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【対立マネージメントの初期レビュー】Conflict and Its Management

概要

本研究では対立の文献をレビューし、対立の契機、中核的な経過とその効果を明らかにする。次に、対立のエスカレーション (及びデエスカレーション)、文脈及びマネージメントを調べる。最後のトピックの検討によって、われわれは対立が関与者自身、管理者または第三者によりマネージメントできることがわかる。最後に、今後の研究の方向性の提言及びマネージャーへの推奨事項を提言する。

(組織の心理学的健康を保ち、組織の維持に必要な生産性を維持・向上させる介入方法はほぼないといっていい
(例えばストレスマネジメントはもちろん予防に貢献しているが、クリティカルな組織の問題にはほぼ意味をなさない
(復職が機能すればよいが、各支援団体がいろいろ細工をしているために網の目からこぼれるものが少なくない
(一次予防としての機能を果たす論文か見定めること
(ただし、だからと言って心理学が機能を果たしていないわけではない
(例えば、コンサルテーションなどはほぼ理論も何もないわけだし、ほかに教員は児童生徒の学習や成長を促す理論的基盤にかかわる論文などほぼ読んでいない
(他に会社などは、えらい成功者のセミナーに参加して勉強できたといってるわけなので、ストレスマネジメントやその他これまで紹介した理論と実践および検証が報告されていることは人文科学の他の領域を強く凌駕していることは指摘しておく
(特に、個人支援を目標とする臨床心理学においてはほとんど解説していないが、とうの昔に理論的基盤と実践および検証を通じて機能的な結論にいたっていることも言及しておく
(ある個人の個人による支援を目標とする方は、自己の狭い経験で新たな発見をしたという前に先人たちが確立した臨床分野の論文をすべて読むとよい。世間で耳にすることや新たな取り組みを我々は始めたといっていることのすべては素人レベルにも届かないことがわかるだろう

問題と目的

  • 我々が対立するとき、われわれは、いい人間や悪い人間がいると思わず、ただ合意しないだけだと思うべきである

  • 対立について我々はよく知っているが、客観的に原因を見つけて分析するのはとても難しい

  • そして最も難しいのは解決方法を見つけることである

  • 本研究では以下、対立プロセスを概観し、その定義と説明を述べる。次に、対立の原因、中核的なプロセスとその効果を調べる。また、対立のエスカレーションと文脈についても明らかにし、マネージメント方法について言及する

General Overview


  • 対立のレベル (水準) が指摘されている

  • ①個人レベル (役割)

  • ②対人レベル

  • ③グループレベル

  • ④組織レベル

  • ⑤国レベル

  • いずれの対立も図1のプロセスが共通点として指摘されている

対立の定義

対立は、ある集団の関心がほかの集団によって阻害または負の影響を受けることを指す

対立の原因

①個人の特徴:

  • Type-Aパーソナリティ (minor impact?)

  • 個人の価値観

  • 目的 (争いや一番になることが目標だと対立が生じる、高すぎると対立が生じやすい、例えば屈辱を避けるというような難しく厳格な目標だと対立が生じやすい)

  • ストレス

  • 怒り

  • 自立への要求 (ふつうは自律的に機能しているが、例えば従業員があるテクニシャンによるコンピュータシステムの保守に依存している場合、テクニシャンには皆の出勤前に勤務して質問にすぐ対応するよう要求する場合があり、自律性が損害されて対立になる。すなわち、組織のシステムが誰かに強く依存している場合に対立が生じやすくなるとしている)

②対人関係の要因:

  • 知覚のインターフェース:他者が高い目標を持っているという感覚 (集団はその高い目標を実現するためのコストが高いと感じるから。これは間違っている場合もある)、集団の意図、公平性・平等性の規範に反していると感じられる、ある言動が集団を傷つけていると感じられる

  • コミュニケーション:コミュニケーションが少ないと相手のことを知れなくなり調整が難しくなり対立を招く、一方で広範なコミュニケーションは誤解の結果となる対立を招きやすくなる、言葉や表情などの非言語メッセージによる原因帰属の誤り、コミュニケーションの誤解による怒り・嫌悪・不信、反対に正確で明快なコミュニケーションにより個人の高い目標・脅威・意図的な分配・侮辱などの批判によって対立を引き起こしうる

  • 行動:集団の成果を阻害する行動、少ないインタラクション (しかし一度対立が生じた場合はインタラクションの頻度を下げるほうが良いという先行研究がある)、権力争い (つまりマウンティング)

