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パンク侍、斬られて候をみたよ

大きな映画館では昨日までの放映だったようなので頑張って早起きをして出社し世間一般の定時で退社、そのまま映画館に行ってきました。
しかし相変わらず邦画の予告はクソですね。この件については以前もボコスカに自分の思いを書き殴ったので割愛します。

高校生の頃友達に、いつまで経っても文学フリマの原稿を仕上げない、しかも音信不通になってしまった友達に(これは多分僕が結構きつい書き方をしたメッセージを送りつけたからかもしれないけど、いずれにせよ口だけのやつはダメだ)、町田康という人がNHKで自分の小説の朗読をやっていて面白かったよという話をされたのがきっかけで以後町田町蔵町田康作品にこの歳になるまで没頭夢中になっているんですが中でもこの「パンク侍、斬られて候」には当時痛く感動した覚えがありました。

これは絶対映画でやったら面白いだろうなーと調べてみたけど舞台しかやっておらずその舞台もずいぶん前に終了している。いつか映画化されないかなーと思っていたらついに映画化、見ないでか!というわけで心待ちにしていたのだけど妙に豪華なキャストに加え脚本にクドカン…クドカンかよ…僕は最近のクドカンに対して全くいい印象を持っていないので肩透かしを食らった気分でした。しかもプロモーションでカフェーをやったり、これは多分dTVが出資してるせいかなーと思うけど。思っていたのと違う。全然エンタメじゃん。

町田康の小説は過去に「けものがれ、俺らの猿と」が映画化されています。鳥肌実の怪演や劇中で使われている音楽が話題になりました。その頃はまだ5歳とかだったので知りませんけど。あとで当時の雑誌を見つけて読んだらそんなことが書いてあったような気がします。まあこっちは短編ということもあるのか場面の映像描写がかっこよくて良かったです。"良かった"という言葉に集約されています。とにかくかっこよく、で不条理で。

もう一本「人間の屑」という小説も映画化されているのですが、こちらは現在VHSしか存在しない。しかもどこも品切れ。行くとこ行ったらあるのかもしれないけどネットでは見たことありません。これもどうしても見たい。元が好きな作品なので。

というのは他作品の話なんですけど、この二本のようにアングラサブカルな雰囲気でやるには確かにパンク侍はスケールが違いすぎる。 こうなるのも畢竟だったのかもしれない。
それでパンク侍、問題の内容ですが、これが良かった。期待していなかったから余計に良かったと感じたのかもしれません。レビューサイトを読むと「クドカンファンが騒いでるだけ」とか「前半は笑えたけど後半がよくわからなかった」とか「意味不明」とかそういうレビューが目についてそれ以外は読んでいないのですが、クドカン要素は僕にはわからん、前半はむしろ茶番で後半にかけて盛り上がるあの虚無、虚構、素晴らしかったのではないか、いや原作がまずめっちゃいいんですけど。まあよくあの長ったらしくて一部説教くさい小説をスピーディではあったけどまとめあげたなあと思いました。むしろエンタメ路線で行ったのが功を奏したのではないでしょうか。

昨日まで北川景子があれほど美しい女性だということを僕は知りませんでした。北川景子?ダイゴと結婚した人やろ、なんか白色レグフォンっぽいよな、気強そうやし。ぐらいに愚かな僕は考えていたんですけど、いやいや大きな間違いだった。北川景子のような人に例えばFalloutの世界で一度出会ったならそれこそ荒野に咲く一輪の花ですよ。その胸に顔を埋めて泣きたい、そんな気持ちになるでしょう。そこが感動ポイント一点。

もう一点としては猿です。町田康作品には猿とうどんがよく出てきます。初期の作品では確かうどん屋でバイトしている主人公が猿を熱湯に落として殺してしまうという猿とうどんの掛け合わせ的な短編がありました。だいぶ覚束ない記憶ですが。
パンク侍にも猿とうどん?あるいは素麺だったかが出てきます。いや、素麺について言及していたのは真実真性日記の方だったかもしれない。とにかく猿がたくさん出てきます。ニホンザルです。後半は猿と馬鹿の合戦シーンが長々と描かれる、ここがクライマックスなんですけど、猿が可愛い。ニホンザルといえば箕面などで野生化しており紅葉を見にきた一般人を襲っては食物やカメラを奪い取る、野蛮な集団のイメージが過去の経験からあって、なぜ動物園に猿山なんてあるんだ、誰が見るんだ、と不思議でならなかったのです。けれどよく見ると可愛い。人間は愚か。比して猿はなんてまっすぐな目をしているんだ。その猿たちが馬鹿を相手に戦っている…画面に見入っていると嗚咽してしまいました。
就職してからの傾向として、映画などで人と人が協力しあっているシーンを見ると僕はすぐに嗚咽してしまいます。人間に対して限界なのかもしれません。まあこの猿が良かったというところがもう一点です。

だいたい書きたいことが書けたので満足してしまいました。今度九月に町田康バンド "汝、我が民に非ズ" のファーストアルバムが発売されます。去年ぐらいからライブに行くと録音中で〜というMCがあったんですけど「犬とチャーハンのすきま」以来実に8年ぶりの新作。楽しみで楽しみで仕方がありません。ライブに行くたび新曲が増えていて一体その中からどの曲がセレクトされるのか、、頑張って生きていこうと思います。

終わり。


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