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見世物小屋から飛び出そう!

肩書、職業
(たとえば社長、マジシャン、イベンターなどなど)
といった強い個性に依存をすると他人から浅く見えてしまう。少し隠して切り札にする方が素敵かもしれないねという考察。

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私はマジシャン業を仕事の一つとしてしているのですがマジックをしていない時のマジシャンって面白くねぇなという事を常々思っておりました、自虐なんですが。
無論多くのプロの方はそうではなく人間的にも非常に魅力的でマジック抜きでお話していて楽しい方ばかりとは言っておきます。
(ヤバい人も沢山いるというのはさて置き)
自分はマジシャンという強い個性に依存して中身の薄い面白みのない人間になっていないだろうか?という疑問が湧き、素敵なマジシャン、ひいては素敵な人間になりたいと思い、試行錯誤をしていましたのでそれを書いてみます。
私で言うマジシャンの部分をあなた自身の職業や肩書など強い個性の部分に置き換えてもらっても通じる話になるかなと。

マジシャンと名乗ると無論ですがマジックの所ばかりがクローズされます。
初対面の人と挨拶をして名乗れば
どれくらい練習したの?
テレビの種わかる?稼げる?
というお決まりの質問パターンが来て
そこにはスケという人間への興味ではなく
物珍しいマジシャンという存在への興味しかありません。
それは演者側の技量不足、パーソナルな魅力を
マジックに乗せて発信する事が出来ておらず
芸の力が足りていない証拠とも言えるのですが
マジシャンという強い個性はどうにもその人自身という人間性をカバーしがちだなと思っていました。


余談ですが何度も見たくなるような芸、マジックについてのお話はマジシャンのカズ・カタヤマ氏のこの記事が興味深い。



閑話休題。
ところで行きつけや賑わっているbarへ赴き
マスターと話をすると楽しいというのがよくあります。隠し芸がある訳でもなくトークや人柄が素敵なんですよね。
トランプを取り上げられたら何も出来ないマジシャンとは大違い。
このフリートークが上手いバーテンダーさんらに着想を得てある試みを暫く行っていました。

私は毎日店長が変わるイベントバーエデン難波というお店のスタッフなんてのもやっております。
たまに自主的にイベントを開催する事もあり
昔はマジックの催しをよくやっていたのですが
自分の個性の枠を広げようと思い
多様なイベントの運営にチャレンジし始めました。

・インターネット老人会
・冨樫義博先生を語るイベント
・映画の話をするバー
・闇バー
・哲学初心者バー
・初見歓迎バー

思い出す限りでこんな感じです。
自慢じゃないですがほぼ全てのイベントは盛況でした!
(冨樫義博イベントだけ大爆死しました、あんなに気合い入れたのに……)
果たして私は個性が拡がり素敵な人間性を獲得したのかというのは気になる所ですがそこは私から言及しないでおきます。
自分で素敵な人間になりましたなんて阿呆な文は書けませんし、なれたかどうかは周りの皆さん、こっそり私に教えてください。

さて、試行錯誤をしつつ
他人から見た強い個性の見られ方とその使い方を考えました。マジシャンやその他強い個性には共通するかもしれませんが前述の例にもあるように個性にクローズされて人間性という奥深い所には中々注目がいきません。
(我々としても、「宇宙飛行士」みたいな物珍しい職業の人がいたらその人自身よりも職業の事ばかり聴いてしまうでしょ?)
そう思うと強い個性というのは
ある種の切り札かもしれないなぁと思いました。
そしてそれに依存をしてしまうと
薄っぺらく見えてしまう危険性もあるのかなと。

強い個性を否定する訳ではありません。
肩書、職業、特技、時には障害などもそれにあたりますが何せその人自身を形成する大切な部分こそが強みであり、その人そのものの部分なのですからね。しかし自分の強みって勿論喋りやすいしアピールしやすいですよね。
けど強み以外の人間性の部分とか自分を出すのって難しいですよね。
だから強い部分ばかりを人は出しがちになるのですがそれに依存するとその強みだけの人になってしまう。
見世物小屋で消費されるだけのような
その一部分しか見られない人になりかねない。
トランプを取り上げられたマジシャンは用済みになってしまうし、イベントをしていない時のイベンターはただの人になる。
"それしかない"人って人間が浅く見えてしまうと思いました。
(仕事の自慢話しかしない社長なんてつまらないでしょ?)

無論こういう強い個性を
・普段と違う自分を演じる、変身
・ぼかす、秘密にする
・逆に人と一定の距離をとる為に行使する
・取っ掛かりにして自分の内面をアピールする
という風に使いこなす人も沢山おられると思います。ただ、より魅力的な自分になりたいという願望があるならば自分の強み以外の部分を出すという事への意識をもう少し考えてみてもよいと思います。

そして思うに、強い個性は切り札ですから
隠し気味にした方が素敵かもしれません。
(最初からマジシャンですと名乗られるより
「"実は"マジックが得意なんだ」という方が格好良くありません?)
見世物小屋という枠に納まらず素敵な自分自身をもっと出していける、そんな風になりたいものですね。

冨樫義博先生イベント時の写真。

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