ゼロからのスタート
4月。
また新たに社会人になる人がいるのだなあと漠然と思う。
私は先月、新しい仕事を始めた。
前の仕事を10ヶ月休職し、さらにそこから4ヶ月ほどフラフラして、久しぶりの労働。
前の仕事は、いわゆる接客業で、
合ってない、と感じながら約5年働き続けた。
前の仕事をやめたからには、自分のやりたい仕事をやろうと、
大学時代の就活ぶりに、自分の適職を考えた。
就活サイトの適職診断を何個もやって、
自分に合うであろうじっくり考える系の仕事に興味を持ち、
職業訓練校に行ってみたが、合わないと感じて、
もらえた内定もチャラにしてまた振り出しに戻った。
次は絶対に失敗したくない。
でもやる前から合うか合わないかを考えて、100%納得して働き始めるなんて
無理なんだろうな、とだんだんと感じはじめた。
本当に合うか合わないかなんて、やってみないとわからないよなあ。
そう思って少しだけ気楽に考えられるように、正社員しか見ていなかったところから、派遣の仕事を調べ始めた。
派遣は拍子抜けするほど決まるまでがあっけなく、
登録しに行った次の週には今の職場に見学に行き、面接らしい面接もなく働くことが決まった。
初めてのデスクワーク。静かな職場。
周りにお客さんがいない環境が新鮮すぎて、
こんなに穏やかに働けるのかと驚いた。
全ては無駄じゃない、繋がっている
前の仕事を辞める前、不安だったことは、今自分が持っているスキルが、次なんの役にもたたないのではないかということ。
接客といっても専門性が強く、5年かけて学んだことは業界を変えて使えるものとは到底思えなかった。
5年間耐えて、学んできたことが、全部無駄になる気がしたのも、仕事を辞めるまで迷っていた理由の一つだと思う。
異業種への転職はそこがネックで、未経験でも入れてもらえるのは年齢制限もあるのではないかとか、なら急がなくてはとか、みんな考えるであろうことに私自身も急かされていた。就職活動でも、「ゼロからのスタートだと思いますが、」とよく口にしていた。
でも今働いている中で、思ったよりすっと仕事が覚えられたり、
なんだかこれはあの時やっていたあの仕事と似ているなとか、
この報告はした方がよくて、ここは自分で決めて動いてもいいなとか、
そういう感覚、みたいなものが、新卒の自分とは明らかに違っていることに気づいた。
また正社員と派遣社員の違いはやっぱりあるんだけど、
自分の性格上、最初から派遣で働いていたら卑屈になっていただろうな、という部分とかを、割り切って考えられているのも前の経験があったからだと思う。
ゼロからのスタートは、ゼロではなかった。
そのことがとても嬉しくて、また働き始めてから前の仕事を思い出すことが多くなった。
今私は少し早めに出社して、デスクに荷物をおいたらとりあえずトイレに行く。
それは私の心の準備みたいなもので、前の仕事の時からだ。
でも新卒から働いて1、2年目の頃は、20分くらいそこで嗚咽をしてからでないと、みんなのいるフロアに行くことができなかった。
いつも心が重くて、胃腸炎にもなったし、途中で電車を降りてしまうこともあった。
そのころの自分に声をかけるとすれば、
やめちゃってもいいよ、と言うのだろうけど、
あの時早く辞めればよかった、というような後悔もない。
そう言えるのは幸いにも重い病気なんかにならなかったからだとは思うけど。
だからこれから新しく社会人になる人たちに伝えるとすれば、
逃げても、我慢したとしても、何も無駄じゃないよ。世界は広いし、なんとかなる。
大事なのは自分の歴史を、経験を楽しむこと。
「嫌すぎて3日でやめちゃった」も「どうにか頑張って結局5年もやってたんだよね」も、面白いじゃん。って思える、自分を俯瞰して見られる、もう一人の自分を持つこと。
なんて偉そうなことを言えるまでには、私は1年以上もの休憩期間が必要だったわけだけだけど。
長い夏休みだったなー。またその話は別でします。
とりあえず今は割と楽しんで働けていて、
ランチの店を探したりタンブラーにお茶入れて行ったりして
幸せですという近況報告でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?