summer_lights
自分の物語づくりのためになれば良いと思って作った記事。 雑なまとめノートのようなものなので、矛盾や明らかな勘違い等ありましたら報告いただけますと幸いです。
書いた物語です。概ね二万字以内のものです。
書いた物語です。概ね二万字以上のものです。
お久しぶりです、もしくは始めまして、さまーらいとです。 最近は小説や研究活動の傍ら、「竹関工房」というサークルで「_turing」という作品の制作を行っています。(企画・シナリオ・自然言語処理周りの実装を担当しています) この作品をつくるにあたり、色々と経緯だとか作品の目標だとか、そういうものがあったため、久しぶりにnoteを書いてみようかな、と思った次第です。 少しだけ時間をいただけたら幸いです。 ゲーム概要 今回制作している「_turing」は端的に言えば、 「一
タイトルの通りなので今回だけは許されると思って安易に使うが、「人間讃歌」として洗練された物語だった。懸命に生きるキャラクターたちの力強さを活字でこれだけ出せる岩井俊二さんは小説家としてももちろん非凡だ。 「すずめの戸締り」「わたしはあなたの涙になりたい」に続き、去年と今年で東日本大震災に「真正面から」触れた作品に出会ったのは3作目だった。立て続けに、というと仰々しいのかもしれないが、やはりこの10年と少しの歳月がやっと出来事を「物語」にすることを許したのではないかと思う
悪く言えば乱暴で荒削りだが、それでも伝えたかったであろう岡田麿里の強烈なメッセージがあった。エンタメとして昇華させた結果、セカイ系に類似した作品になってはいたが、きっとこれはたぶんセカイ系ではなかった。 (余談だが、基本的に僕はセカイ系の定義を 【「外」「大人」「世界」の壮大さ、絶対さに対する「内」「子供」「人間」あるいは「わたし」の無力さを対比した閉塞的な物語全般】 といったような形で捉えている。かなりアバウトだが、それでいいと思っている。あまり言葉に踊らされるのも良
【1】 18の春から始まる話だ。 東京の小さな大学に通うことになった。 初めは少し心配していたけれど、僕は自分が思うよりも早く、新生活というものに順応することができた。 最初の一ヶ月は入学式や学科のオリエンテーションで知り合った友達とつるんでいた。昼食も、彼らと一緒に食べていた。 昼休みが決して長くなく、都内といっても少しだけ駅から離れたところにあるので、美味しい飯屋も少し歩いたところにしかない。 だから、食事はもっぱら学内の食堂で済ませるのが通例となって
「千歳くんはラムネ瓶のなか」に初めて触れた時、最も強く抱いた感情は、「得体の知れない嫌悪」であった。 文体やキャラクタの好みとは全く別の領域で、どうにも受け入れられない部分がある。 そう思いつつも読み進め、何度か思い出しては読み返して、そんなふうに嫌悪感を抱く理由について考え続けて、やっとその理由に少しだけ近づけたような気がするのでここに記しておく。 少し、境遇が近すぎるのかもしれない。 端的に言って、そう思った。 僕は千歳朔達と同じように、地方の学校で高校
修士一年、後期、今年の秋から一年間の休学を行うことにしました。 特に言うことでもないかなと思ったのですが、noteの更新が最近なかったので、一応、さらっと。 経緯 元々、学生生活中に一年間学業から離れようかな、とは考えていました。 人それぞれかとは思いますが、学部も修士も、僕が一番やりたい活動である「物語の執筆」の傍らで行えるほど楽なものではなかったからです。 僕は『言葉を話す機械』をテーマにした物語が書きたいと考え、そのテーマを掘り下げるために今の研究を行な
作品はこちらから。 前回のRe:Busに引き続き、今回もシナリオ等の担当をさせていただきました。 テキスト量は二十万字程度(文庫本1.5冊分くらいでしょうか)です。3時間ほどで読み終えられると思います。 恥ずかしながら、ここまでの分量を書くのは初めてだったため、沢山の壁に当たりました。お世辞にも順風満帆な制作だったとは言えないでしょう。完成した今は本当に安心しています。 うまく説明しきれない部分も多かった中、僕の意図を汲み取って制作してくれた先輩方に感謝しま
本文はブルーアーカイブのメインストーリー全般、主にエデン条約編までの内容に触れる文章となっている。 作品を読み終えた後に閲覧することを強く推奨する。 また、あくまで所感に近い内容である。 はじめに ブルーアーカイブのメインストーリーに追いついた記念として、読みながら自分の中で咀嚼していた部分を少しずつ吐き出していこうと考えた。 どこまでも質の高い物語であるため、何から切り出せばよいのか、正直かなり迷った。 物語の中身の話をしたい気持ちは山々ではあるが、まずは作品にお
