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超タイトな案件でも滞りなく納品するためのポイント6つ

ときどき、進行が超タイトな広告案件をお受けすることがあります。オファーの当日に概要オリエンを受け、資料をいただいて、翌日にはタタキを出してブラッシュアップに入り、2日後にはクライアントチェックを受け、最終調整後に即納品・公開みたいなやつ。でも、厳しいのはスケジュールだけで、内容はめちゃ面白そうだったりするから悩ましい……!

先日もそんな案件が運悪くいくつか重なって、これはもう「書く」以外の調整がモノを言うなとしみじみ思いました。資料のみで書き上げる超タイトな案件のとき、企画や執筆以外のところで私が気をつけていることをまとめてみます。

1、作業できるスケジュールを伝える

オファーをいただいたらまず、スケジュールを確認します。タイトな案件だからこそ、普段よりもこまかな日程や時間のチェックが欠かせません。

「明日13時までに資料をいただけたら、14~16時あたりに作業時間がとれます」
「午前中は取材に入っているため、メールは見られません。LINEでPDFを送ってもらえたら、合間にチェックします。その後作業できるのは15時からで、18時半がリミットです」
など、こちらの都合を伝えます。

ここまで細かくお伝えしておけば、先方都合で資料の支給が遅れたり、いっそうスケジュールがタイトになったりするときに「それでもご対応可能でしょうか?」とご相談いただける確率が上がります。(裏を返せば、最初にこのあたりをはっきりさせておかないと、なし崩し的に作業時間が削られたり、当たり前のように深夜休日対応を求められたりしかねません)

お互いにこのあとの進行がイメージしやすいから、この段階で無理っぽいなと思えば、すばやくお断りもできます。あとから「……ダメでした!」となるより100倍誠実です。

私の作業スピードなどもわかってくれている既存クライアントには、稼働状況をまるっと伝えたうえで「これでもいけそうだったら承ります!」と、判断を委ねることもあります。

2、届いた資料は爆速でチェックする

さて、案件が動きはじめたら。実際に制作作業をするのが2日後だとしても、届いた案件概要や資料をなるべく早くチェックします。なぜなら、最初にお送りいただく資料ですべてを把握できることはまずないからです。

たとえば、あるライフスタイルブランドが打ち出す新キャンペーンのコピーを書くとして、なにが必要でしょうか。キャンペーンの概要やターゲット、企画が生まれた背景、ブランド/担当者が伝えたいこと、文字数、トンマナ、デザイン、ビジュアル……書くためにインプットしておきたいことは、たくさんあります。はじめてご一緒するブランドであれば、ブランド自体のフィロソフィーやここ数年の目立った動きなんかも知りたいところです。

でも「これ書いてもらえませんか?」とご相談が来るとき、最初にいただけるのはキャンペーン概要やデザイン、文字数の目安くらいがいいところ。それ以外の部分は、こちらが求めないと出てこないことも多々あります。

なので、まずはいただいた資料にどんな情報が入っているのかを確認し、必要な追加情報を洗い出すことが大切です。ほしいものを伝えてから、別の仕事や育児に取りかかる。この初動を早くしておくことで、いざ作業をはじめるときには必要な資料がちゃんとそろっている(確率が上がる)わけです。

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ラフな間柄のクライアントさんには、こんな感じでご相談

3、作業をはじめたら、進捗を共有する

執筆がはじまったら、ボールは自分の手元にあります。普通の案件だったら、予定どおり仕事を進められている場合、特別に進捗を報告することはないでしょう。

でも、タイトな案件では、ディレクションの方こそドキドキしているもの。夜までに出せばいいものでも、丸一日やりとりがなければ、先方には「このまま飛ばれたらどうしよう……」という不安がよぎっているかもしれません。だから、折を見て「この取材が終わったら、推敲して出しますね」とか「ひとまず3時間後には一回お渡しします!」とか、ざっくり状況をお伝えするようにしています。

4、相談・質問は「全部盛り」で出す

どれだけ先に情報をそろえてから作業しようと思っても、ままならないことは少なくありません。書きはじめてから「ここ、どうすればいいんだろう?」「入れてくれって言われたこの言葉、意味がわかりにくいな……」とか、不明点がどうしても出てきます。だけど、それをいちいち確認し、レスを待ってから書く時間はない。だから、タタキの原稿にはたくさんメモを入れちゃいます。

