毎朝４時半に起きる。旦那の出勤が早いからだ。夜も遅いのに早起きだから万年寝不足。
今日はパートが休みだから二度寝したいところだ。でも廃品回収の日だから、なんとしても朝のうちに出さねばならぬ。廃品回収は、ゴミ収集車と時間が被らないようにしているのか、やたら早いのだ。

そして、ふと思いつく。
ついでに海に石を返しに行こうと。

世の中には【石磨き】というジャンルがあるらしい。何かの記事を読んだとき、興味がそそられた。なんでも【どんな石でも磨けば光る】そうで、添えられた写真にはピカピカに輝く小石が映っていた。

やってみたい！！

即、海に石を拾いに行った。
海や山のものを勝手に持ち帰るのは良くないと聞く。
磨いてあげるんだから許してもらおう。
いくつか持ち帰った。
ホームセンターで金属製のヤスリ、紙ヤスリ、布ヤスリ等、粗いものから磨き上げ用まで購入した。

ゴリゴリガリガリゴリゴリガリガリ延々とやり続けた。何日も。

…光りません。ちっとも光りません。

うっすら角が取れたし、【面】と呼べるくらいの箇所もできたけれど、墓石みたいにツルツルにはならない。
やり方が悪いんだな。何か違うんだな。

腱鞘炎になった。
だからやめた。

【どんな石でも磨けば光る】ことは証明できなかったけど、途中であきらめたのだから【光らない】ことの証明にもならない。
きっと、それなりに、その石なりに光るんだろう。石ころに自分を重ねていたかも知れない私は、そう都合のよい解釈をして、あきらめた。

…ともかく、海に返そう。
早起きついでに日の出も拝もう。
今日の日の出は5:53。間に合う。急げ！

身支度をして、ゴミをまとめて、廃品を束ねて、石を持って、急いで出ていく。
最寄りの海は狭い。
ぐるりと囲まれている。
房総半島に塞がれて水平線も見えない。
だから日の出はさらに５分遅くなる。

間に合った。

神聖な気持ちになる瞬間だ。
浄化され、新しいエネルギーをもらえる。

…ような気がしたけど、すっかり体が冷えた。石を返して、家に帰ろう。

帰り道では、いろんな野鳥のさえずりが聞こえた。イソヒヨドリやムクドリにも会えた。
銀杏並木の木々のサッパリした美しさに目を奪われた。
なんだかもう、十分。
幸せだった。
今日はもうオッケー。

すでに眠い。

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