと思います。 そばといえば冷たいもりそばという話  そばとは日本独特のものであり、多くの日本人が好む食べ物といえます。一般にそば好きがそばという場合、茹でて冷やした「もりそば」のことを指すでしょう。もりそばこそがそばのうまさを最大限味わえるメニューといえます。

          そば-1 そばの魅力を語らせてくれ