いいねがつくツイートと、いいねされないレポートの話

先日、ある医療関係の知り合いの方と話していたときのこと。

その方が、論文ベースで明らかになっている医学の知識を噛み砕いて豆知識的にツイートしたら、けっこうたくさんいいねがついたそうです。

それで「ああ、みんなこういうことに興味があるんだな」と。

そう思って、元ネタになっている調査レポートを続けてツイートされたそうです。

そうしたら、レポートのほうは全然いいねがつかなかったんです。

「人はこういう感じで情報を消費していくのか」と言っていたのが印象的でした。

わかりやすく噛み砕かれたものにはみんな反応するけれど、よりリッチな情報がつめ込まれたレポートをクリックする人は少ない。

「そりゃそうだよね」という考え方もあるし、「なんか虚しいなぁ」と思う人もいると思います。(私はどちらかというと後者……)

毎日毎日情報がたくさん流れてきて、パッと目についたものだけを消費して、また次の情報にいく。本質的に価値のある情報でも、読みやすくなっていなければ届かない。

私は「そういうのはなんかイヤだなぁ」と思うこともあります。

そう思っていたら、その方が続けてこう言いました。

「いまの情報の消費のされ方の『お作法』にしたがって発信していかないといけませんね」

「お高くとまっている場合ではないですね」

ハッとしました。

やっぱり自分も含めて、難しそうなものはクリックしないのが人間です。

そこに「本質的じゃない」と文句を言ってても仕方ない。

ほんとうに多くの人に何かを伝えたいなら「いまこの時代、情報はハイスピードで消費される」という事実を認めて、そこからどうするかを考えないといけません。

もちろん、本質を曲げてまで多くの人に広めるのは本末転倒です。

あくまで本質のエッセンスを変えることなく、なるべく多くの人に届ける。

矛盾を両立するような難しさがありますが、だからこそチャレンジする甲斐があると思います。

レポートが読まれないことに文句ひとつ言わないその方の姿をみて、背筋がピンとする思いでした。

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