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実家においてあった漫画の話

先日たまたまネットを見ていたら、萩尾望都の「百億の昼と千億の夜」の完全版コミックが去年発売されてたのを発見したので即買いした。

僕が生まれる前の作品だけど名作中の名作。プラトンとアトランティス、悉達多(お釈迦様)と阿修羅王、イエス・キリストとユダの話から壮大なSFに展開していく世界観は唯一無二と言っていいと思う。

この漫画、実は僕が子どものころから実家にあって昔から好きだったんだよね。ちなみに同じ萩尾望都作品だと「11人いる」もあった。たしか両親二人の趣味だったはずだけど、今考えてみるとわりと悪くないセンスで、今の僕が形作られているのはこの両親が持っていた漫画の影響も大きい。

ちなみにサムネの写真は今の部屋の本棚のB6判コミックスゾーン。もともと単館系の日本映画とか好きなんだけど、そういう趣味がわりと分かりやすいラインナップかと。さらば佳き日はしばらく買ってなかったけど、最近完結したみたいだから近々残りの巻を買おうと思う。

我が家においてあったコミックたち

この萩尾さん以外の作品で覚えている範囲でうちに置いてあったのは、少年~青年漫画系だと「AKIRA」と「ナウシカ」と手塚治虫の「ブッダ」。

少女漫画系だと「カリフォルニア物語」や「BANANA FISH」を始めとした吉田秋生の短編集含めた全作品、岡野玲子の「ファンシイダンス」、山岸涼子の「日出処の天子」、魔夜峰央の「パタリロ」あたり。そう言えば先日亡くなった土田ようこの「つる姫じゃ〜っ!」愛蔵版もあったな。

あとは高橋留美子の「らんま1/2」までの全作品もあったっけ。

「北斗の拳」や「リングにかけろ」みたいな、いわゆるジャンプ系漫画じゃなくて、このあたりの漫画で育ってきたことは、僕の今のサブカル趣味にも多いに影響を与えてる気がする。

両親がどう思ってたかは分からないけど、今思うと80年代の少し大人向けなサブカル漫画の英才教育みたいなラインナップだね。

吉田秋生作品の影響

特に昔から好きで今も追いかけているのは吉田秋生。元々家にあったのは「BANANA FISH」の18巻までで、完結後の番外編「PRIVATE OPINION」以降は自分で買い始めた。この「PRIVATE OPINION」を読んで「BANANA FISH」に実は19巻があったのも初めて知ったから、初めて読んだときはあのラストシーンを知らなかったんだよね。18巻のラストはブランカとアッシュの別れで、あれはあれで綺麗に終わってるからさ。

その後「ラヴァーズ・キス」「YASHA-夜叉-」「イヴの眠り」あたりもリアルタイムで買ってて、当然「海街diary」も今やってる「詩歌川百景」も最初から読んでる。

「詩歌川百景」については「海街diary」+「ラヴァーズ・キス」って感じで正直展開は読めるんだけど、普通に面白いし、まぁ1年半くらいに一度コミックスが出るスローペースだから、のんびりと読んでる。

「BANANA FISH」のアッシュや「カリフォルニア物語」のヒースももちろんかっこよくて好きなんだけど、この「詩歌川百景」の妙や「イヴの眠り」のアリサみたいな、聡明で大人びている女の子を描かせると抜群にうまいんだよね。

それ以外では「海街diary」のお姉ちゃん二人が好き。長女の幸は妙やアリサが大人になったらこういう風になるんだろうなって感じの「ザ・長女」。対する次女の佳乃は姉妹のなかでいちばん美人で酒呑みで(初期は)ちゃらんぽらん。真ん中の子らしく空気読むのうまくて、飲み友達にいたら楽しそうな感じ。四姉妹のなかでもこの二人のやり取りというか関係性が面白いんだよね。

出典:吉田秋生『海街diary 1巻37ページ』

このページの寝起きで缶ビールあける雰囲気と、広縁に座った少し憂いのある表情がとても好きでとても印象に残ってる。中盤で外回りの営業を始めるようになってから、社会人として急激に成長して、時に長姉の幸よりもしっかりした言動をするようになるんだけど、初期のちゃらんぽらんなギャルで風呂場のカマドウマにびびってる頃の方がキャラクター的には好みかな。


そんなことを書いてたら急激に「海街diary」を読み返したくなって、今日は昼間から夜にかけて全9巻を一気読みした。中盤以降のシリアス展開も嫌いじゃないんだけど、個人的にはやっぱり初期のコミカル+ホームドラマ路線が好きかな。

最初の頃、佳乃は幸のこと「シャチ」って呼んでて、携帯にもシャチねえとか登録してるのに、いつの間にか普通に「お姉ちゃん」って呼ぶようになってるし。シャチって読んでたときの空気感の方が絶対いいと思う。

出典:吉田秋生『海街diary 1巻105ページ』

今回全巻読み返した中で、個人的に佳乃がいちばん美人に描かれてると思ったページもついでに貼っておこう。他はそうでもないんだけど、このコマのカットだけアッシュや静をそのまま女性にした感じの超絶美人。髪型もいつもと違ってやけに気合い入ってるし(笑)

出典:吉田秋生『海街diary 5巻68ページ』

今手元にあるのは「海街diary」と「詩歌川百景」だけだけど、他の過去作も読みたくなってきたから、今度実家にいったときにでも譲ってもらうことにしよう。

最初、萩尾望都の話から入ったにもかかわらず、すっかり吉田秋生の魅力を語る記事になっちゃったけど、どちらも男性が読んでも楽しめるはず。読んだことない人は少女漫画と思わず、ぜひ一度手に取ってみましょう。

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