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納豆一筋の会社がたどり着いた新しい挑戦は、やっぱり納豆だった

腸は第2の脳とも言われるくらい重要だとよく聞かれるようになり、さらには、「腸活」なんて言葉も生まれており、腸の大切さがさまざまなメディアでも取り上げられています。

この「腸活」に効果的な食材として、注目を集めているのが納豆です。納豆に含まれる納豆菌などの効果によって、腸の健康状態を高めることができると言われています。

そんな熱い注目を集めている納豆ですが、ことビジネスの世界では状況はかなり厳しいものです。というのも、納豆の製造には時間、手間、技術がかかる割に、他社との差別化が難しい商品だからです。

納豆を選ぶときに、多くの人はちょっとした味の違い、もしくは値段で選んでいるのではないでしょうか。体にいいものは少し高くても選びたいという人も増えている中で、体にいい納豆が置かれている状況は、特殊とも言える状態です。

そんな納豆の厳しい状況を打破しようと挑戦を続ける会社があります。それが、群馬県のみどり市にて、納豆一筋で歩み続けている加豆フーズです。

今回は、この加豆フーズの加藤さん、熊倉さんにお話を伺いました。



納豆一筋で、もうすぐ30年

加豆フーズが創業したのは、1996年。加藤さんの父親に当たる加藤進さんが創業されました。もともと、実家が豆腐や納豆を製造販売されていたこともあり、その縁もあって、加藤進さんは納豆専門として事業を始めました。

創業から納豆の製造については、技術の進歩が起き続けてきており、さらに、考え方も変化し続けているそうです。そのような時代の変化を掴みながら、納豆一筋でやってきました。

群馬県は温泉街としても名を馳せているので、温泉街の旅館や宿泊施設が主なお得意先となっており、そのほかには、学校給食や病院施設、介護施設などでも取り入れられているそうです。

群馬県産の大豆を使って、群馬県内の施設に喜ばれる納豆を作り続ける。そんな加豆フーズさんに、こんな声が聞こえてきました。
「小学校低学年には、パックの納豆が扱いにくいのですが、なんとかなりませんか?」

この声を受けて、加豆フーズさんは新商品の開発に乗り出します。

学校給食のために生まれた新商品

納豆といえばパックに入ったもの、というイメージが強くあります。そして、納豆を食べるときは、パックを開けて、フィルムを剥がして、タレと辛子を入れるもの、というイメージも。

あまりにも慣れすぎてしまって当たり前だったこの納豆の形が、小学生(特に低学年)にとっては難しいものだったのです。

タレの小袋が開けられない、開けようとしたら飛び散る、糸が引いてうまく食べられない、など。大人だと慣れてしまって気にしない課題がたくさんありました。

この課題を乗り越えようと、加豆フーズは新しい納豆の形を追求しました。それが、タレを混ぜた納豆をスティック状に詰めるというものです。


スティック状の納豆の商品写真

タレを混ぜるのが難しいのであれば、最初から混ぜておけばいい。かき混ぜるのが難しいのであれば、それも、最初からかき混ぜておけばいい。スティックから出せば、食べられるようにしておけばいい。シンプルながらなかなか思いつかない発想です。

この発想通りに作れれば小学生にも喜んでもらえる。そう確信したまでは良かったものの、技術的にはかなり苦労することとなりました。

というのも、当初は液体を詰める機械を応用して、かき混ぜた納豆をフィルムに詰めて、一回分ごとにカットする作業をしていたのですが、これがなかなか安定してくれません。

粘りのある納豆を詰めようとすると、納豆と納豆の隙間に空気が入ってしまい重さが一定になりません。その結果、フィルムをカットする場所がずれてしまったり、斜めにカットされてしまったり、ひどいときには納豆が漏れ出てしまうこともあったようです。

当初はこのような状態だったため、夜までずっと、詰める作業、カットに問題がないか見張り続けなきゃいけない状態だったそうです。そこから、機械を新調したり、機械の調整を行ったり、試行錯誤を繰り返した結果、スティック状の納豆が誕生したそうです。

誕生までには構想からおよそ3年の月日が経っていました。時間はかかりましたが、学校だけでなく、病院や介護施設などからも問い合わせを受けて、多くの人たちに喜んでもらえる商品となりました。


コロナ禍を乗り越えるために

納豆の形を変える挑戦を乗り越えた加豆フーズを次に襲った試練は、新型コロナウイルスの感染拡大でした。2020年、緊急事態宣言の発令とともに、旅行者は激減し、小学校も休校となりました。

旅館の食事や、学校給食とのつながりが大きかった加豆フーズは、その影響を強く受けることとなりました。毎日製造していたものも、2週間に1度作るほどに、製造の多くが停止することとなりました。

そのような苦しい状況の中、何かできることはないかと前向きに考えます。そして、いままで日常業務に追われていてできなかったことをやっていこうと考えます。

たとえば、商品を一から見直すことで、コストダウンできるところはないか検証をすることができました。そのほかにも、自社の分析を改めて時間をかけて行ったり、工場をリフォームしたりと。こんな時だからこそできることを1つずつ行っていきました。

そして、実は、このコロナの時期の前後から、納豆の、加豆フーズの新しい挑戦が始まっていました。


納豆が化ける?!

スティック型の納豆の次の挑戦、それは納豆パウダーでした。それは、文字通り、乾燥させた納豆を粉状にしたものです。

パウダーになった納豆

味は、プレーン、コーヒー、桑茶の3種類あり、プレーンはヨーグルトや離乳食に混ぜれば、納豆の栄養素を補給することができます。また、コーヒーや桑茶はお湯に溶かすことで、飲み物として楽しむことができるものです。

このように、パウダーになったことでこれまでの納豆とは全く違う可能性が生まれています。食べ方にしても、楽しみ方にしても、そして、他の食べ物への応用にしても。

このように、加豆フーズは納豆の新しい可能性を探り続けています。まずは、入れ物をパックからスティックへと。そして、今回は納豆自体を豆から粉へと。こうすることで、納豆がいろいろなものへと化けることができました。

今後は、この納豆パウダーを応用して、ドッグフードなどにしていく構想もあるそうです。この先、納豆が思いもよらなかった場所で使われるようになるかもしれません。

そして、それは日本だけではなく海外でも。


中小企業が変われば、日本が変わる。その思いをもとに、今まさに変わろうとしている、新しい挑戦に取り組んでいる、チャレンジしている中小企業をご紹介しました。

有限会社加豆フーズの新しい納豆が、あなたの明日の生活を変えるかもしれません。
それでは、次回のnoteもお楽しみに。


加豆フーズさんのホームページはこちらです