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コペンハーゲン8泊+レイキャビク3泊

私は旅行が好きで、中でも日常のバグを削除し不要なメモリを排出するためには、非日常度が高いと良い。私にとってそれは、かなり深い自然か、海外である。
2023年末~2024年始は、11泊13日でコペンハーゲン(デンマーク)とレイキャビク(アイスランド)に滞在した。

一般的海外旅行の100倍ゆるい

私は今回の旅行前の時点で30ヶ国を訪問したことがあった。(これにはデンマークが含まれるので、今回アイスランドが追加されて31ヶ国となった)

訪問経験のある国(オレンジ)

ただ、あまり旺盛に観光活動はしないので、いつも数日~1週間ほど街を歩き、たまにバスツアーなどに参加して自然を堪能するだけである。なのでインスタに無限にばらまけるほど手持ちの写真がない。

だいたい1人旅行なのだが、特に欧州では1人で良いレストランに入ってはいけないという不文律があるくらいは承知しているので、食事は極めて適当で、これまたインスタのネタが不足している。アジアだと1人行動がしやすくなるのだが物価の安さに喚起されルームサービスを頼んでしまったりする。

さらに、1人で飛び回るといえばバックパッカーだが、私はさほど陽の者でもなくユースホステルなどが性に合わないため、世界中の旅行者と交流したことがあるわけでもない。

都心の中級ホテルに1人で泊まり、ファーストフードやフードコートで食事を済ませ(ホテルがキッチン付きの場合はスーパーで買い込みを行う)、城や美術館を1~2軒見てぶらぶらしているのだ。

つまり、高級・インスタ方面にも衛生・安全的冒険方面にも振り切れてない、Web上ではあまり見たことのない種類の旅行者である。

私から見ればこれこそが中庸なのでそういう人がもっといてもいいんじゃないか(なんなら最多勢でもいいのでは)と思うのだが、高い金を出して12時間以上飛行機に閉じ込められてその到着地でブラブラするだけというのは消費行動として「謎」のカテゴリに入るのかもしれない。国内で良くない?もっと言えば家で良くない?と言われたことは1度だけある。1度で済んでるのは周りの方に恵まれてるなと思う。多様性の時代なのだ。

ともあれ、そういうことなので、今回もコペンハーゲンに8泊もしておきながら数日はコペンハーゲンをブラブラし、数日はホテルでゴロゴロし、数日は2~3時間で行ける別の都市に観光に行った。レイキャビク(アイスランド)は1日移動、1日ブラブラ、1日バスツアーである。こうして書いていて気付いたが、単純に体力がないので休憩日が必要なのかもしれない。

なぜコペンハーゲンとレイキャビクなのか

今回コペンハーゲンを選んだのは、SDGsっぽいことを事業に選んでいる身として、再エネ率が高かったりその意識醸成に成功しているとみられる国・都市を見ておきたかったためである。ここでどこかの大学か企業でも視察に行ければかっこいい記事が一本書けるのだが、何しろブラブラするだけなので、そこに1週間ほど沈ん…馴染んでみたらどんな感覚を持つのか、を見てみたかった。

レイキャビクは、11泊13日のコペンハーゲン行きフライトを取った後、「11泊って長くない???????」と疑問に思ってしまったため、前から行ってみたいと思っていたアイスランドを強引に差し込んだ形だ。

個人で海外旅行を嗜む人ならわかると思うが、このあたりの全ては「フライト料金」「空席のある日・時間」などの料金とタイミングであれよあれよと決まっていくので、深淵なる狙いがあるというより「そういえば前から行こうと思ってた」とか「今後アイスランドに日本から改めて行く場合は追加で30万円と10日かかる」とか「元日のフライトが安い」といった思考と事実がかけ合わさってこうなってしまうものだ。なのでレイキャビクはコペンハーゲン以上にノープランであった。
(「地球の歩き方」もないような気がするのですが気のせい???グリーンランドですら「地球の歩き方・北欧」に数ページあったのにアイスランドはなかったんですが???)

