1、クラブ名鑑11~ロアッソ熊本~
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2、ランキングデータ&注目選手
今回もJリーグのデータサイトであるFootball LABさんのランキングを一部引用。
・データでの注目選手
MF:21番 豊田 歩 選手(CH):攻撃・パス・パスレシーブ(1位)
個ではなく、チームとして前進することで、その中心にいる21番 豊田 歩 選手にボールが集まる。「ゲームメーク」という言葉があるが、21番 豊田 歩 選手が、ロアッソスタイルをメークする。
MF:9番 大本 祐槻 選手(右WB):クロス(1位)
甲府戦の最後の辺りは流石に疲れこそ見えたが、チームとしての細かい上下動を何度も繰り返す中で、パスのようなクロス。クロスのようなパス。絶妙な精度と弱点見極める視野の広さが伴った「パロス」は、DFを無力化できる。
MF:16番 松岡 瑠夢 選手(CF):ドリブル・シュート(1位)
崩すパスのためのドリブルを可能とするポジショニングと攻守でのハードワークの先にあるチームとして崩した先でのシュート。つまり、フィニッシュに顔を出せる戦術理解度の高いMF色の強い役割がストライクアタッカー。
MF:3番 大西 遼太郎 選手(CB):ゴール(1位)
この試合では、そういったシーンこそ少なかったが、このスタイルであれば、流れからもセットプレーでの得点を狙える機会が多いのではないかと感じた。
MF:8番 上村 周平 選手(CH):奪取(1位)
パスワークも上手かったが、やはり特徴というか役割の中で守備機会が多くなったのではないかと感じた。やはり熊本は、攻撃でも守備でも中央が鍵と感じた。
DF:24番 江崎 巧朗 選手(CB):守備(1位)
驚異の全試合フル出場。DFでも細かいポジションチェンジを繰り返す中で、組み立てでも守備でも中心にいる。まさに「心技体」での熊本のDFラインとチームの要。
GK:1番 田代 琉我 選手(GK):セーブ(1位)
不動の守護神。熊本の独自スタイルを繋ぎから体現した上で、GKとしてもしっかり仕事をする。攻守のタスクが多い中でも判断の「バグ」は少なく、自然体で動じない不動の守護神。
・データ以外での注目選手
FW:29番 道脇 豊 選手(CF)
高校生の時から熊本の選手として登録された熊本ユース出身の生え抜きの大型ストライカー。長身でありながら、速さもあって身体能力が高い。そして、足下の技術もしっかりしている。甲府戦で、チームに勝ち点1に繋げた弾丸ミドルシュートでの同点ゴールを決めた。しかもその得点は、自身にとってのJ2初ゴールであり、ロアッソ熊本のJリーグ通算600ゴール目。持っている選手であり、ここからの成長と活躍が楽しみな将来性「豊」な18歳。
3、プレビュー~行く&埋めるの徹底~
熊本のサッカーは、攻撃にかなり力を割いた上で、守備はアクションになりがちであるが、そこの部分で個が求められるという意味での個の比重が1である。
私がチェックした甲府相手だったことが影響しているかもしれないが、これだけスムーズに前進した上で、得点の匂いがかなりするアクションを起こせるサッカーを90分間やり続けることができるという意味では、完成度はかなり高い。
チームとしては、それで勝てなければという面こそあるかもしれないが、それでも相手は甲府であり、そこで打ち負けない攻撃の完成度はやはり高いと言える。
そういった熊本に対して、岡山が意識すべき事を、後ろを意識したプレスである。熊本のパスワークは、キックの多彩さだけではなく、細かいポジショニングの取り直しの繰り返しにある。
そのため岡山としては、常時そこに対応していかなければ、プレスに行った背後に出されて、そのまま熊本の前進を許すだけではなく、サイドからの絶妙なクロスやペナルティエリア内に効果的に侵入と分散した受け手と出し手の選択肢が多い攻勢により岡山の守備ブロックも無力さされる可能性もある。
ゴール前の密集を分散に変えるような速効性と嗅覚優れるポジショニングや視野の広いパス感覚をほぼ全選手が持っている。
そのため熊本の「繋ぐ」に対して、岡山は当然「プレス」という選択肢を迫られるが、いつも以上に集中して周りを見て、対応する必要がある。ここは、組織的に対応するというよりは、個人個人の守備感覚と普段での組織的連携での意思疎通をどれだけ図れるかにある。
組織的な完成度の高い熊本の攻撃に対しては「行く&埋める」をセットにした一体感のある守備を90分間でどれだけ徹底できるかにあるだろう。
それが出来た時に、熊本の繋ぐ前進に上手く対応できた時やゴール前での奪ってからの速攻となった時に、瞬時に熊本の弱い所を突けるかどうかという試合になるはずだ。
秋田のように攻めきれない時間や回数が少なくなるというよりは、熊本戦における攻撃は、どれだけ自然体に自分たちの個の力を引き出せるかである。
3年間、大木ロアッソと戦ってきた木山ファジではあるが、今季が最も対抗し易いチーム状況に感じるだけに、守備では一体感のある守備の徹底と、攻撃では、自然体で攻撃に「行き」、攻撃での人数や厚みが足りない時に「埋める」攻撃ができるかが、問われる試合になるだろう。
時折出てくる正確で的確なロングパスに警戒しつつ、「勝利に必要な一体感」をどれだけ作り出せるか。
自分達の色を出し易い部分こそあるが、だからこそその流れの中で、良さを消せる部分も徹底できるか。勝負を分けるポイントになるであろう。
この両チームの戦いの先にあるのは、どういった結末か。
2024 J2 第11節 ファジアーノ vs ロアッソ熊本
2024年4月20日(土)14:00kick off シティライトスタジアム
最後まで読んで下さり有難うございました。
文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino
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4、アディショナルタイム(ファジ造語24)