「このように考えたので、こうしています」
「こんな方向を狙って、この言葉を選びました」
「ご指定いただいた言葉が少々わかりにくいため、〇〇もしくは△△、□□などと書き換えるのはいかがでしょうか?」
「先日、他社媒体で・・・といった炎上があったので、ここは・・・としたほうがいいかもしれません」
などなど……。

この場合はこう、この場合はこう、といった分岐を考えながら書かねばならないため、手間は少なくありません。でも、迷った理由や別提案などの詳しいメモを入れておけば、先方のフィードバックも「もう少しこういう方向にしたいので、この言葉を変えたいです」「確かにそうですね。では△△でお願いします!」などと、素早く具体的になります。

スケジュールがタイトだと「時間がないから、一発で完璧なものを出さなくては……!」とか思っちゃうかもしれませんが、たぶん逆です。もちろんそうできれば最高だけど、少ない時間や情報では、かなり難しい。だからまずは70%のものを早く出して、各所に諸々確認・検討してもらい、いただいたフィードバックをもって完璧に仕上げる。私のような凡人には、そっちのほうが結果的に早いです。

5、原稿の味つけも「全部盛り」

盛り込む情報だけでなく、どんなトーンでいくかといった「味つけ」の部分もいまいち定まっていないことがあります。そんなときも、全部盛り。

■パターンA(主語が「わたし」)
1、かため
・・・・・・
・・・・・

2、やわらかめ
・・・・・
・・・・・・・
・・・

■パターンB(主語が「ブランド」)
1、かため
2、やわらかめ

■パターンC(とにかくエモーショナルな語り)

みたいな感じで、作業時間が許す限りいろんなパターンを出しちゃう。これは「すりあわせる時間がないから」というよりは「実際の文章を読んでみないと、相手が仕上がりをイメージしにくいから」です。

バリエーションを出しておけば、クライアントは「これは違う」「この中ならこっちがいい」という判断ができるようになり、私たちも「なんとなく違うんですよね」といったあいまいなフィードバックを受けずに済みます。

6、フィードバックは具体的につぶしていく

ふんわりしたものを詰め込んだタタキを出し、先方からフィードバックが来たら、ここからは粒度の細かい作業です。いままでは「確認している時間がないから全部入れて様子を見る」で進めてきたけれど、ここからもそれでやっていると確実にタイムオーバーなので、作戦変更。

クライアントのコメントに対して「この一文の削除は、この言葉がNGということですか? この流れの問題ですか?」「こちらとこちらはトーンが違いますが、どちらのトーンを活かしますか」などと質問を投げかけ、NG/OKラインを探りながら、最終案を練っていきます。

もちろん戻ってきたコメントをすぐに読み、疑問点をリストアップしたうえで「こちらにお返事をいただいてからでないと、修正作業を進められません。お返事が13時を過ぎる場合は、作業は17時からになります」など、スケジュールの調整も添えつつ進めるのがポイントです。

ひと手間を惜しまないことがスピードにつながる

一つひとつはどれもたいしたことがないし、仕事をしていれば当たり前のことじゃんって思った方もいるかもしれません。でも、納期がタイトだからこそ、そういう地道なTodoをおざなりにしないようにしています。全部ちょっと面倒だけど、そのひと手間を惜しまない。それが結果的に、チーム全員のスピードを上げてくれます。

ただ、こういうお仕事を担当するたびに「あ~、もっと時間をかけてブランドの哲学を学び、いろんなインプットをしたうえでつくりたい……!」と思います。ゆっくりつくるものがよいものとは限らないし、そのときそのときでベストを尽くしている自負はあるけれど、時間をかけることでしか生まれない表現もあるはず。「私がもっとすばらしいクリエイターだったら、こんな急な発注なんて来ないだろうに……」と思うこともあります。そこは精進するしかありません。

とはいっても、世界中のタイトな案件が生まれる背景には、いろんな事情があるのでしょう。であれば、そんなときに私を頼ってくれた方に、急だけどいつも面白い案件に誘ってくれる方に、全力で応えたい。窮地のときにも、手堅い仕事ができるタイプのライターであれたらと思います。

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(でも、こういうのはそもそも特急案件だし、情報整理や全部盛りの手間が余計にかかるわけだから、みんな安請け合いには気を付けてギャラ交渉しましょうね……!)

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メール: sakura.0116.sakura@gmail.com
Twitter: @sakura011626

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