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ショートストーリー「祖母の旅路」
「由紀子、ハンバーグ。ハンバーグにしなさい。美味しいから」
祖母はメニューを広げて嬉しそうに言った。
「自分で決めるから」
「そう? もう5年生だもんね」
いや違うし。もう社会人で来年40だし。おまけに私は由理であって、母じゃないし。何度繰り返されたろう、このやりとり。うんざりしつつ心の中で呟いた。
ガラーンとだだっ広いドライブインの客は私達だけ。昭和を感じる古ぼけた椅子やテーブル。壁には色
「由紀子、ハンバーグ。ハンバーグにしなさい。美味しいから」
祖母はメニューを広げて嬉しそうに言った。
「自分で決めるから」
「そう? もう5年生だもんね」
いや違うし。もう社会人で来年40だし。おまけに私は由理であって、母じゃないし。何度繰り返されたろう、このやりとり。うんざりしつつ心の中で呟いた。
ガラーンとだだっ広いドライブインの客は私達だけ。昭和を感じる古ぼけた椅子やテーブル。壁には色