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私は就職ができない10_フリーランスから就職することで達成可能な「所得倍増計画」の件

【前回までのあらすじ】
働くとは非人道的な行為であると気がついた私は、しかし企業の採用担当者との一次面接をこなす中で人と人のぬくもりの重要性に気がつきつつあった

「働きたくないので就職する」といったらあるいは素人の皆さんは驚かれるかもしれない。案件がとれず困窮し、就職のための面接で連戦連敗して頭がおかしくなってしまったのかと。

そう思ったあなたは愚者である。

私は確かに見つけたのだ。いまの困窮状態を脱した後に広がる、左うちわ必死の真に恐ろしい働き方を。それはフリーランスから会社員への復帰による「所得倍増計画」である。

私が就職を目指して目下求職活動中であることはご案内の通りだ。知らなかったらモグリと言われても仕方ない。片手ではフリーランスの仕事もやっている。月の収入はだいたい25万円程度だ。ここから年金1.6万円、健康保険5万円を差し引く。さらに家賃や光熱費、食費などを妻と折半し負担する。結果、ここ数ヵ月の収支はトントンだ。

夫婦共働きなので、すぐに家計が傾くことはない。しかし将来は暗い。何しろ愚息が2歳でオムツも取れていない。そこで就職活動と相成ったわけだ。しかし定職獲得への道は遠い。書類通過率は5%ぐらいにまで落ち込んでいる。一次面接で落とされることも多い。就職は困難を極め、諦めそうになっている。しかし、もし就職できたら獲得できる果実は甘い。控えめに見積もって、富豪になると思う。

理路はこうだ。例えば就職戦線をうまく戦い抜いた結果、年収600万円の勤め人になったとする。年収600万円は私からしたら良い線なのだが、もしかしたら世間的には薄給とみられるかもしれない。特に東京のIT企業で働く四十代男性の中では。しかし600万円はあくまで収入源の一つに過ぎない。何しろ私は現在フリーランスなのだ。このまま細々と案件を繋げていけば、就職したあともフリーランスとしての収入を得られることになる。副業だ。

かりに月に20万円稼いだとしたら、年収では240万円になる。会社員の給与収入と合算すると800万円を超える。これはひとかどのサラリーマンといえる。ほとんど1,000万円プレイヤーだ。私はフリーランスになる前に新宿にある小さなコンテンツ制作会社に勤めていたが、その時の年収は400万円台だった。フリーランスという、いわば職歴のロンダリングを経て会社員に復帰した暁には、副業収入と合わせて約1,000万円の収入を得る。つまり、会社員時代の年収の2倍強となる。これがつまり「所得倍増計画」である。

フリーランス→経歴ロンダリング→会社員とフリーランスのハイブリッドで職を倍増させる。まさに天才的な所業である。雨降って地固まる。

そして、私はこの2倍になった収入をさらに倍加させる天才的な計略を考えている。妻の利用である。妻は今会社員だが、転職を考えているらしい。ラッキーなのは現在の所属企業は外部の業務委託委仕事を依頼することが多々あるということだ。実際に転職者に引き続き仕事を発注し、その人は多額の副業収入を得て左うちわという。妻もこのスキームを使い副業を得ることに成功したらどうだろうか。

我が家は実質4つの収入源を得ることになる。つまり、私の会社員としての給与、私のフリーランスとしての報酬、妻の会社員としての給与、妻のフリーランスとしての報酬。昭和の時代ならば一人の大黒柱が日々汗水流して働き、会社から給与を得て妻子を養っていた。現代は共働きが主流だが、一方が時短で働くという世帯も多いだろう。必定時短者の収入は少なくなる。あるいはパート勤めの場合月収が15万円ぐらいということもあるだろう。

しかし私たちの場合、いま私が胸の中で頭の中で夢の中で電卓をはじいたところ、世帯年収2,000万円に到達するという結果が出た。富豪ファミリーもいいところだ。

むろん課題はある。そもそも勤労意欲が低いのに、副業というダブルワークに耐えられるのか。私はもちろん妻だってそこまで働くことを好いてはいない。子どもが小さいので労働にばかり注力していられない。また、副収入を安定的に確保する算段はついているのか。そもそも妻も同様に2倍働かせることは可能か。

私はもう一度頭の中で電卓をたたいた。気前のいい数字は霧散した。くだらない夢想はよして、就職活動を頑張ろうと思った。

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