  • 構造:親密で安全だと感じる関係、構造的な権力やパワーの不均衡、従属関係の創造 (異なる目標を抱えながら相互依存関係があると対立は増幅される)、分配関係、

  • 以前の相互作用:過去の対立がうまく解決しなかった (バイアスが生じる)、対立歴

問題

複雑、多重、重要性、分割不可能性 (高速道路が街を貫く場合)

対立の中核的プロセス

結局、利害関係に基づいて、感情の経験後に相手への計画を行い行動化し、互いに反応しあうと言っている
(普通過ぎる)

対立の効果

①個人への影響

  • 怒り・敵意・社会的感情の分裂・緊張・不安・ストレスなどの動揺、罪の意識、高揚感、仕事の満足度の低下、意欲とパフォーマンスの低下

②対人関係への影響

  • 知覚のインターフェース:相手への不信、誤解、相手の行動を傷つける行動として感じる、相手の考え方を理解できなくなる、相手の意図に疑問を感じる、こうした態度は徐々に悪化する

  • コミュニケーション:質の変化 (敵対的、攻撃的、歪曲や誤解が生じる)、量 (増加または減少して変化する)、対立に関係ない人とのコミュニケーションの増加 (対立について話し合うため)

  • 行動:対立が明確なやりとり、回避など受動的な行動、面目を保つための防衛的な行動、直面か、相手を傷つけるような敵対行動、脅し、意思決定への関与の欠如、アブセンティーイズムの増加、生産性の低下

  • 構造:リーダーシップによる統制から独裁的・権威主義的統制への変化、個人の満足度ではなく集団の活動に焦点づけられる、よりグループの凝集性が高まる、相互依存性や協調性の低下

③問題への影響

問題は解決せず、より深まり、複雑化し、数が増え、不明確になり、主要な問題となっていく

④解決と残りへの影響

  • 明示的・暗黙の合意、明示的・暗黙的なデッドロック、お互いに寛容性を示す、統合的な解決 (両方が利益を得る)、分配的な解決 (片方が利益を与える)

  • しかしながら、不審、葛藤、関与の欠如、身体的攻撃、耳を貸さなくなる、いじめるなど影響が残る場合がある

  • 対立により効果的で生産的なやり取りを行えるようになる場合もある、創造性、気づきを得る、古い考えに挑戦する、潜在的な問題に気付いて取り組む、などがある

  • しかしだからと言って対立を促進するものではない (程度によっては取り返しのつかない深刻な事態に発展する)

対立のエスカレーション・デエスカレーション

  • 対立のエスカレーションは、対立の強度の増加または悪化で定義される

  • Pruitt & Rubin (1986) は、対立のエスカレーションの特徴を、①戦略が軽度から重度になる、②問題の急増、③関与者がますます対立に熱中するようになる、④事故の進歩から他者の破壊や罰への目標の変化という特徴を指摘している

  • エスカレーションには、お互いの相乗効果によるスパイラルモデルと、片方がアグレッサーとなっているアグレッサー・ディフェンダーモデルがある (少なくともこの文献の公開時には)

①エスカレーションの契機

  • エスカレートする宿命にある:一般的な条件、文化の相違、拮抗した既往、対立の潜在的コストの見落とし、行動に制限がない、気づかない状態の差、社会性の欠如、以前のクライシス対処歴の欠如、社会的結びつきの欠如、権威のアドバンテージ、権威の知覚、勝敗への意欲、不確かさ、他者の理解のなさ (ミスコミュニケーションや誤解につながり意図をくめなくなる)、長期間の膠着状態

  • 特殊な条件:集団の目標がエスカレートする、完全勝利の目標、相手を打ち負かす目標、エスカレーションに高い価値がある・変化の支えになるという認識、かけるものの高騰、失敗、面目の保持

②デエスカレーションの契機

  • デエスカレーションはエスカレーションの逆ではない

  • 共通の敵の予期、手詰まり、疲労、直近の危機状態、時間的経過、どちらか一方が自発的に降伏する、目標が変わる、一方が相手の怒りを鎮めようとする、悪物ではないというシグナル、緊張を緩和するための行動、デエスカレーションを望んでいるというサイン

(まずここまでの時点で、非常に役に立った
(この時点でのエビデンスレベルは不明確だが、非常に有益な切り口であった
(読み進める

文脈

  • 上図のような階層性や、その場の状況を文脈としてとらえるものもある

  • 他に (重要な指摘なのは) 独立変数として例えば、強い同調圧力、権力、組織の課題の複雑さ、相互依存性、問題の種類、問題の深刻さと数、対人ネットワーク、組織風土とマネージメント様式などをあげている

