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まずは11番と14番に注目してみよう:ラグビー初心者観戦ガイド(4)

 いろいろと時間がかかってしまいましたが、ラグビー初心者観戦ガイド、最終回です。

 今日のポイントは、まずは11番と14番に注目して試合を見てみよう、ということです。11番と14番はウイングというポジション。そしてウイングの仕事は、「トライを取ること」です。

 ラグビーにはいろんなポジションがあります。一番ざっくりしたわけ方がフォワードとバックス、さらに細かく分けると、プロップ、フッカー、ロック、フランカーなどなど、10個のポジションの種類があり、いくつかのポジションには右と左に分けられ、全部で15個のポジションということになります。

 それぞれの役割についてはブレイブブロッサムズひとこと選手紹介でも書きました。 

 さて、この中で一番足の速い選手がつくポジションはどこでしょう?
それはウイングです。背番号では11番と14番。それ以外のポジションでも足の速い選手がつくことはありますが、そういうときでも、「ウイング並みの走力」と言われるくらい、ウイングは足の速い選手の代名詞でもあります。

 なぜウイングに足の速い選手を置くのか。それは、ものすごくシンプルに言ってしまえば、ウイングの仕事が「トライを取ること」だからです。さらに誤解を恐れずに言えば、ラグビーの戦術とは、ウイングにスペースがある状態(=全力疾走できる状態)でボールを渡すことが基本的な目的であるとさえ言えます。

 逆に言えば、ウイングがトライを取っている展開ということは、戦術がうまくはまっている試合展開だということもできます。例えば、2019年大会でアイルランドに勝利したアイルランド戦、日本が取った唯一のトライはウイングの福岡堅樹選手のものでした。

 ベスト8進出を決めたスコットランド戦では、日本は4つのトライを挙げていますが、そのうちの3つがウイングの福岡堅樹選手と松島幸太朗選手によるものです。

 もちろん、戦術としては「オモテ」があれば「ウラ」があり、ウイングに回すのではなくフォワードで攻めていくこともあります。ただし、ウイングがトライを取れていれば、戦術がきちんと機能していると言うことでもあるのです。

 また、自分たちが攻めているときではなく、相手からボールを奪った「ターンオーバー」と言われるチャンスの時があります。なぜチャンスかというと、ボールを奪った瞬間(サッカーで言う「トランジション」)は、守備が整っていないからです。この瞬間はスペースがあることが多いです。なので、ターンオーバーできたら、素早くウイングにボールを回して走らせる、というのも1つの戦い方です。

 逆に、フォワードが劣勢だと、ウイングまでボールが回らない、ということがしばしば起こります。この時は戦術が機能していないと言うことでもあるのです。

 このように、ウイングが走れるような形でボールが渡っているかどうか、ということが、準備した形で戦えているかを判断する単純な指標になるのです。11番か14番にボールが渡っているのか、渡っているとすればどんなシチュエーションか。そのあたりに注目して見ていくと、試合の流れがつかみやすくなると思います

(2023.9.18補足)
本日早朝に行われた日本代表対イングランド代表戦で興味深い場面がありました。

後半開始直後、ブレイブブロッサムズが上げたハイパントをイングランドが確保、左に展開してライン際をウイングに走らせた場面です。
 崩れた局面でウイングにボールを渡して走らせるというのは戦術的には常道。ただしこれに、ロックのファカタヴァが戻ってタックルで押し出すのです。
 ウイングと走り合って負けないロックというのはなかなかいません。それだけ彼の能力の高さを示している場面ということです。


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