2024ファジアーノ岡山にフォーカス22『 勝利に必要な一体感~行く&埋める~ 』J2 第11節(H)vsロアッソ熊本 プレビュー



1、クラブ名鑑11~ロアッソ熊本~


『 基本情報 』
クラブ名称:ロアッソ熊本
主なホームタウン:熊本県熊本市
創設年:2005年
ホームスタジアム:えがお健康スタジアム(収容人数:30,499人)
クラブマスコット:ロアッソくん
クラブカラー: 赤

『 Jリーグ通算成績(JFL以降、ロッソ熊本時代を除く) 』
J2(13期):165勝149分231敗(585得点749失点)
J3(3期):47勝24分25敗(140得点106失点)

『 Jリーグ最高成績(JFL以降) 』
J2:4位
J3:1位(1期)
天皇杯:ベスト4

『 クラブ紹介』
 火の国である熊本県にあるJリーグクラブ。熊本県熊本市をホームタウンとするロアッソ熊本は、前身はロッソ熊本で、J2昇格と共にロアッソ熊本へと改名した。ロアッソ熊本というクラブ名称には「あそ=阿蘇山、ロッソ(イタリア語)=赤、アッソ(イタリア語)=唯一、エース」などの造語を組み合わせたクラブ名称である。
 晴れの国岡山とイタリア語に関係したクラブ名称という点での親近感を感じるクラブであり、震災の影響で一時期J3へと降格した時期もあったが、大木 武 監督を中心とした独自路線のサッカーで、J3優勝すると翌年のJ2では、プレーオフを勝ち進み、昇格まであと一歩に迫ったが、バーに嫌われて届かなかった。そこから2期連続で主軸を引き抜かれて、厳しいストーブリーグのままリーグ戦は厳しい戦いが続いているが、それでも熊本スタイルの独自のサッカーで、今季も初のJ1を目指す目標に向けて、ロアッソ熊本ファミリー一丸となって目指して戦っているいる。

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2、ランキングデータ&注目選手


 今回もJリーグのデータサイトであるFootball LABさんのランキングを一部引用。

『 2024ロアッソ熊本ランキング 』
MF:21番 豊田 歩 選手(CH):攻撃・パス・パスレシーブ(1位)
MF:9番 大本 祐槻 選手(右WB):クロス(1位)
MF:16番 松岡 瑠夢 選手(CF):ドリブル・シュート(1位)
MF:3番 大西 遼太郎 選手(CB):ゴール(1位)
MF:8番 上村 周平 選手(CH):奪取(1位)
DF:24番 江崎 巧朗 選手(CB):守備(1位)
GK:1番 田代 琉我 選手(GK):セーブ(1位)

・データでの注目選手

MF:21番 豊田 歩 選手(CH):攻撃・パス・パスレシーブ(1位)

 個ではなく、チームとして前進することで、その中心にいる21番 豊田 歩 選手にボールが集まる。「ゲームメーク」という言葉があるが、21番 豊田 歩 選手が、ロアッソスタイルをメークする。

MF:9番 大本 祐槻 選手(右WB):クロス(1位)

 甲府戦の最後の辺りは流石に疲れこそ見えたが、チームとしての細かい上下動を何度も繰り返す中で、パスのようなクロス。クロスのようなパス。絶妙な精度と弱点見極める視野の広さが伴った「パロス」は、DFを無力化できる。

MF:16番 松岡 瑠夢 選手(CF):ドリブル・シュート(1位)

 崩すパスのためのドリブルを可能とするポジショニングと攻守でのハードワークの先にあるチームとして崩した先でのシュート。つまり、フィニッシュに顔を出せる戦術理解度の高いMF色の強い役割がストライクアタッカー。

MF:3番 大西 遼太郎 選手(CB):ゴール(1位)

 この試合では、そういったシーンこそ少なかったが、このスタイルであれば、流れからもセットプレーでの得点を狙える機会が多いのではないかと感じた。

MF:8番 上村 周平 選手(CH):奪取(1位)

 パスワークも上手かったが、やはり特徴というか役割の中で守備機会が多くなったのではないかと感じた。やはり熊本は、攻撃でも守備でも中央が鍵と感じた。

DF:24番 江崎 巧朗 選手(CB):守備(1位)

 驚異の全試合フル出場。DFでも細かいポジションチェンジを繰り返す中で、組み立てでも守備でも中心にいる。まさに「心技体」での熊本のDFラインとチームの要。

GK:1番 田代 琉我 選手(GK):セーブ(1位)

