すみれ-朱み澪-

すみれ-朱み澪-

最近の記事

花の都の春舞台

北野をどり。 上七軒夜曲を聞くと春が来る。西陣に生まれた人間であるから尚更そう思うのかもしれない。 京都に真っ先に春の幕開きを告げる舞台だ。 上七軒歌舞練場、天満宮に護られ西陣の目の肥えたお客たちを満たしてきた、日本最古の花街。 清廉で典雅。舞踊劇と純舞踊の二本立て。山の天狗さんがお城で団扇を取られ、華やかな御城下で悲嘆にくれる。 都のにぎわしさに、気後れする里の娘。 舞台背景の大道具は御城下と言いながら、上七軒の提灯のともり、山鉾の出た美しい京の都。 惚れ惚れする夢の

    • 金沢の桜

      護國神社、兼六園、金沢城。 アサヒビールの一部売上は北陸の震災支援にあてられます。

      • 映画のネタバレ

        ネタバレがあります。気をつけてください。 38年ぶりの日本一。阪神タイガースのアレのアレの映画、楽しすぎた。 岡田監督のインタビューを軸にしながら今シーズン、リーグ優勝までのダイジェストとして優秀過ぎました。 大画面で観る各選手の活躍、横田選手との絆。 大画面に流れる選手の応援歌にチャンステーマ、楽しすぎるだろ… そして間違いなく打ってくれる近本くぅ。岡田監督の下で大躍進した木浪くぅ。素直に推しです。 大竹くんや大山くんの苦悩や成長、そして手に汗握る岩崎投手のピッチング

        • レビュー in Kyoto

          OSK日本歌劇団のレビューに寄せさせてもらいました。 楽しすぎた。南座の唐破風にぶら下がるミラーボール、曲が始まると格天井や桟敷の欄干に光が反射してめちゃくちゃ綺麗だった。 緞帳が降りた状態で、男役トップスターさんのご挨拶から始まる、レヴューというものが、自分はやはり大好きだ。 京の都を舞台にくり広げられる恋模様、華やかな歌とおどりのレビュー、美しい、圧巻の一言だ。 光源氏と宮中の姫君の織りなす恋絵巻、戦乱の中己の剣と信義に生きながら、恋することを止められず、生死に引き

          櫛まつり

          安井金比羅宮の櫛祭り 髪を彩る櫛を供養するお祭り。 4年ぶりの時代風俗行列でした。 出発前の安井金比羅宮境内 東大路へ 花見小路へ。 祇園甲部に入っていく舞妓ちゃん絵になりすぎ 歴史と日本の美意識の最先端が現代舞妓ちゃん 生きている文化財と、彼女らを表現した言葉があるけどその通りに思えた。

          祇園祭 前祭2023

          宵々山の月鉾、傘鉾、八坂神社のお神輿 宵山めぐり 日和神楽 後祭もどうか無事に。

          松尾大社の山吹

          松尾大社の山吹

          2023京都御所の春

          近衛邸の糸桜 紫宸殿を望む 桃園の花盛り 西園寺邸の紅椿 これも可憐な枝垂れ桜 閑院宮のお屋敷の雪柳 木蓮も見頃

          2023京都御所の春

          みやこの春

          京都に春が戻ってきた。春を告げる桜に先立つ梅のように、上七軒の北野をどりが開演する。 青い地色に枝垂れ桜、毎年変わる裾模様の衣装に身を包んだ祇園甲部の立方がヨーイヤサーと声をかける。その掛け声で舞台にも祇園にも春が来る。コロナ禍で困窮し、働く場すら失いかけた宴席や座敷に花を添える彼女たち。 数年ぶりにいつもの日程での開催に、北野をどりが始まり、改築を終えた祇園後部歌舞練場に都をどりが帰ってくる。そうして京都の春は華やかに柳桜をこき混ぜて始まるのだ。先斗町の鴨川をどり、宮川町

