彼とわたしのー8ー

彼は職探しが日課となっていました。

少し条件の良い仕事があれば
転々と、ほぼ1週間単位で職を変えていました。

配達業から始まり、部品の組み立て、
加工食品の製造・梱包、中古家電の清掃に
漬物・惣菜作り補助、弁当屋にスーパーの荷入れ等々数知れず、

そしてその合間に内職を始めてみたり
自らアクセサリーを作り、カバンに詰めて売りに出たり、

もちろん私も同伴である場合が多く
多種多様な”アッ!”と驚く裏舞台を
垣間見たりしたのでした。

その後何処で目にしたのか”焼き芋バイト”の話が持ち込まれ、
てんやわんやの日々が始まったのでした。

それでも それまでとは違う視点から眺める人々の生活場面や、
聞く事も無かった話し声、通る事のなかった時間や場所の中で、

”知らなかった” ”見たことなかった”人々や
出来事に沢山出会ったのでした。

そんな日々が積み重なる中で
次のステップへ進む時期がいつしか訪れていました。

私のカウンセリング講習も終わりに近付き
”家に帰る”と云う決断を迫られていました。

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