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泉谷しげる/果てしなき欲望~隠れ名曲、名演コレクション。

 大好きなミュージシャンであまり知られていないけど、大好きな曲やもっと知ってもらいたい曲を紹介することをやってみたいなと思ったので、今日から早速やってみます。

 まずは泉谷しげるさんの1986年発売のミニ・アルバム『スカーピープル』からシングル・カットされた「果てしなき欲望」を紹介したいと思います。
このアルバムは以前書いたポリドールを離れて、LOSERと組んだビクターでレコードを出す合間の作品ですね。
発売元は洋服や雑誌など幅広い展開をしていたスイッチ・コーポレーションが設立したスイッチ・レコードです。
スイッチは他にはチロリンやナーヴ・カッツエなど12inch4曲入りの作品をよく出していて、泉谷しげるさんの『スカーピープル』もそうしたうちのひとつでした。

 この『スカーピープル』のプロデュース、編曲はRCサクセションの忌野清志郎さんによるもので、泉谷さんと忌野さんがレコーディングを一緒にやったのは案外少なかった(RCサクセションの『COVERS』がまず思い浮かびますね)のですから、かなり貴重な作品ですよ。
今、聴き直すとちょっとラフな仕上がりですけど、サビで泉谷さんと忌野さんが絡む辺りは最高ですね。
 
 私がこの曲を初めて聴いたのは1986年のGWだったかGW明けだったかな?練馬のT2スタジオで、泉谷さんが一週間ライヴをやるというので、最終日とその前の日の2回ライヴに行ったのでした。
演奏はボイス&リズム。最終日の前日のゲストが忌野さんだったのです。それまではものすごく遠くにいた忌野さんが至近距離にいるだけで、テンションがメチャクチャ上がったのを覚えています。
アンコールの最後に演奏されたのが「果てしなき欲望」だったのでした。
ライヴが終わると同時にスタジオ録音の「果てしなき欲望」がまた流れたのもよかったですね。
ちなみにボイス&リズムのベースの藤井裕さんと忌野さんは後にバンド(Little Screaming Revue)をやることになったのも因縁というか。
最終日のゲストは仲井戸麗市さんで、この日の最後も「果てしなき欲望」だった記憶があります。確か忌野さんよりステージにいた時間が長かったかな。

・泉谷しげる『スカーピープル』(ビクター/VDR-4001)ビクターから初CD化されたもの。

 泉谷しげるさんとボイス&リズムが共演していたのは1986年いっぱいで、12月の日本青年館での「泉谷しげる生」が最後だったはずですね。
この日はボイス&リズムに柴山好正さんと片山広明さんが加わった形で遠藤みちろうさんと仲井戸麗市さんがゲストだった記憶があります。
この日のライヴを村上ポンタ秀一さんが観に来て、かなり具体的なアドバイスをしたのがLOSER結成につながったというわけです。
村上さんが「前から吉田建とやりたいと思ってるんだ(以下略)」と言ったことで、ベース吉田建さん、ドラムス村上さんにギターは仲井戸さんと当時考えられるベストのメンバーになったのです。

 1987年に入って泉谷さんのデモ・テープ作りは本格化し、レコード会社がビクターに決まり、(サザンオールスターズ、桑田佳祐さんなどの)名物ディレクターの高垣健さんが担当になったのでした。
8月に入ってリズム録りが始まったものの、村上さん、吉田さんに仲井戸さんのスケジュールが合うのは数日だったとか。
それをなんとか乗り切り、9月からはダビングが始まりました。
スタッフ・サイドから「果てしなき欲望」を再録音してほしいというオファーがあり、間奏のスライド・ギターは桑竹伊助(!)さんが弾いています。こちらのサイド・ヴォーカルはSIONさんで最高の仕上がりになりました。

 レコーディングを重ねるうちにギターで参加していたルースターズの下山淳さんのプレイに心打たれた全員一致でLOSERに加入することが決まったわけです。

ダビングには吉田建さんとGO PASSIONというグループを結成したムーンライダーズの武川雅寛さんとリアル・フィッシュの渡辺等さんがストリングスで、サックスには矢口博康さんが、コーラスにはSIONさん、アナーキー~ザ・ロック・バンドの仲野茂さん、鬼頭径五さん、ダンガン・ブラザーズの中島文明さんに真田広之さんが参加しました。

 先行シングル「野生のバラッド」の演奏はザ・ロック・バンドが担当し、ボーナス・トラック扱いの「美人は頭脳から生まれる」のピアノには忌野清志郎さんが参加しています。

 1988年1月にはアルバム『吠えるバラッド』が発売され、インクスティック芝浦で発売記念ライヴが三日間行われました。
日替わりゲストは忌野清志郎さん、桑田佳祐さんともう一人いたのですが思い出せません(SIONさんだったか?)。

・泉谷しげる「わが奔走 IT'S MY LIFE」(ロッキング・オン)
レコーディングのレポートなど色々とこの本を参考にしました。ありがとうございます。

 現在、タワーレコードから限定発売された『吠えるバラッド』(ボーナス・トラックは『スカーピープル』を全曲収録)で、忌野清志郎さんとのコラボレーションのオリジナル・ヴァージョンとLOSERとのヴァージョンの両方を聴くことができます。(現在、入手が徐々に難しくなっている模様です)

・加奈崎芳太郎&泉谷しげる「ぼくの好きなキヨシロー」(WAVE出版) 
画像をタップすると、泉谷しげるwith LOSERの2013年再結成ライヴの「果てしなき欲望」の映像を見ることができます。

泉谷しげるさんには名曲がたくさんありますが、今一番のおすすめは「果てしなき欲望」のオリジナル・ヴァージョンです。
是非一度聴いてみてください。

 泉谷しげるさんの名曲の数々を思い出させてくれた水道橋博士と、ツイキャスの参加者の皆さんに感謝します。ありがとう。

 ではまたー。

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