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犬王応援上映の話

浪の下にも都はございます。
と言うことで、浪の下の都の住人の写真を。

 京都みなみ会館で年越しに、無声応援上映の犬王を観てきた。

手拍子、ペンライトなどでの応援上映であったのだが。

久しぶりのカウントダウンライヴである。
何しろ犬王の声はアヴちゃん。
そうなればここは箱(ライヴハウス)である。

能楽が猿楽と呼ばれていた南北朝時代末期の物語。
当時の民衆の興奮と熱狂を伝える為に、現代の我々の興奮と熱狂を誘うために猿楽はロックに落とし込まれていた。

ただのライヴだった。
まず、犬王の応援上映に慣れている古参のファン(バンギャ)
いや、見るからにバンギャなファッションのお姉さん。

「腕塚」の犬王の振り付け(フリ)の完コピギャがいた。
あと、友有のメンバーカラーは青。会場が壇ノ浦の海のごとく青に染る。
「腕塚」「鯨」のナンバーではペンライトは一斉に真っ赤に。平家のターンでは紅旗の色に会場が染まる。

室町時代にボヘミアン・ラプソディはあった。
強火のバンギャは橋(六条の橋、四条大橋)に集っていた。
未だかつて、宗盛もこんなに熱狂的なメンバーコールをされる事もなかったであろう。

高校時代、ロックバンドしてて、ギター弾きながら鴨川に転がり落ちるパフォーマンスした同級生いたけど、六百年前から居ました、同族。

最後の「竜中将」ではペンライトは桜色に染まる。鹿苑寺の御殿に舞う桜の花びらと重なってあまりにも一体感があった。

源氏の白旗も平家の赤旗も重なりあってピンクに混ざる。

犬王父の爆発四散シーンで拍手が湧き上がったの、どういうノリ?爆発四散記念に拍手される父、華やいでときめいていた(バンギャのノリがすぎる)

「俺たちに似ている」
「俺たちはここに有る」
京童、都人と呼ばれた人達は南北朝時代の戦火に晒され、焼け野原になった自分達の時代の平安の都に、平家物語の時代を重ね、平家の怨霊たちに、己のどうしょうもない怨念や怨恨を託し、彼らが救われる時、己らも報われるのだ。

俺たちによく似たあいつら、が成仏する物語なので。

彼らが舞踊った京の都には新年が訪れた。
また、誰かの舞台が披く。彼らの存在は、彼らの伝えた申楽はまた新たな歴史を重ねる。

また誰かが平家の物語を謡い、奏で、舞うのただ。

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