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encounter作品解説~(FLEXIBLE)NODEs編③~


前回のあらすじ

最初に

自分が代表を務めるメディアアート集団「WONDEMENT」が2023年12月に実施した初の展示「encounter」

展示では合計3つの作品を展示し、自分はそのうち2つの作品にプロデュースや制作担当として関わっています。

複数回に分けて各展示作品についての制作過程などを書いていく予定で、まずはメイン作品として展示した作品の紹介や制作過程を紹介していきます。

前回のあらすじ

①では作品の概要や使用しているソフト、制作においてメインで使用したTouchDesignerのセットアップについて紹介しました。

②では作品の中で重要な要素である
触れる物体
触れたことで動く物体
当たり判定
これら3つの仕組みについて書いてきました。
今回はこれら以外の要素や仕組みについて解説していきます。

ノードのリセット機能

本作品『(FLEXIBLE)NODEs』では20秒経過するとノードに見立てたオブジェクトが元の位置に戻る設計になっています。

「Bullet Solver COMP」は「Solver」タブの「Start Slim」を押すと位置がリセットされた状態で再度物理演算が開始される様になっています。

これにLFO CHOPとExpression CHOPを組み合わせて特定の秒数が経過したらパルス信号を発生させて「Start Slim」を押し、物理演算がリセットされる仕組みを作成しています。

LFOで20かけて0から1まで増えるようにし、
1になる寸前の0.999になった時だけExpression CHOPが0から1になるようにしています。
(0.999なのは1にすると上手くいかなかったためです)

実は「元の位置に戻ってくる機能」を付けたかったのですが、技術的な課題を解決できず妥協案としてリセット機能を搭載したという裏側があります…

マッピングして出力する

これ以外にTimer CHOPを使って一定時間経過したらノードが元の位置に戻る仕組みを作ったり、見た目を整える細かい調整をしていますが、これで作品の基本的な仕組みは全て完成です。

最後にプロジェクターで出力するための仕組みを作ります。
「Camera COMP」でカメラを置き、「Light COMP」でいい感じに光を当てて「Render TOP」でレンダリングするという流れです。

そこに背景(今回はTouchDesignerのUIを模した画像)をはめ込みたいので「Composite TOP」でレンダリングした映像を背景を合成します。

今回は上記の様に壁に2台のプロジェクターを使用して映像を投影しています。(見えてないですが画面奥と手前に1台ずつあります)

映像の四隅や中央の映像が重なる部分の調整が必要になるので、合成した映像を「Kantan Mapper」にインポートします。
Kantan MapperはTouchDesignerに標準で入っているマッピング機能の一つです。

Kantan Mapperで各種調整を行えば無事完成となります。

最後に

3回に分けてWONDEMENT初となる展示「encounter」のメイン作品「(FLEXIBLE)NODEs」の解説を行ってきました。

仕組みは単純ですが3Dのオブジェクトの数が多く複雑な配置になっています。

また、3DCGのリアルタイムレンダリングということで、使用していたPCとの兼ね合いもありますがFPSがあまり出なかったことも反省点です。
また3DCGは自分がこれまで触れてこなかった領域なので、テクスチャやマテリアル、ライティングなど分からないことだらけで手探りの中進めていました。

ただ、Kinectを使うことで体を動かして作品をコントロールするという体験はメディアアートの醍醐味の一つだと思っていて、それをしっかりと感じられる内容に出来たと思います。

3DCGは今後の制作において使う機会が増えるジャンルだと思っているので、少しでも触ってみて出来ることを増やそうと思っています。

実は来月3月23日(土)〜24日(日)に開催予定のWONDEMENT第二回展示「With」のポスターも3DCGで制作しています。
制作過程は展示後に改めて解説する予定ですが、習得の一環としてチャレンジしてみました。

次の作品解説は同じくencounterにてサブ作品として展示した作品になります。
それではまた!

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