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日記あおにさい

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写真家 工藤葵による日記
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2019年5月の記事一覧

光のはなし

今、生きる感覚がしっくりきている。女子高生時代、陸上に命をかけていた私を超える熱と光を持っている。それはもう、楽しくて楽しくて悔しいことばかり。青春と呼べる出来事は走ることが全てだった。走る事が好きで、跳ぶことは気持ち良い。中学まで長らく中距離を専門にしていた私は走り幅跳びに転向した。本能レベルで刻まれた助走のリズムは14歩。徐々に加速し最後の3歩で空へ舞う。瞬く間にふと身体が浮く感覚が忘れられない。これは多分、光。 己の感覚で気持ちの良い瞬間を越えていく陸上が好きだった。

慣れない化粧

80を超えたと思えない肌はツヤっとしていてシンプルに羨ましいと思った。彼女が愛用していた保湿ジェルをたっぷり染み込ませ、優しく肌に触れていく。化粧下地とファンデーションクリーム、ほんの少しピンク色の紅を合わせる。また、触れていく。今更、手が震える事も無かった。 「母はすっぴんを見せてくれなくて。」 「体調を壊して、ここ(老人ホーム)に来てからです、化粧をしていない母を見たのは。」 彼女が息を引き取るまでの数時間、共に過ごした娘さんがぽつり呟いた。そうか、知らなかったな。も