  • 文脈が葛藤のどの段階の何に影響を及ぼしているのか調べる

  • マネージャークラスはその環境・文脈に介入し、例えば、苦情処理システムの確立、相互依存削減の構造変化、協調行動の強化、対立者への不満の表明、規範の制定、インセンティブ・ルール・手続き・権力構造の見直しなどを行える

  • ただし、上記モデルの特定の階層構造におけるマネージメント方略場別の階層でも有意義であるかは慎重になる必要がある

対立マネージメント:異議申立者の役割

①presctiptive (規範、すべきこと)

  • 原因や経過を認識する

  • 代替案を検討する

  • 原因、経過、結果に働きかける

  • 相手の行動、環境、自分の行動のいずれかに変化を起こすよう試みる

  • 気分を改善する

  • 同意しないことを合理的な手法で表明する

  • ポジティブな意図と行動を結びつける

  • オープンマインドになる

  • 協調的な目標を設定する

  • 対立意見についてオープンに話し合う

  • 自分と相手の立場で同時に考えて統合する

②descriptive (実際の行動)

  • 多くは①Prescriptiveに従う

  • 暴力的で競争的な力を使用する

  • 一方の敗北の象徴について合意する (重要な要塞や鉄道路線の占領など)

  • 相手を同意、撤退、考えを変えさせる

  • 完全に打ち負かそうとする

  • 強制

  • 回避

  • 妥協する

  • 問題解決する

  • 和解する

(少し驚いたが、こういう、例えば対立についてあらゆる事象を記載するのは大切かもしれない
(例えばハラスメントについて隠蔽や退職へ追いやる行動が見られたり、不正を隠ぺいするために様々な取り組みを始めて目をそらそうとしたり、急に手のひらを返して新たな人と連携を始めたりすることも事実として大切かもしれない
(だから、自殺対策の分野に、自殺を認めてもいいという人間が大量に存在していたりむしろ指導していることも明確に指摘していく必要があるだろうし、もうこれ以上書く必要もないだろう、あなたが自覚したうえで不正や倫理的に反する行為をしているわけだから

  • この論文発表時点で、組織の対立を測定する方法には、以下の2つがある

  • MODE(Management  of Differences Exercise; Kilman & Thomas, 1977)

  • ROCI-II(Rahim Organizational Conflict Inventory-II; Rahim1983)

  • 上司部下関係では、上司は強制を用いる傾向にある

  • 上司部下関係では、部下は回避、スムージング、妥協を用いる傾向にある

対立マネージメント:第三者の役割

①管理者の対立マネージメント

  • 介入の効果についてはイエスだ

  • マネージャーなど第三者は競合を管理できる

  • しかし、外部からの介入は、①単独で進んでいる紛争解決を妨害する可能性、②自分の利益を押し付ける可能性、③マネージャも権力に頼る傾向が強い、④マネージャも失敗する可能性がある

  • (第三者がだれか明示せず、紛争問題の実質的知識を獲得し、協力関係を確立するよう提案した)

②調停

  • 調停者は、強制的な技術 (実質的な圧力) により、

  • 対立の当事者をその立場から引き離し、より穏やかな (実際的な) 方法で新しい状況に押し込むこともある

  • 調停は原因に働きかけうるため、予防にもなりうる

  • 解決に至らなくても相互作用が改善される場合がある

  • 対立の当事者に問題解決のスキルを提供する

③仲裁

  • ⇒同意を得やすくなる

  • 従来型、最終オファー、調停からの仲裁 (Mediation and Arbitration)、拘束なし

  • 従来型では、仲裁者は様々な方法を提示する

  • 最終オファーでは、仲裁者は最後の一つの方法を提示する

  • 拘束なしは、調停員は折衷点を提示するが折り合うことはない

  • 最終オファーが従来型よりも冷めた状態を打開する可能性が高いとされている

④懐柔と相談

  • 懐柔や仲裁よりも非公式で、自発的で、問題解決ではなく関係改善を目指すもの

  • コンサルティングでは第三者は解決方略を提示しない (専門家なら意味が分かるはず)

  • 懐柔もコンサルティングも対立のマネージメントに意味があるが、非主張的であるがゆえ、調停よりも意義は乏しい

管理職への示唆

資源の低下と相互依存性の強まりは多くの対立を生む可能性がある

  • 提言1:

