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初めての純文学小説は少し毒を

 小説の虫になったのは大学生の時でした。きっかけは太宰治「人間失格」。誰にお勧めされたか忘れてしまいましたが、書店でこの本のタイトルを目にした時の自分が可笑しくなるのではないかという恐怖と読みたい衝動が重なった事は覚えています。今回はこのように僕の心がざわついた小説を紹介していきます。


そもそもなぜ心がざわつく小説を紹介するのか?


それは今の子供達にもっと小説の魅力を知ってほしいからです。僕は今年の3月まで予備校に勤めていました。そのため多くの子供と関わる機会がありましたが、みんな純粋で良い子でした。でもみんな一緒でした。それが面白くないと感じたのです。もっと人間として尖ってほしい、毒を取り入れてほしいと思いました。そしてそれがどのような人間を生み出すのか見てみたい。純文学ならそれができると思うのです。以前、知り合いの調理師さんが言っていたのですが、「子供が野菜を嫌いになるのは、その野菜を美味しく調理できていないから嫌いになるんだよ」と。その時、小説も同じだと思いました。純文学の小説を読み始める時は、最初の一冊が大事。その一冊になり得る小説を三冊これから紹介していきます。

・太宰治「人間失格」

「恥の多い生涯をおくってきました」の冒頭文は有名なので聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。太宰の人生について描かれた小説はなぜか読者が思わず共感をしてしまうような内容になっています。
お酒、タバコ、女、お金…。以下にして太宰は堕落したのか。この堕落こそ人間の本質だと僕は思います。子供では体験できないからこそ僕は敢えてお勧めします。


・村田沙耶香「コンビニ人間」

第155回芥川賞受賞作品であるこの小説のテーマは「普通」とは何か。
小説の主人公である古倉恵子は36歳未婚、彼氏なし、コンビニバイト歴18年目の女性。普通に考えれば、オワコンだと誰もが思うだろう。だからこそ読んでほしい。世間から一歩ズレた目線に広がる世界観を感じてほしい。


・金原ひとみ「蛇にピアス」

第130回芥川賞を受賞した金原ひとみさんのデビュー作。蛇のように割れた舌を持つ男、アマとアマの友達で彫り師のシバさんと出会い自らの肉体を改造していく19歳の少女、ルイ。アマの蛇のような舌(スプリット舌)に心を奪われ自らも肉体を改造していくルイの姿は欲求に忠実で羨ましさえ感じる。このアンダーグラウンドの世界を見た子供たちが自らの欲求に素直になりやりたい事に突き進んでほしい。


まとめ

「人間失格」を読み小説の面白さを知った僕は、別の作家さんの小説も読みたくなり、大学の図書館や、書店の文庫本コーナーに立ち寄る頻度が増えました。住んでいる家の本棚もいつの間にか漫画より小説の方が多くなっていて驚きです。様々な作家さんの小説を読むと自分の価値観が少しずつ変化しているのを実感しています。その話はまた今度書いていこうと思います。
このnoteを読んだ方の価値観が変化し、人生に彩りが出ていることを願います。



※前述した通り、僕はまだ累計読本数が100を満たしていないほど、アマチュアです。なので、もしこの本もお勧めである。という作家さんの小説がありましたらコメントで教えてください。読了いただきありがとうございます。




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