          ジビエ雑記

          京都市役所近く、姉小路河原町を木屋町側に入ったところ。 水族館カフェ・バーBluefish aquariumがある。ここはデートでも街歩きでも、飲み歩きでも、家族でも楽しい。 なかなかお目にかかれない水生生物や熱帯魚に会える。他テーブルのお客さんに迷惑にならないように立ち歩いて魚たちを鑑賞できるし、雰囲気たっぷりの種類の多いクリームソーダやオリジナルカクテルも素敵だ。 ここのマスター兼館長さんは生き物の解説もしてくださるし、環境問題や生物多様性、生き物についての取り組み

          犬王応援上映の話

          浪の下にも都はございます。 と言うことで、浪の下の都の住人の写真を。 京都みなみ会館で年越しに、無声応援上映の犬王を観てきた。 手拍子、ペンライトなどでの応援上映であったのだが。 久しぶりのカウントダウンライヴである。 何しろ犬王の声はアヴちゃん。 そうなればここは箱(ライヴハウス)である。 能楽が猿楽と呼ばれていた南北朝時代末期の物語。 当時の民衆の興奮と熱狂を伝える為に、現代の我々の興奮と熱狂を誘うために猿楽はロックに落とし込まれていた。 ただのライヴだった。

          犬王応援上映の話

          キエフバレエ・ガラ

          キエフバレエ・ガラ、京都公演は特別な公演だった。京都は日本で唯一のキーウの姉妹都市である。 特別にウクライナ駐日大使のご挨拶があった。 今日は祇園祭の後祭であり、祇園祭が開催された事を寿がれ、京都のキーウへの支援に謝辞を述べられた。 「おおきに」と。 それを受けて京都市長の挨拶。温和に謝辞を述べられた大使に対し、紋付袴姿の市長は京都とキーウの縁のお話をされた。キーウにある立派な枯山水庭園のある「京都公園」2kmに及ぶ桜並木。 そして京都市出身でキーウにバレエ留学なさり

          キエフバレエ・ガラ

          三條通りのモダン建築

          建築について そして、三條通りを東から西へ

          三條通りのモダン建築

          あなただけが食べている

           チェーン店も多く持つ特定の飲食店の名を槍玉に挙げたツイートがまた炎上していた。 正直、何に満足してどこに価値の主軸を持つかは己一人で食べるのかはたまた相手がいるのか、その日のお財布やダイエット(筋トレ?)事情にも依るだろう。 どこかの店名を槍玉に挙げるより、己だけが胸に秘める宝石箱のような、特別な料理を謳っている、語っている方がずっと好いと己は思う。 この本「京都人だけが食べている」はそんな珠玉の一品。 いやぁ喫茶「マリヤ」のハンバーグ焼きそばが出て来たのには拍手喝

          あなただけが食べている

          まいにち花咲く

           先日、Twitterで炎上した育児エッセイ漫画「まいにち母さん」を読んだ事がない。 読んだ事は無いが、絵が嫌いだ。絵が嫌い過ぎて読む気持ちが起きないのだ。  実を言えば、自分の母親も絵を書く。 四歳の頃、まるで、人間の作業を邪魔する飼い猫のように、母に駆け寄ったら、傍から追い出された事がある。 で、あるので、子供である己を蔑ろにしても(と言うと言が過ぎるのだが)自分の母親の描く絵がなにより優先されるべき美しいもの、代え難いものだと思って育った。 なので、母親という

          まいにち花咲く

          読書感想文 テ・鉄輪

          入江敦彦著「テ・鉄輪」 読了。現実と創作の交錯、織り交ぜられる現実にある光景がとてつもなく面白く、哀しい。大路小路の蜉蝣から沸き上がる人間の欲望や懊悩からくる幻想は時に美麗で時に残酷だ。  過去と現在、虚構と現実、逢瀬と別離、欲望と絶望。この物語の舞台となる都は相反する二つのものが表裏一体となっている。そしてそれがとてつもなく美しい。 京都千本通り五辻のわたり。西陣生まれの濃い濃い京都人が書いた、幻想怪奇物語。 「追儺」に「おにはそと」というルビが振ってあって大変素晴らし

          読書感想文 テ・鉄輪