 不動の守護神。熊本の独自スタイルを繋ぎから体現した上で、GKとしてもしっかり仕事をする。攻守のタスクが多い中でも判断の「バグ」は少なく、自然体で動じない不動の守護神。

・データ以外での注目選手

FW:29番 道脇 豊 選手(CF)

 高校生の時から熊本の選手として登録された熊本ユース出身の生え抜きの大型ストライカー。長身でありながら、速さもあって身体能力が高い。そして、足下の技術もしっかりしている。甲府戦で、チームに勝ち点1に繋げた弾丸ミドルシュートでの同点ゴールを決めた。しかもその得点は、自身にとってのJ2初ゴールであり、ロアッソ熊本のJリーグ通算600ゴール目。持っている選手であり、ここからの成長と活躍が楽しみな将来性「豊」な18歳。


3、プレビュー~行く&埋めるの徹底~


『 通算対戦成績(岡山視点) 』
H & A(ホーム & アウェイ)
8勝12分5敗(30得点21失点)
H(ホーム)
6勝4分3敗(22得点13失点)
A(アウェイ)
2勝8分2敗(8得点8失点)

『 スギさん的重視比率(イメージ) 』
岡山重視比率
個人 7 : 3 組織
熊本重視比率
個人 1 : 9 組織

 熊本のサッカーは、攻撃にかなり力を割いた上で、守備はアクションになりがちであるが、そこの部分で個が求められるという意味での個の比重が1である。

 私がチェックした甲府相手だったことが影響しているかもしれないが、これだけスムーズに前進した上で、得点の匂いがかなりするアクションを起こせるサッカーを90分間やり続けることができるという意味では、完成度はかなり高い。

 チームとしては、それで勝てなければという面こそあるかもしれないが、それでも相手は甲府であり、そこで打ち負けない攻撃の完成度はやはり高いと言える。

 そういった熊本に対して、岡山が意識すべき事を、後ろを意識したプレスである。熊本のパスワークは、キックの多彩さだけではなく、細かいポジショニングの取り直しの繰り返しにある。

 そのため岡山としては、常時そこに対応していかなければ、プレスに行った背後に出されて、そのまま熊本の前進を許すだけではなく、サイドからの絶妙なクロスやペナルティエリア内に効果的に侵入と分散した受け手と出し手の選択肢が多い攻勢により岡山の守備ブロックも無力さされる可能性もある。

 ゴール前の密集を分散に変えるような速効性と嗅覚優れるポジショニングや視野の広いパス感覚をほぼ全選手が持っている。

 そのため熊本の「繋ぐ」に対して、岡山は当然「プレス」という選択肢を迫られるが、いつも以上に集中して周りを見て、対応する必要がある。ここは、組織的に対応するというよりは、個人個人の守備感覚と普段での組織的連携での意思疎通をどれだけ図れるかにある。

 組織的な完成度の高い熊本の攻撃に対しては「行く&埋める」をセットにした一体感のある守備を90分間でどれだけ徹底できるかにあるだろう。

 それが出来た時に、熊本の繋ぐ前進に上手く対応できた時やゴール前での奪ってからの速攻となった時に、瞬時に熊本の弱い所を突けるかどうかという試合になるはずだ。

 秋田のように攻めきれない時間や回数が少なくなるというよりは、熊本戦における攻撃は、どれだけ自然体に自分たちの個の力を引き出せるかである。

 3年間、大木ロアッソと戦ってきた木山ファジではあるが、今季が最も対抗し易いチーム状況に感じるだけに、守備では一体感のある守備の徹底と、攻撃では、自然体で攻撃に「行き」、攻撃での人数や厚みが足りない時に「埋める」攻撃ができるかが、問われる試合になるだろう。

 時折出てくる正確で的確なロングパスに警戒しつつ、「勝利に必要な一体感」をどれだけ作り出せるか。

 自分達の色を出し易い部分こそあるが、だからこそその流れの中で、良さを消せる部分も徹底できるか。勝負を分けるポイントになるであろう。

 この両チームの戦いの先にあるのは、どういった結末か。

2024 J2 第11節 ファジアーノ vs ロアッソ熊本
2024年4月20日(土)14:00kick off シティライトスタジアム

 最後まで読んで下さり有難うございました。

文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino

 前節の熊本を知りたい方は、こちらも是非!



筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしている。ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために確認するが、極力SNSは、情報を遮断して、レビューを執筆している。流石に通知なので、軽く目にすることこそあるが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしており、ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにも最大限のリスペクトの気持ちで、サポーターとの交流や魅力を語り合うことが好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合もあるが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきた。


4、アディショナルタイム(ファジ造語24)


2024ファジ造語No.1
『 ≫≫力を出し切る三原則≪≪ 』

「決め切る・勝ち切る・逃げ切る」という課題と語ったGMの服部 健二 氏の言葉から想起した「力を出し切る三原則」という2024シーズン第一弾のファジ造語とさせていただいた。来季を観て行く上で、勝利するために、チームがどう強くなったのか、是非、結果から「力を出し切る三原則」をクリアできているか注目したいですね。

2024ファジ造語No.2
『 ≫≫虹色の右足≪≪ 』

24シーズンがルーキーイヤーとなる24番吉尾 虹樹 選手の右足から放たれるパスやクロス、シュート、プレースキックの全てが、高精度であることをより魅力的に伝えるファジ造語。24吉尾選手の名前の「虹樹」の「虹」があり、「虹色の右足」に相応しい選手であると思います。プロとして経験を積む中で、「虹色の右足」は、大樹のようにチームを支えることができる可能性を秘めていることも間違いないでしょう。

2024ファジ造語No.3
『 ≫≫木山マジック≪≪ 』

固定概念を作らない木山 隆之 監督の自由で大胆な決断により、チームを勝利に導くことができる試合采配や選手起用を指すファジ造語。誰にも思いつかない自由な発想と大体な一手で勝利を手繰り寄せてきた将棋で一時代を築いた羽生 善治先生の一手が「羽生マジック」と呼ばれていたが、そこに由来して、「木山マジック」と命名した。22シーズンは、サポーター間でも浸透した。24シーズンでも聞きたいワードですよね。

2024ファジ造語No.4
『 ≫≫剛よく剛を制す≪≪ 』

「サッカーにおいても剛強なものが、剛強な力によって、無慈悲にも剛強なものを押さえつけてしまうという弱肉強食の世界である」という意味の造語」本来は「柔よく剛を制す=柔軟性のあるものが、そのしなやかさによって、かえって剛強なものを押さえつけることができる」という意味の造語だが、99ルカオ選手のフィジカルが、あまりに凄すぎるので、諺(ことわざ)を弄ることでその強さを表現したファジ造語。

2024ファジ造語No.5
『 ≫≫木山曲線≪≪ 』

将棋の藤井八冠が、AI評価値で、一度リードしたらそのまま最後まで右肩上がりで完勝してしまう強さを表現して「藤井曲線」と言われていました。まさしく、開幕戦の木山ファジの勝ち方のようで、そこを可能にした選手起用やチーム作り、ゲームプランから木山マジックの進化系であり、90分間でほぼ圧倒して勝った時の勝利を表現するファジ造語。

2024ファジ造語No.6
『 ≫≫三本の矢24ver≪≪ 』

以前、ファジ造語として紹介していたが、24シーズンでの三本の矢は、11人で繰り出される隙が無い攻撃(途切れずらい攻撃)の事を指す。木山ファジの特色である選手の個性を引き出すサッカーの下で、3Dアタック×3=「縦×横×高さ」×「速さ・強さ・巧さ」×「パス×ドリブル×シュート」が、その方程式の下で、異次元の破壊力を生み出させる攻撃。まさしく、三本の矢に相応しい攻撃を表現したファジ造語。

2024ファジ造語No.7
『 ≫≫虹色の戦術(レインボータクティクス)≪≪ 』

 個性豊かな選手を適材適所で起用して、個性×個性の攻守のプレーの幅や深さで、対戦クラブの戦術の多くへの対応して戦えるだけでなく、試合毎に相性の良い選手が、持ち味を発揮して、攻守で安定した戦い方をすることができる。その個性の戦術の色の可能性はまさに虹そのもので、虹色のように個性が耀き、雨の後の晴れのような勝利に繋げることができるファジの戦術の事を指すファジ造語。

