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昔々、マジで信じられないことがあったんだけど聞いてくれる?

「日本のヤバい女の子」を読みました。

著者のはらだ有彩(ありさ)さんは、
日本の民話をモチーフにしたテキスタイルを作られていて、日本の民話に登場するヤバい女の子のお話をアパートメントというウェブマガジンで連載中です。

「日本のヤバい女の子」はアパートメントの連載を加筆・修正されたものが本になりました。

前書きには、こんな風に書かれています。

彼女たちの「役割」を取り払い、素顔を覗きこんだとき、そこにいるのは私たちと変わらない一人の女の子ー血の通った一人の人間なのではないでしょうか。
決められたストーリーから抜け出した彼女たちと、友達と喫茶店でコーヒーを飲む時のように話し込みたい。「あの時」、考えていたことを教えて欲しい。
これは昔話の女の子たちと「ああでもない、こうでもない」と文句を言い合ったり、悲しみを打ち明けあったり、ひそかに励ましあったりして、一緒に生きて行くための本です。

Ⅰ いなくなる女の子たち
Ⅱ キレる女の子たち
Ⅲ 人間やめる女の子たち
Ⅳ 殺す女の子たち
Ⅴ ハッピー・エンドの女の子たち

5つのテーマに4人ずつ女の子が登場します。

テーマごとに、私が気になった女の子を紹介します。

Ⅰ いなくなる女の子たち
1 献身とヤバい女の子ーおかめ

夫の成功を影から支えたおかめ。
それなのに、女の自分に助けられた事が世間に知れたら、夫の名誉に傷がつくからと、自ら命を絶ってしまう。

えー?!マジか…。
いきなりそんな女の子の話?!

でも、今の時代、死ぬ事はなくても、
男の人を立てなければならないという
不文律は、なくなったとは言えない。

Ⅱ キレる女の子たち
6 仕事とヤバい女の子ー鬼怒沼の機織姫

天女の機織りの邪魔をすると
恐ろしい祟りがある。
それを知りながら邪魔をしてしまった
弥十(やじゅう)のお話。

なぜ鬼が怒るくらいのレベルで
天女が怒ったのか。
その理由が、
お話の途中で描かれたマンガを読むと
よくわかる。

そしてもう一つの、
あったかも知れない物語の結末がすごく素敵。

Ⅲ 人間やめる女の子たち
9 変身とヤバい女の子ー清姫(安珍・清姫伝説)

清姫の気持ちを軽い嘘でかわした安珍が
怒って蛇になった清姫に殺されるお話。

お話の冒頭、安珍の寝室を清姫が訪れるシーン。
これだけの怒りをかうのだから
「やってもうたんちゃうの?」※と立ち入った詮索をしてしまう。

※作者のはらだ有彩さんが関西のご出身なので
文章の途中で関西弁(関西のノリ)が好きです。うるせえ。どつきまわすぞ。とか。

Ⅳ 殺す女の子たち
16 王子様とヤバい女の子ーある末娘(猿婿入り)

父親の願いを叶えた代償に
猿の嫁になる事になった末娘のお話。

自分で自分を救った末娘のお話は
ものすごく現代の女の子のお話のようで
力強くて清々しい。

Ⅴ ハッピー・エンドの女の子たち
20 女とヤバい女の子ー女右大将/有明の女御(有明の別れ)

男の子として育てられて男性として活躍していた女右大将。
望まない妊娠をしてしまった左大将の娘と結婚して、子どもを持ち、表向きは女性とバレずに暮らしていた。
しかし女右大臣を青年と信じて惹かれた帝に迫られて、女性とバレて、なんやかんやあって、帝に女性としてして嫁ぐことが出来た。
けれど、男装時代は自由でよかったなと懐かしむ。

…いろいろ気になる要素が盛りだくさんですが、
男の子になりたい女の子。
特別で大切な女友達。
そんな女の子のお話。

どのストーリーも魅力的な、
総勢20人のヤバい女の子のお話。

「昔々、マジで信じられないことがあったんだけど聞いてくれる?」
「うん、うん。うわーマジないわー。」

ファム・ファタール(男を破滅させる魔性の女。悪女。)として物語の中で描かれる彼女たちの、違う一面に思いを馳せて描かれたこの本を読んで、より彼女たちを身近に感じて、話を聞いて、おしゃべりしてみたくなる本でした。

20人の女の子たちのイラストが魅力的なので
是非本で読んでみてくださいね。 

帯と見返しの紙も素敵です。

(おまけ)
日本のヤバい女の子のスカーフは
こちらで発売中です。

アパートメントの連載は
こちらで読めます。

「日本のヤバい女の子」は
2015年2月から2017年8月までの連載が
まとめられています。
と、いうことは!
新しい話がアップされていので
また別の女の子たちと話せる本が
発売されるのかも?
そうだったらいいな。

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