すぎおとひつじ

青函隧道に生息する二つ足のいきもの

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最近の記事

日本のチェーンソー史

はじめに ホラー映画「悪魔のいけにえ」に登場する殺人鬼が使用することで一躍(?)有名になったチェーンソー。チェーンソーのイメージがスプラッターorホラーorアクションと強く結び付くようになったのは、本邦においては恐らくここからだと思われる。以降、創作物において凶器や武器などとして登場するようになったチェーンソーであるが、このnoteでは特にその一面には触れない。 本noteは、道具としてのチェーンソー、特に「木を伐る機械」としてのチェーンソーに着目し、どのような経緯で日本

    • 映画「八十八年目の太陽」を見てきた

      注: 1940年前後に制作された映画の感想です。以下では映画の内容、制作時期や背景の説明のために、当時に即した表現を使っている場合があります。 あとめっちゃ長いnoteです(3800字くらいある)。 はじめに(見に行った理由など) 2022年12月04日(日)、神奈川県横須賀市は浦賀の浦賀ドックシアター(浦賀レンガドック下)にて、映画「八十八年目の太陽」が復刻上映されたので見に行ってきた。 横須賀市や神奈川新聞の特集はこちら: YOKOSUKA PORTAL MAGAZ

      • 故郷

         大学に入って9年目の秋が来た。今の住処には1年目の冬、引っ越してきたので、今度の冬で8年住んでいるということになる。四捨五入すれば10年、随分と長く一所に留まっているなあと思う。  転勤族でこそなかったが、家庭事情で転居が多かったため私は土地に対する愛憎がとても薄い。帰省する実家が無いため「帰省」がよく分からない。親戚宅へ居候していた時期の影響か、血縁者は苦手だ。  「帰る」が分からない。  「帰る場所」が分からない。  「帰りたい場所」はもっと分からない。  親切な

        • カメと暮らせば 2

           クサガメの「師匠」(※名前)と暮らすようになって5年ほど経った。 拾った経緯については以前の記事に詳しいので、こちらを見てほしい(横着)。 note記事「カメと暮らせば」 https://note.com/sugiohitsuji/n/n4a65cf3b8395  あれから2年ほど経った2021年の師匠であるが、拾ったときより一回りほど大きくなったように思え、脱走の予感で日々、私を戦々恐々とさせている。実際、かなり危ない場面は幾度かあった。  カメ類の図鑑によると、ク

        日本のチェーンソー史

          調べることと考え続けること、創作すること

          戦争や災害や事故などを創作の中で扱うことについて、書きました。 とてもとても個人的な話、自分の中での尽きない悩みのようなものです。 ちなみに以降、弊創作の大規模なネタバレを含みます。 自分の創作全般の話について 私は「擬人化」というジャンルで創作活動をしている。人それぞれ、創作によって千差万別だが、「ヒト」でないものを何らかの方向性で「人」めいたカタチとして表現する領域、と述べておこう。基本的には実在するモノを取り扱うので、その特徴……外観だったり、来歴だったり、性能だった

          調べることと考え続けること、創作すること

          親の戸籍を出た話

          分籍した話です。  戸籍。出生から死亡までの事項や親子・夫婦といった親族関係を登録し公証する制度であって、日本国籍であることも証明されるものである。  といっても、結婚したり、離婚したり、子の出生届や親の死亡届を出すなど、よっぽどのことが無ければ普通は意識しない制度であって、恐らく一番身近で「本籍」という字を見るのは住民票の写しの請求時、それも「本籍を記載しますか?」という書類の項目であると思われる(そして大抵の場合は本籍の記載は必要ない)。 ※注:大学等の授業料等免除の申

