恋のうえに、創造がある

パブロ・ピカソは『いかなる創造も、破壊から』という言葉を残しているし、もはや説明不要のTHRASHER(スラッシャー/これスケートボード雑誌の名前です)のロゴも『SKATE and DESTROY(スケートと破壊)』を謳ってるし、この世の中は、破壊と創造がセットに考えられている。調べてみたら、『破壊的創造』っていう思想らしい。

確かに今までのルールは大切なのだけど、本当に素晴らしいものを作ろうと思った時、そこまでの全ては一旦すべて無にする必要がある。例えば文章も書く作業もそう。一度赴くままに書き上げたものを推敲していくと、迷子に陥ることが多い。最初の文章は確かに拙かったけれど、何か心へ訴えかけるものがあったな…と思うことがよくある。要は考えすぎることや、知りすぎていることが弱点になり得るということだ。迷ったら一度、まっさらにするのが正解なのかもしれない。

そんな考えのもとに、辞めたのは物を知り過ぎること。例えば日本のヒップホップを知り過ぎると、一般的な見え方がわからなくなる。浸り過ぎると、特有の村社会制度が邪魔をして、真のエンタテインメントになり得ないところがあった。(今は韓国勢の勢いもあるし、ネットラップ層も厚くて、そんなことはなくなったように思うけど)なかなか発展しづらい世界。その事実を裏付けてくれたのはウータン・クランの誰かと、当時人気の日本ラッパーの対談内容にあった。「日本で売れているヒップホップはチャラくて、ダサい」みたいな言葉に対し、ウータンは「なぜ、うまくやらないんだ?ポップが売れているなら、そことうまく組み合わせたらいいだけの話だろ?」だった。そもそもウータンなんて代表曲『C.R.E.A.M〜Cash Rules Everything Around Me〜』なんだしさ…。金稼ぎのために音楽やってるんだし、むしろそこから生まれた文化なのだから、そりゃそうだよな…と妙に納得した。NBAだってヒップホップだってアメリカン・ドリームが詰まっているからこそ、かっこいいわけで…。って、この話は悲しくなるので、これ以上は止めます。ともあれ、これがカッコいいんだって言う固定観念から離れないと、結局は真似事になっちゃうんでしょうね。創造ではない。破壊しないと。

なーんて前置きが相当長かったですが本題。『恋のうえに、創造がある』ってことについて。物を書いてて思うのは、やたら引っかかった言動とかって、何気に好きな子から出ていることが多いんですよね。言葉や行動一つ、ありえないほどに深掘りして分析することができるなんて、本当にすごい。全員にやってたら、身がもたない。恋は筆を進ませる。ゆえに恋心から生まれた文章は、とても面白い。それにアートだってそうだ。ピカソの絵にもたくさんのミューズ(恋人)がいるという話は、大好きな作家・原田マハさん著『暗幕のゲルニカ』(新潮文庫)を読んで知った。いくつもの恋からインスピレーションを与えてもらえたからこその名画、アートが多く存在する。それならば、たくさん恋をした方がいい。一つに絞られず、たくさんの恋をしたらいい。しんどい想いも貴重なインスピレーションだけど、本当に心が死んでしまっては意味がない。しんどい時は破壊してほしい。その先に創造が必ずついてくる。何を創造するって?そりゃあ、己の人生ですよね。良い恋は、良い人生をくれる。どんな形でもいいけど、幸せな顔で過ごせる毎日を過ごしてくださいね。今日も、良い一日を!


#コラム  #恋 #原田マハ #ヒップホップ #ウータンクラン #暗幕のゲルニカ

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