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ラグビーの「ゲームメーカー」:戦術観戦ガイド 中級編(1)

 先日、ラグビーコーチで、ラグビーの戦術についての書籍を3冊刊行されている井上正幸さんと対談させて頂く機会があり、先ほどその動画がアップされました。

 動画の冒頭でお話ししているとおり、井上さんからDMでお誘いがあり、文字通り秒でお返事を返しました(笑)。井上さんとお話しできる機会を逃すなど、戦術寄りのラグビーファンとしては考えられませんから(笑)。


 先日まで、初心者観戦ガイドを書いてきましたが、井上さんとの対談がアップされた機会に、観戦ガイド〔中級編〕を書いてみようと思いました。

 内容は、井上さんの『ラグビー戦術入門ガイド』を超えるものはないのですが、私なりに、一般のラグビーファンにわかりやすいようかみ砕いて書いてみようと思ったんです。

 まず、今日は「ラグビーのゲームメーカー」について。

 ブレイブブロッサムズひとこと選手紹介のところでも書いてますが、私は、原則として、スクラムハーフ(9番)、スタンドオフ(10番)、インサイドセンター(12番)のことをゲームメーカーと呼んでいますし、上記の動画の中でもそうやって話しています。なぜ私が彼らのことをそう呼んでいるのか、ということをまずお話しします。

まず、典型的なポジショニングを書きます(下図)。
(本当はサッカーのTACTICAListaのような戦術表示ツールが欲しいのですが、適当なのが見つからなかったので手書きで(笑))

 上図のように、ブレイクダウン(一般的にはラック。ごちゃごちゃっとしたかたまりのことです)ができると、そこからボールを出すために9番(スクラムハーフ)がつき、その横にフォワードが3人、その後ろに10番(スタンドオフ)が立ちます。
 さらにその横にフォワードが3人、その後方に12番(インサイドハーフ)が立ち、その右に2人程度並ぶというのが、ラグビーにおける典型的な立ち位置です。

 このうち、9番からボールを受ける、一番前に並んでいるフォワード3人をひとかたまりのユニットとして捉えて「9シェイプ」、10番からボールを受ける、2列目に並んでいるフォワード3人を同じようにひとかたまりのユニットとして捉えて「10シェイプ」、その後ろの、12番からパスを受ける位置に立っている選手たちを「12シェイプ」と呼びます(下図)。

 上図で示したように、これらの「●●シェイプ」からなる隊形は、横に広がった形になります。

 そして、この「●●シェイプ」と呼ばれるユニットのカギとなるのが、それぞれ、9番、10番、12番なのです。

 9シェイプの付近での攻撃は9番スクラムハーフが判断し、10シェイプにボールが来たときの攻撃は10番スタンドオフが判断し、12シェイプにボールが来たときは12番インサイドセンターが判断します(下図)。

 ここで言う判断とは、キックをするか、そのユニットの味方選手にパスをするか、自分で走って仕掛けるか、あるいは10番や12番のような、1列後ろのユニットにパスをするかです(上図でも下図でも)。

 一般的に、この3人の選手の判断によって攻撃オプションが決まっていくので、私はこの3つのポジションの選手を「ゲームメーカー」と呼んでいるのです。

(続く)



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