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それはきっと、関係の貧困

駅裏のカフェが『こども食堂』を始めたらしい。毎週水曜日の夕方、100円でゴハンが食べられるという。
いいことだ。

たぶん。

オシャレ且つ少々入りにくそうなカフェが、こどもの集まれる場所となる。いいことだ。
地域の子育て中の親子に関わる、見守る、サービスを提供する。いいことだ。
運営に関わる人のつながりができる。ボランティアも広がる。いいことだ。

いいことだろう。

でも、いわゆる【こどもの貧困】を救うとは思わない。
(※こども食堂の批判ではありません)


17歳以下の、6人にひとりは貧困であるという。こどもが【食事できないほどの貧困】というのは、シングルマザーであることや非正規職員であることと、ほとんど関係ない。
だって今の日本は、寝たきりの独居老人でも生活できるほど、サービスが整備されているのだから。

あらゆる手厚いサービスがあるにもかかわらず、そこに繋がれないひとがいる。
(繋がりたくないひともいるが。)

寝たきりのひとが独りで病院に行けないように、自力でサービスまでたどり着かない。
そういうひとがいる。

こども食堂を利用できる親子は、
介護保険サービスを使える高齢者は、
あっちが悪い、こっちが悪いと病院に行けるひとは、
困っている、助けてほしい、と言えるひとは、
大丈夫なのだ。


たとえば軽度の知的障害や病気、境界知能、精神障害や発達障害、虐待を受けて育ったひとが親になる。
周囲のサポートや理解なくして、子育ては難しい。
家族の支えがあるなら、まだいい。
でも、そういったひとの親や家族もまた、サポートが必要だったりすることが多い。


障害者枠で入職した女の子がいた。
どんな作業を。どこまで。
探りながらの毎日だった。スタッフ一丸となってサポートした。
そのうち『パワハラされている』と家族に訴えるようになった。(繰り返し助言を受けることが不慣れで、負担に感じてしまうのだ。)
被害者意識が強かった。家族は娘の言い分を真実だと思い込み、共に被害者になった。
一方で、若い男性スタッフに言い寄る。既婚者なのもおかまいなし。『遊びに連れてってくださいよぉ。』と迫る。
嘘もつく。『元彼にレイプされた。』などと、聞き流すわけにもいかない嘘をたびたびつくのだ。構ってほしくて。
(あくまで一例。百人百様です。)

辞めてしまったあの子は、結婚願望が強かった。いずれ母になるかも知れない。あのおばあちゃんに子育てを手伝うのは無理なのではないか。養護学校の先生たちは、卒業生にいつまで、どこまで関わってくれるのだろうか。
限界があるだろう。

たとえば虐待やネグレクト、一見、極悪非道な親の起こす【事件】も、ひょっとしたら。
サポートが必要なひとが親になったのかも。
【ふつうの感覚】のズレ、考え方の偏り、客観性の欠如、感情の不安定さ。
あのひと変ね、付き合いにくいね、逆ギレされちゃうね、と孤立していった結果なのかも。


【親がサービスまでたどり着けない】なら。
今日の食事に困っているこどもがいるなら。
どうにか見つけてあげなきゃいけないと思う。
こども食堂は、そのきっかけの、そのまたきっかけにはなるだろうか。

なるといいなぁ。



#こども食堂
#こどもの貧困






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