CDショップに"缶"が並ぶのを見て思ったこと
先日感想を書いた04 Limited Sazabysのニューシングル「SEED」
今作はCDがつかない特殊形態でのリリースが事前に予告されていて、いざCDショップに「缶」が並んでいる光景を目の当たりにした。
結局特典としてCDとDVDもついてきたけど、映像はスマホでダウンロードして観れるし、曲は発売日以降はSpotifyで聴くし。
やっぱり円盤って絶対に必要なものではないなって再実感した出来事でした。
まぁライブ映像を大画面で見たいってニーズにはDVDが適しているけど、そのうちサブスクの動画サービス(Netflixとか)と連携したり、YouTubeで単品購入も出来たりするんじゃないかと思ったりもする。
そうなった場合、音源も映像も盤からインターネット(サブスクリプション)に移行して、最早ダウンロードコードすら要らなくなる。実際、今回もダウンロードコードから落として音源を聴いたのはフラゲ日だけだ。
つまり、リアルなパッケージにして作品をリリースするにしても、その中に音源が入ってなくたって良いのだ。そんな未来に、僕らはもう既に片足を踏み入れている。
もし日本でもそうなった場合、アルバムならまだしも、曲名をタイトルにしてシングルとして売り出すのはちょっと無理がある。
大げさに例えると、歌詞カードとイベントの参加券やライブの先行予約の権利を買って、CDと音源は入ってないからサブスクで聴いてねって状態。そんな状態で商品化されてレコ屋に並ぶのはなかなか想像できない。
そりゃあ海外ではCD屋さんが無くなるわけで、アーティストもアルバムを作りながら先行シングルを配信リリース、という形が主流だ。なぜならシングルをフィジカルで売り出す理由がないから。
フィジカルで売り出すとしたら、音源の世界観をより広げるための要素が無かったらもう買う理由がない。
ブックレットとか、ライナーノーツとか、雑誌に掲載されているようなインタビューを自分たちの作品に入れるとか。自前でやってるアーティストもいると思う。
今回フォーリミがCDの代わりに販売したのは楽曲に合わせたグッズを詰め込んだおもちゃ缶だった。正直実用性はあまりないけど、その遊び心を楽しんで欲しいという思いが伝わってきた。
彼らの趣向が行き届いていて目に見える形で表れていた。そんな作品であればこれからも手にとってお金を払ってアーティストに還元したいと思える。たとえそこに音源が入ってないとしても。
色んなジャンルの音楽に触れて楽しみながらも、ロックバンドにしか出せない良さ、ライブの現場で演奏する良さに彼らはこだわり続けている。
それと同じように、売り場に缶を並べた今作の取り組みから、音楽が好きな人達が作り出すリアル空間で新たな音楽に出会う楽しさを取り戻すことにも彼らはとても自覚的だ。
「缶ディスプレイコンテスト」と題して、CDじゃないのにCDショップを巻き込んだ取り組みも素晴らしい。
ここからどんな可能性の芽が出るのか。次のリリースも楽しみだ。
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