2024ファジ造語No.8
『 ≫≫田段陣地≪≪ 』
 「多段構え」の防壁と、隙を少なくする戦術的な「防御陣形」に、18田上 大地 選手の名前から、「田上=田んぼの上」では水があることで、自由に動けない。そして、「大地=広大な土地」であることで、広範囲にその守備の連動が及びという意味、そして地に足が付いた意味を全て込めることで、18田上 大地 選手の守備が、複数の守備戦術と強固な壁を構築された上で、隙の少ない堅守で、統率された守備ができる事を示すファジ造語2024です。

2024ファジ造語No.9
『 ≫≫グレイZone≪≪ 』

 岡山の最前線のDFラインと中盤の間のエリアで、9グレイソン選手がプレーするエリア。ここで、攻撃で起点を作ることができて、守備では、対戦チームの前進を阻んだり遅らせることができる。9グレイソン 選手のこうしたプレースタイルとプレーエリアは唯一無二で、岡山の堅守を支えるだけではなく、岡山の流れの切れない攻撃を可能とする。まさにその様子は、難攻不落の前線基地のエリアで、本来は対戦チームが有利なエリアだが、五分五分に持ち込める本来の意味も含めた効果を比喩して創ったファジ造語。

2024ファジ造語No.10
『 ≫≫岡山式三段撃ち≪≪ 』

 GKの守る最後の砦である本陣の前を「DF:空中戦、クリア」・「MF:パスカット、セカンドボール回収、サイドの主導権」・「FW:プレス、プレスバック」の「三段撃ち」で陣地を押し返して、気が付いたら岡山が守備から攻撃まで陣地回復できる強靭な守備。また、仮に敗れてもゴールに体を投げ出して守る守備ブロックと某ゲームのゴーレムのように、ゴールに蓋をする守護神が備えている堅守である岡山の守り方の説明を一言で表現したファジ造語。

2024ファジ造語No.11
『 ≫≫動かざるごと岡山の如し≪≪ 』

 対戦相手やどういった状況でも、岡山は無理に攻めることなく、好機をじっくり待ち、やることを徹底して、最後まで可能性を信じて戦える自信と謙虚のバランスの取れたメンタルの強さ。そして、個の力や組織力のどちらでも向かってくる対戦クラブをしっかり受け止めるチームとしての体幹の強さで、横綱相撲のように攻守で着実に前進して、そのまま押し切れるチームの総合力の高さ。ここを戦国大名の武田 信玄の「風林火山」の「山」の「不動如岡山」の「動かざるごと山の如し」の「山」に「岡」を加えて「動かざるごと岡山の如し」に変えて、岡山の攻守の安定感を強調したファジ造語。

2024ファジ造語No.12
『 ≫≫キヤマアイ≪≪ 』
 木山 隆之 監督の勝利に逆算した勝負勘が優れた決断力に裏打ちされた本質を見極める「着眼大局」の眼を例えたファジ造語。木山 隆之 監督は、勝利のために必要なことを見極めて、情に左右されることなく、冷静に決断を下すことができる。無謀ではなく、挑戦を選択できる木山 隆之 監督が、勝負術に優れる勝負師の監督でもあることも示す。

2024ファジ造語No.13
『 ≫≫仙波クルゴール≪≪ 』

 他のファジサポさんが命名された仙波クルクルにインスパイアを受けて、そこを少し加えて、仙波クルゴールと表現しました。これは、バイシクルみたいな響きの良さを仙波クルクルから残して、そこにシンプルにゴールを加えた。イメージ的には、仙波クルクルのように相手のベクトルを利用して、守備を無効として、決めるシュートのことを指したファジ造語です。

2024ファジ造語No.14
『 ≫≫∞GX FIELD∞≪≪ 』

 ハーフウェーラインより前のどこからでも決定的な仕事ができる8番 ガブリエル・シャビエル 選手の得意なプレー範囲の広さを表現したファジ造語。クロスでのチャンスメークやスルーパスでの決定機を作り出せる。そして、自身もゴール前でパスを受けることで、得点を決めることもできる。

2024ファジ造語No.15
『≫≫守備一冠(首尾一貫)≪≪』

今季の岡山スタイルを表現したファジ造語。守備でタイトルが取れるだけの堅守こそ岡山の武器であり、岡山が、どういった状況でも守備への考え方や高い守備意識はぶれることなく、ファジアーノ岡山クラブは、献身性とハードワークで構築してきた「堅守」。これこそがまさしく「首尾一貫」してきたスタイルであり、一冠を取ることで「守備一冠」のファジスタイルとして、内外に示せるシーズンとなって欲しいという願いも込めたファジ造語。


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