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インボイス制度が始まりました

おはようございます。

サンカラ・公認会計士の柿本です。

だんだんと朝晩に肌寒さを感じる季節になってきました。

少し洟風邪をひいてしまった私が言うのもなんですが、みなさま体調にはお気をつけくださいませ。

さてさて、令和5年10月が始まり、直近二大税務イベントのひとつ、インボイス制度が開始されました。

(ちなみにもうひとつは電子帳簿保存法。令和5年12月31日で宥恕期間が終了予定)

9月もご相談は大変多かったのですが、10月に入ってからも引き続きインボイスに関する相談で私も忙しくさせていただいています。

そんな中で見えてきた実情を、簡単にお話ししてみようと思います。

課税事業者:ほぼ登録済み

そもそも課税事業者だった方は基本的にほとんどの方がインボイス登録をしています。

インボイス登録をすることでのデメリットがほとんどないためで、こちらはまあ想定どおりかと思います。

登録しない方もごく少数いらっしゃいますが、それは個別事情によるものでした。

免税事業者:対応は環境に応じてそれぞれ

インボイス制度で最も受難しているのが、これまで免税事業者だった方々。
これまで消費税を納めなくてよかった免税事業者の、いわゆる「益税」問題にメスが入った形です。
(それなら最初から1000万の免税点を原則消せばよかったのでは、などと思ったりもしたのですが話がズレるので置いといて)

免税事業者の方は登録しないという方も、実際にはそれなりにいました。

そもそも非課税売上が大部分の大家さんや、取引先がそんなに多くない事業者の方も取引先との交渉でインボイス制度に登録しない対応する形も見られました。

当分は仕入税額控除も8割可能なので、実務的にはまだ検討猶予期間とも言えるのでしょう。
(おかげさまで消費税計算は面倒になり、税理士の実務はより複雑化しそうですが…)

一方で類似業者が多く競争の多い業界で仕事をされている方や、取引先が大手企業の場合には、

「インボイス登録するよう言われた」
「取引先の画一的な依頼に逆らえない」
「同業者の多くがインボイス登録しているから」

という理由で、本当はしたくないが登録した、という方の話もよく聞きました。

ある意味、制度の思惑に沿って皆さん登録が進んでいるな、という印象です。

請求書等の発行対応

インボイス登録を行った場合、今後発行する請求書にインボイスの登録番号を記載する必要があります。

そうすることで、初めて取引先が仕入税額控除を受けられます。

インボイス登録の判断だけでなく、請求書等への登録番頭記載などの実務がじつはかなり面倒で、顧問先の経理担当の方などから私も多数の質問を受けています。

「支払通知書を発行している場合はどうしたらいいのですか?」
「納品書にも登録番号を書かないといけないのですか?」
「立替経費の場合は会社の宛名で領収書もらわないとだめですか?」
「インボイス対応システムへの切替は、10月1日0時00分でいいのですか?」

などなど、国税庁のQ&Aに回答があるもの、無いもの、会社固有の問題など、玉石混交。

私も色々調べながらの回答が当分続くのだろうと感じています。

国税庁も実務に配慮

会社の担当の方は様々な不安を抱えつつ制度対応を整えたものと思います。
ただ、実務が制度に追いつくまでにはまだ時間がかかりそうで、様々な不備が出てしまうことは拭えなさそうです。

こういった実務整備が不安定な状況を鑑みて、国税庁長官の住沢整氏は先日、

制度の定着を図ることが当面の課題だとし、インボイス制度の税務調査は大口で悪質な事例に限定する旨の意向を示しています。

面倒ですがじっくり対応していきましょう

このように、国税庁もこの制度を実務に定着させることが簡単ではないという認識を持っているようですし、

これから実務に入って新たに発生してくる問題には、誠実にその都度対応していけばよいかのかと思います。

だいぶ面倒ですが、これもきっと健全な税の徴収のため…しっかり対応していきましょう。

柿本耕市郎
公認会計士・税理士
専門分野(ビジネスモデル、新規事業、税務)

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