アイスランドの地熱と温泉

結果的にどうだったかというと、8泊程度ではコペンハーゲン、あるいはデンマークの素晴らしい民主性とか、再エネを使うことによる暮らしへの影響とか、そういったものは見出すことはできなかった。年末年始の意外な航空券の安さに飛びつかず、おとなしく視察の算段を整えとけばよかったのにね。またいずれ。
あえて言うなら、街中を走る2連結バスにEVと書かれていたのでマジだとしたらすごいと思う。問題なく運用できてるんだろうか。
(写真を撮っていない。こういうところがインスタ活用を難しくしている)

一方で意外な収穫だったのが、地熱発電で有名なアイスランドだ。

英語バスツアーに申し込んだので、ガイドさんが発電や地熱エネルギー事情について話してくれたのがよかった。デンマークでもせめて主要な観光を1つくらいはこなすべきだったかもしれない。

バスツアーの目玉。氷に地層(?)がある

レイキャビクのホテルの水道からは、湯を出すと硫黄臭のする温泉が、手を洗ったりシャワーを浴びたりするのにちょうどよい温度で出てきた。ツアーのガイド氏によると、アイスランド中の民家1軒1軒に温泉が引かれているそうだ。ホテルなどでは、硫黄臭に馴染みのない国の人からクレームが来やすいのだとか。
温泉って…そんなに出るか?と思うが、実際、至る所で温泉が湧いてそれを排出しているところが観察できた。

一例 レイキャビク街中にあるホテルの前

これだけ湯が沸き、そして沸いた湯がこの寒い地で氷と雪を解かすほどなら、人口のさほど多くないアイスランドでは十分運用が可能なのだろう。

これだけならちょっと調べればきっと出てくる情報なのだが、体験したからこその発見があった。水道の蛇口を「お湯」側に倒した時ノータイムでお湯が出てくる。これがQOLを高めるのだ。再エネ活用って昔の暮らしに戻るみたいなQOLを下げる「我慢」の方向に想像がいくので意外だった。普段日本で、給湯機が起動し水が十分温まりそれが供給されるまで待つのが意外なストレスになっていたことに気づく。

QOLとは別文脈だが、再エネだとか分散電源化、オフグリッド化という文脈でのこの温泉配分の良い点は、給湯機が要らないということだ。(実際に全くないのかは不明。気温の変動で湯温も変わると思うので、温度調整機能はどこかに必要な気もする)
個人的関心によりオフグリッドの宿にいくつか泊まったことがあるが、設備が最小限の場合も、かなり大掛かりな場合も、「給湯機能はオフグリッド化できない」として、風呂は近場の温泉施設を利用するのだったり、風呂の給湯機能だけはオングリッドだったりする。

オフグリッドな電気で給湯機能を得ようとすると、広大な太陽光パネルの面積が必要になる。それは1軒の宿を提供するのには見合わないほどの面積で、その結果としてあきらめることになるのだと思う。
だが温泉が豊富にあふれる地なら、そのエネルギーを太陽光パネルから得る必要がないので、オフグリッド化が容易になる。
(これだと温泉をグリッドから得ていることになるけど、いったん電気と化石燃料のグリッドで考える)

それほど温泉や地熱エネルギーが豊富な場所は世界中でもそう多くないと思うので、広く使える解決策ではないが、その地に合ったエネルギー獲得方法をきめ細やかに企画・運営するのは分散型エネルギー社会には必須なのだと感じた。

つまり、日本全国に当てはまる回答なんてないんだろうなと思う。

そういえばデンマークでも

そういう意味ではデンマークでは一つ発見があった。どこへ行っても異様に風が強い。風力発電に執着(?)する理由がよく分かった。
旅行後に知ったが、夏は風が弱まり風力発電の発電量が落ちるらしい。あえて観光シーズンではなさそうな冬に行ったので風力発電の実装をはぐくんだ地について実感できたのは良かった。

太陽光発電は?

ちなみに太陽光パネルはロラン島という場所にメガソーラー的に設置された1か所しか見つけられなかった。冬は日照時間が短いしずっと夕方みたいな色合いなので、ほとんど発電しないだろうと思う。屋根に設置する酔狂などいないというところ。
太陽光発電は世界的にも市場の伸びが著しいので何かと最適な再エネと思われがちだが、北欧では当然最適解にならないし、日本でも晴れが少なく雪も降る日本海側のユーザーは本当にペイするのか心配しているケースに遭遇する。日本国内に、最適解か最適解でないかのラインがあるのではと思ったりした。

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