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デキる会社員でも苦戦する「値決め」

このnoteや音声配信で、少額ながら有料販売を始めました。
なにしろフリーランスになって25年目ですので、自分がクリエイトしたものに値段をつけて売ることに抵抗はありません。が、いくらに設定すればいいのか?については、いまだに悩むことが多いです。定番化している仕事なら簡単ですが、新しいことにチャレンジするために、「さて、どうしたものか?」と考えてしまうのです。

フリーの私でさえこの状態なのですから、お給料で暮らしている会社員の皆さんが「値決めってむずかしい」と思われるのは、当然でしょう。

そこで本日のお題📚
良い値決め 悪い値決め--きちんと儲けるためのプライシング戦略 (日本経済新聞出版) 

ずっとお金に関する本を読みふけるうち、お金を歴史から学んだほうがいいのではないか・・・と思い始めた私は、「会計の世界史」という本を書店でみかけて興味をもち、著者・田中靖浩さんが語るプライシング戦略を学んでみたいと思ったわけです。

よく、企業業績のニュースで「〇期連続の増収です」といった言い方をしますよね。それを聞くと、「へぇ!儲かってるんだな」と単純にとらえがちですが、公認会計士である田中さんは、

良い売上アップは、利益を増やします。
悪い売上アップは、利益を減らします。

p21

と指摘します。一体、なにが違うのか?
スケールメリットを生かして安売りし、人気を得ていたヤマダ電機がいきなり赤字転落した話を引き合いに、価格下落がはげしい「新・負け犬」として
デジタル・オンライン・グローバル(DOG🐶)に注意せよ!と警告しています。

デジタルは、マネやパクリ、コピーが横行するし
オンラインの世界では、日本中・世界中のライバルと安値競争になりがち。
そして、グローバルの世界では、コストの安い国に仕事が奪われる
・・・と。

ここ2年のコロナ禍で、仕事が増えた人と減った人はパックリ二分されているように見えますし、さらに、仕事が増えたわりに忙しいばかりで儲からない人も出てきているようですが、DOGに照らせば納得です。

このDOGの反対がCAT🐈です。
Cコジー:こじんまりとした居心地の良さで安さに対抗
Aアナログ:なんだか楽しい、不思議に魅力的な世界でコンピューターに仕事を奪われない
Tタッチ:買い手に共感してもらえる触れ合い、手作り感

なるほど。

また、日米でプライシングの考え方がまったく違うという話は、とても興味深かったです。

日本は、より良いものを、より安く(コスト・プライシング)
米国は、より良いものを、より高く(バリュー・プライシング)

なんてこった(苦笑)。
とくに、クリエイターのように「元手がかからない」と言われがちな職種の人は要注意です。言われたことはないですか

「予算が少ないんで、泣いてください」

とかね。はぁ??????でしょ。
でも、日本人ってよく言う気がします。
田中さんは、「人間そのもの」で商売する業種ほど値下げで成功することなど不可能だと言い切っています。
そして、さっきの無慈悲な依頼に返すセリフを教えてくれました。

こちら少ない時間で運営しており、
高額をいただかないとお伺いできません。

P131

しびれます✨顧客中心の志向に立ち、満足していだだける楽しさ、快適さ、共感、居心地の良さを提供できるための価格を設定し、そこから逆算してビジネスを見直せばいいのです。

コスト・プライシング: コスト + 利益 = 売価
バリュー・プライシング: 売価 - 利益 = コスト

P136

後半に、田中さんは4つのプライシングをすすめています

💰まぜプラ
髭剃りのように、利益の薄い本体と儲かる替え刃を組み合わせる
朝食サービス無料のゴルフ場など、威力十分な無料と有料をミックス
コンサート会場でのグッズ販売のように、儲けと楽しさをミックス

💰ここプラ
原価300%の目玉メニューを広告宣伝としてつかうレストラン
ハーゲンダッツは小さくして売れた行動経済学
「3個買えば1個無料」で、割引率を抑えつつ4個買わせる
「世界最小のフィットネスジム」として靴を売る

💰くらプラ
松竹梅のラインナップを見せて竹を売る(日本人は「間をとる」が大好き)
後輩が憧れるアナタをイメージさせて高級車を売る(林文子さんすごい!)
掛け算で比べられないジャンルをつくる(会計士×落語など)

💰やわプラ
トクをするより損をしたくない人間心理をつく「いまだけ増量」

具体例を読みながら気が付いたのですが、
ついつい、自分が扱う商品・サービス❝だけ❞をみて価格を考えがちですが、実際に買うときは比較する何かがあるケースがほとんど。
そこをいかに扱うかで、高くても満足してもらえる落としどころがみつかるんだなぁと思いました。

コンテンツ販売を始める人にも、きっと参考になりますよ。


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