  • 対立は資産であるとの想定の下での対立の形成を許可しない

  • 多少の健全な競争が有益だと考えて対立を助長しない

  • これを裏付けるエビデンスは存在していない

  • 提言2:

  • 対立はより早期に避けられるほうが、対立をマネージメントするよりも良い

  • マネージャーは対立の原因を留意し、対立が生じる前にアプローチする方がよい

  • 例えば、異なる目標をもつ人たちの相互依存性を避けたり排除したほうがいい

  • 提言3:

  • 対立を常に避けることはできないため、いくつかは対処する必要がある

  • その際、対立が発見された時点では元の原因を修正するだけでは不十分なほど対立が進行している可能性があることに留意する

  • したがって、不信感、問題への関連付け、否定的な原因帰属、エスカレーションの結果などの対処も必要な場合がある

  • 原因の除去ができないか、原因を除去する費用対効果が乏しい場合もある

  • 提言4:

  • 問題が特定されたら、扱いやすい項目に切り分ける

  • ここでは、一つまたは少数の重大な問題に集約しようとしない

  • 双方が自分にとってコストが低く、相手にとって高い見返りがある問題について譲歩するトレードを設定する

  • 提言5:

  • 次に、実践的なアプローチに取り掛かる

  • まず、安価で合理的だと思われるテクニックをいくつか試す

  • そのさい、人間関係やある人のせいにするのではなく、構造的修正を探す

  • 介入に対するトライアンドエラーを行い、失敗した場合にはそれを記録して理由を考察する

  • ほとんどの対立をマネージメントする技法は有効で、ある文脈では役に立たないだけ

  • 提言6:

  • 対立への対処では、当事者は、対立と同じ程度に手続き上の公平性を重視していることを覚えておく必要がある

  • 対立のマネージメントにはコストがかかるが、関係者は発言権を持ちたいと考えており

  • 否定された場合は対立者間のやりとりがマネージャーに向けられる可能性がある

  • そのために、マネージャーは対立について必要以上に話し合ったり、外部の者に検証をいらいすることもありうる

  • 提言7:

  • マネージメントスキルは教育することができる

  • したがって、部下や人事の専門家に委任できる

  • 対立マネージメントにはコストとリソースがかかるため、

  • 適切な代表者を選ばなければ、効果が限定される可能性がある




文献

  1. Pruitt, D.G. & Rubin, J.Z. (1986). Social conflicr: Escalation, stalemate, andsettlement. New York: McGraw-Hill. Revised and updated as Pruitt, D.G., Rubin, J.Z. & Kim, S.H. (1994). Social conflicr: Escalation, stalemare, and serrlement, 2nd ed. New York: McGraw-Hill.

  2. Rahim, M. A. (1983). A measure of styles of handling interpersonal conflict. Academy of Management journal, 26(2), 368-376.

  3. Thomas, K.W. & Pondy, L.R. (1977). Toward an “intent” model of conflict management among principal parties. Human Relations, 30: 1089-l 102.

  4. Wall Jr, J. A., & Callister, R. R. (1995). Conflict and its management. Journal of management, 21(3), 515-558.

次の候補文献

  1. Ali, M. R., Ashraf, B. N., & Shuai, C. (2019). Teachers’ conflict-inducing attitudes and their repercussions on students’ psychological health and learning outcomes. International journal of environmental research and public health, 16(14), 2534.

  2. Chung‐Yan, G. A., & Moeller, C. (2010). The psychosocial costs of conflict management styles. International Journal of Conflict Management, 21(4), 382-399.

  3. De Dreu, C. K., & Van Vianen, A. E. (2001). Managing relationship conflict and the effectiveness of organizational teams. Journal of Organizational Behavior: The International Journal of Industrial, Occupational and Organizational Psychology and Behavior, 22(3), 309-328.

  4. Faust, S. (2023). Psychological Safety and Conflict Management Among Nurse Practitioners in Interprofessional Teams.

  5. Friedman, R. A., Tidd, S. T., Currall, S. C., & Tsai, J. C. (2000). What goes around comes around: The impact of personal conflict style on work conflict and stress. International Journal of Conflict Management, 11(1), 32–55.

  6. Giebels, E., & Janssen, O. (2005). Conflict stress and reduced well-being at work: The buffering effect of third-party help. European Journal of Work and Organizational Psychology, 14(2), 137–155.

  7. Shah, P. P., Peterson, R. S., Jones, S. L., & Ferguson, A. J. (2021). Things are not always what they seem: The origins and evolution of intragroup conflict. Administrative Science Quarterly, 66(2), 426–474.


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