【1】 あれは、わたしがななつくらいの時でした。 お母さんが家を出て行ってしまいました。 お母さんは地下にわたしのことを閉じ込めて、『ここで待っていなさい、すぐに帰ってくるから』とだけ言いました。 まさかそれが母親との最後だなんて思いもしなかったわたしは、きっと何の変哲もないお願いの一つだろうと思い、それを受け入れました。 一日、二日、暗い地下でわたしはお母さんの帰りを待っていました。 けれど、お母さんはなかなか帰って来ませんでした。 ----お母さんに
関わってくださる方が少しずつ増えてきたので自己紹介をします。 先に簡単な概要と目標、下に少しだけ詳しい経験や現在に至るまでの経緯を書きます。 継ぎ足したり修正したりするかもしれません。 概要 「さまーらいと」という名前で活動しています。 現在は情報系の大学四年で、今の専攻は自然言語処理(雑談応答システム)です。 修士課程では今までお世話になった大学を離れ、都内の大学院に進学予定です。研究室は変わりますが、引き続き雑談応答や対話システムについて研究していきたいと考え
小説を書こうと思ったのは、大学三年の春とか、そんな頃だった。 特に不自由な暮らしをしていたわけではなかったけれど、あまりお金を書けない趣味も見つけたいな、なんてことを考えた。僕は半端に勉強ばかりしていたし大学でも沢山レポートを書いていたので、きっと言葉は得意だろう。そんな浅ましい理由から物語を書く事にした。しかしいざ書いてみると、筋の通ったストーリーをひとつ最後まで書ききることすら実に難しかった。だからこそ、僕は自分が思っていたよりも多くの時間をこの趣味に費やした。
この世界はきっともうダメでさ、だからみんないつかバスに乗るの。 ずっと乗ったその先の終点はとても良いところでさ、みんなが天竺とかシャングリラとかエデンとか言ってるのは全部そこのことだってカムパネルラも言ってた。でバスって乗る時に整理券があるじゃん。整理券には数字が印字されてるのよ。番号はバスに乗った場所に依存してるからさ、幸か不幸かそれを見れば他人がどこから来たのか簡単にわかっちゃうわけ。世間話する時とかは便利だよね、あーあなたはあちらの町から来たんですねとかそこには行っ
以下、知り合いへのメモを張り付けただけ。 作品の大事な部分に触れているので注意。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ swan songの最も大きなテーマの一つに"個"と"群"の違い、 構成要素達が一つになった瞬間に生まれる奇跡の話があると思っています。 オーケストラの指揮者についての話がひとつ、 オーケストラを構成する演奏者。彼らはそれぞれ別の場所に行くだけで、誰一人いなくなるわけではない。彼らに会おうと思えばその機会はあるだろうし、
周りの方々の多くが半年あるいは一年の記録をまとめようとしているのを見て、自分もそういうことをしてみようと思った。 (最近は特に)自分の話をすることはそこまで好んでいなかった。何かテーマや意見があるなら、それを自分のこととして話さずに小説やその他の文章として書くべきだと思っていたからだ。取るに足らない平凡以下の人間ひとりの話をしたところでお腹も心も膨れない。 そう思っていたのだけれど、どうやら最近はこんな僕が何をしているのか気になる方も少なからずいるようだと感じた。いろ
※作品はフィクションであり、実際の国家、社会、組織とは一切関係がありません。 ※作品は特定の人々の肯定や否定するものではありません。また、特定の差別を助長するものではありません。 【1】 礼子と初めて出会ったのは、教会の休憩室だった。 幼い頃の俺と彼女----正確には「俺の両親と彼女の母親」は、同じ宗教施設に出入りしていた。 宗教と言っても、皆がよく知っているほど有名なものではない。 俺と礼子が通っていたのは、いわゆる新興宗教という奴だ。 それなりに有名
「うん、だからさ、僕は思うんだ。夏にはほとんどの人間にとって共通の、理想形のようなものがあるんじゃないかってさ」 昔の話をします。 小学校六年生の、夏のある日の、教室での出来事でした。 七草くんは何かを確信しているかのような表情でそう言いました。 「みんなが同じような夏の日を求めているってこと?」 私はそう訊き返しました。今はペアワークの授業中で、黒板には大きく<夏について>と書かれていました。各々の思う夏についての所感を言葉にし、隣の席の相手と意見を共有しようと