          親の戸籍を出た話

          秋葉原超同人祭備忘録

           この度、メロンブックス(同人誌や同人グッズなどを取り扱っている書店の1つ)の主催する「秋葉原超同人祭」というイベントに参加した。サークル側、一般側の参加者双方の視点から見ることができたので、忘れないうちに記録を残しておく。 私の主宰するサークルと書店委託の利用について 私はコミケで言うと「鉄道・旅行・メカミリ」に分類されるジャンルで同人誌を書いている。具体的には「青函連絡船」という鉄道連絡船の情報まとめ本や青森・函館の旅行ガイドなどを作っている(活動のメインは創作なのだが

          秋葉原超同人祭備忘録

          廊下のどんづまりにある図書室のはなし

          私の通っていた小学校は、教室のある棟と音楽室などの特別教室のある棟が分かれていて、教室棟は南向きの明るく光が射し込む建物だが、別棟は北向きの、薄暗くて少し空気の澱んだ場所だった。 この別棟の、それも最上階の廊下のどんづまりにあったのが図書室で、ここに行くまでの道のりは、小心者にとってはかなり怖いものだった。実際、図書室の手前にあるトイレには、放課後おばけが出るといううわさもあった。図書室は本を保護するためだろう、いつもカーテンが閉まっていて、照明は絞ってあった。古い紙と埃の

          廊下のどんづまりにある図書室のはなし

          ペンギンになりたかった友人のはなし

          もう10数年、いや、20年近く前のことだが、わたしは坂道の途中にある小学校に通っていた。より正確に言うならば、小学校の敷地が傾斜地にあって、両脇を坂道が通っていた。校門はいずれも坂道の途中にあって、わたしは東側の門を使っていた。傾斜地を切り開いて造られているものだから、校庭の端は崖のように切り立っていて、ずいぶんと高低差があった。…ただし、ほんものの崖のようにのっぺりとした絶壁ではなく、そこには石の段々が設けてあって、傾斜地の一番上まで登れるようになっていた。段々の最上部には

          ペンギンになりたかった友人のはなし

          悪魔召喚ごっこをした話

          こんな夢を見た。 ある日突然、「悪魔召喚ごっこ」をしたいと思い立ち、TwiPlaで参加者を募集した。こんな怪しい企画に乗ってくる人間はいないだろうと考えていたが、奇特な男女4名が名乗りを上げてきた。…展開が滅茶苦茶だが、夢だから仕方ない。 会場は夢にありがちな謎の公共建築で、今振り返ると「京都駅(駅ビル)」に似ていたようにも思う。吹き抜けがガラス越しに見える高層階の一角で、その妙な集会は始まった。 初めに現れたのは存在感の薄い女性だった。こんな企画に参加する段階で存在感

          悪魔召喚ごっこをした話

          カメと暮らせば

          私は家に一匹のカメを飼っている。名を「師匠」という。 師匠は3年前の夏、大学の農場でひからびかけているところを私に発見されて保護された。大学の周囲は住宅地で、池のある公園までも1㎞ほどはあるので、全くもってどこから来たか謎だった。弊研究室には手頃な空き容器がなかったので、水系の研究をしている隣の研究室に駆け込んだのだが、甲長20㎝はありそうな大きなカメを手に現れた同期を見て、友人は困惑していた。当然だ。すまなかったと思う。 カメを保護したはいいが、どうするべきかというのは

          カメと暮らせば

          擬人化を人名で呼ばない理由を考察した

          自分が、自創作の擬人化キャラクターたちを積極的に人名で呼ばない理由を考察してみたら大層面白かったので、文に書いてみました。 一応断っておきますが、これは、「擬人化は人名で呼ばなければいけない」逆に、「人名で呼んではいけない」ということを述べる文ではありません。あくまで、「私が」「なぜ」「人名で呼びたがらないのか」を探ってみた文です。あしからず。 1.擬人化と、擬人化創作の定義そもそも、「擬人化」「擬人化」と気軽に呼んでいますが、「擬人化」ってなんでしょう。よくよく考えたら

          擬人化を人名で呼ばない理由を考察した