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Effectiveness of interventions for peoplebereaved through suicide: a systematicreview of controlled studies of grief,psychosocial and suicide-related outcomes

Abstract

 自殺による死別は悲嘆・社会的機能の低下・メンタルヘルスの問題・自殺企図などに影響を及ぼしうるため、死別後のサポート (postvention) が求められている。しかし、効果が確かめられていないためシステマティックレビューで検証した。研究の質は総じて低く、介入対象、介入内容、評価法など多岐にわたるが、悲嘆に対するいくらかのエビデンスは示された。しかし、複雑性悲嘆への効果は欠落している。エビデンスに乏しいが、専門家のファシリテートにより、支持的・治療的・教育的アプローチ、死別の社会的環境への関与が行われている。
 対象選択、サンプルサイズ、無作為化、測定尺度の選択が今後の研究課題である

Introduction

自殺による死別

  • 自殺で毎年800,000人がなくなっており公衆衛生上の重要な問題である

  • 近年のメタ分析では一年間に20人に一人が自殺企図をしてそのうち1/5が人生のなかで死に至る

自殺による死別に伴う悲嘆の特徴

  • 悲嘆は重要な他者がなくなった際の自然な感情反応とされ、多様な心身及び行動により構成される

  • 急性の悲嘆は、悲しみ、落涙、思慕、罪悪感、怒りである

  • 自殺による死別の悲嘆プロセスはほかの悲嘆プロセスと似ている

  • しかし、自殺による死別はほかの悲嘆と比較して、ショックの大きさあるいはトラウマに関連する予期しない・暴力的な押送を帯びている

  • 例えば、自暴自棄、拒絶、恥、意味づけの困難、なぜどいう疑問、ソーシャルサポートの欠如などを生む

自殺による死別に伴う問題

  • 自殺のように突然で暴力的な死別は他の悲嘆と比べて、急性の悲嘆反応が継続しやすい要因となる

  • PTSDやうつ病と類似しているが、複雑性悲嘆は、個人を思慕する、個人のイメージや考えの反すう、強烈な怒りと罪悪感、個人を思い出す人・状況・場所の回避、人生の意味付けの困難などの特徴がある

  • また、自殺による死別者は、自殺、うつ病、不安障害、PTSD、薬物依存のリスクを高める

  • とくに、死別者及びその家族に精神疾患あるいは自殺企図の既往がある場合はそのリスクを特に高める

  • また、不摂生や喫煙などによる身体疾患のリスクも高める

Aim of this study

  • 先行研究は悲嘆反応の効果を示しているものの、研究数の不足、方法の多様性、研究の包含・除外基準でも散らばりがある

  • そこで本研究では、自殺による死別に対するポストベンションの①悲嘆、心理社会的、自殺関連の効果、②各研究の質、③実践への適応及び将来の研究への課題を明らかにすることを目的とする

Method

  • PRISMAガイドラインに従う

  • 包含基準:①対象者が自殺による死別者、②悲嘆、精神的健康、自殺関連の実践的なアウトカムを含む、③比較対照試験である、④ピアレビューされている

  • 除外基準:①自殺による死別者のデータを主としていない、②悲嘆、精神疾患または・および自殺関連のアウトカムを含まない、④事例研究、⑤レビュー論文

  • 研究の質は、セレクションバイアス、研究デザイン、交絡、ブラインド、データ収集法、ドロップアウトについて、弱・中・強で評価

  • 総合評価は、強(何も弱と評定されない)、中(一つが弱)、その他は弱と評価

Results

Study Characteristics and Quality Assessment

  • 個人との関係に焦点を当てるものもあった

  • 多くは1年以内に施行

  • 個人・グループ・ファミリーインターベンション

  • 書き出しを用いるものもあったが多くはファシリテーターとのインタラクションによるもの

  • 総合的な研究の質は弱で、中が2つ、他は弱であった

  • RCTは7つあったが、Intention-to-treat analysisは1件だった

Findings

  • 悲嘆には効果が認められるが、複雑性悲嘆への有効性 (薬剤や他の介入と比較した特異的効果) は主張しがたい

  • 成人を対象とする介入はアクティブコントロールより優れているとはいいがたい

  • CBTベースのものは短期的には抑うつを減らしたがフォローアップではアクティブコントロールと同等になった

  • 複雑性悲嘆に焦点をあてたCBTは自殺念慮を低下させた

短期で予防的に実践できそうなもの

  1. Farberow, N. L. (1992). The Los Angeles survivors-after-suicide program. An evaluation Crisis,13, 23–34.

  2. Hazell, P., Lewin, T. (1993). An evaluation of postvention following adolescent suicide. Suicide and Life-Threatening Behavior, 23, 101–109.

  3. Wittouck, C., Van Autreve, S., Portzky, G., van Heeringen, K. (2014). A CBT-based psychoeducational intervention for suicide survivors: a cluster randomized controlled study. Crisis, 35, 193–201.

  4. Zisook, S., Shear, M. K., Reynolds, C. F., Simon, N. M., Mauro, C., Skritskaya, N. A., Lebowitz, B., Wang, Y., Tal, I., Glorioso, D., Wetherell, J. L., Iglewicz, A.,Robinaugh, D., Qiu, X. (2018). Treatment of complicated grief in survivors of suicide loss: a HEAL report. Journal of Clinical Psychiatry, 79, 17m11592.

References

  • Andriessen, K., Krysinska, K., Hill, N. T., Reifels, L., Robinson, J., Reavley, N., & Pirkis, J. (2019). Effectiveness of interventions for people bereaved through suicide: a systematic review of controlled studies of grief, psychosocial and suicide-related outcomes. BMC psychiatry, 19, 1-15.

所感

悲嘆 (複雑性悲嘆ではない) の予防介入は、CBTベースを改変するとよいと考えられる

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