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【大会】やっちろドラゴントレイル/64km D±4300m(2023/08/11)

暑くて熱い夏の八代を今年も走りました。

基本情報

開催日: 2023年8月11日
走行エリア:坂本町・八代市街付近・氷川町
距離:約64km
標高差:約4300m(公式)
制限時間:15時間
開始時間:朝5時

やっちろドラゴントレイルは熊本県八代市坂本町、八代市内、氷川町までの折り返しルートで行われるトレイルレースである。
令和2年に発生した豪雨による被害の復興を祈願した大会でもある。
本年は「鹿の食害について」もテーマに組み込まれた。コース中でも植生保護活動を周知している。

駅伝の部とソロの部があり即年に続いてソロの部で出場。駅伝もとても楽しいようだ。

今回は動画なし。最初は撮っていたけど、エイド1でカメラを落としてしまいレンズカバーに傷が入りろくに撮れなくなったので中断。ボルケーノの教訓がまるで生きてませんね…
ちなみに後で考えるとレンズカバーガードが損傷しただけなので、剥がせば普通に使えた。

会場・スタート前

当日は前泊なしで移動、会場には朝4時前に到着。
その前の小話として坂本町に入ってしばらくすると歩道に何かが見える。鹿だ!反対車線からこちらを見つめている。
その後も歩道で走り回る鹿を4頭ほど見かける。かなり人里慣れしており、まるで庭と言わんばかりに縦横無尽である。轢かないよう用心して進む。

さかもと復興商店街がスタート・ゴール。
道の駅からこちらに移動となった。場所は向かいなのでほぼ隣。
暗い中、準備を進める。さすがに少し眠い。

ゲート
まだ月が出ており、ガスっている
会場に人が集まり始める
主催、スポンサー。福岡のパタゴニアにはこの大会のパネルがあります!
商店は営業中。昨年より元気になっている

4時半に開会式。
今回は参加証の手渡しがゴール後となったのでじっくりと号令を待つ。

そしていよいよ

朝5時にスタート。昨年と同様、まずは様子見ペースで進めていく。最初の登りは渋滞するけど飛ばす意味はあまりないので流れに任せて進む。

登りを終えると林道へ。ここから八竜山まではそれなりに長い舗装路の登りが続き、トレイルに合流する。ここのトレイルは全区間で最も走りやすく気持ちが良い。

今回は前回の経験から「朝10時前に可能な限り進む」という作戦を立てた。というのも日射が強くなるのがだいたい8時半くらいであるけど、山の中に入ればそうでもない。よってピークになる前に折り返し前の長いトレイル地帯に入ってしまえばよく、ポジティブスプリットで進めたほうが無難という見込みから。ただ飛ばしすぎると持たないので塩梅が難しい。
よって最大心拍160程度・坂道は斜度10度以上は全歩き・登りのピッチは130をベースに進めた。

…という風に考えていたのだけど、この辺りで他の方と合流し一緒にいくことにした。なのでペースは少しセーブ気味になる。結果だけいうと、これは記録とは別のところで正解だった。

5km地点

トレイルの登りを終えると日の出を拝める場所へ。雲が厚く、あまり日は見えなかった。

日の出。ここからがドラゴントレイル

この時点で昨年との違いを確信する。
涼しい。湿度が明らかに低く、発汗量は大したことがない。直前に台風6号が通過したことが良い方に作用しているようだ。

どこかぼんやりした景色

9-10km地点

9km地点で最初のエイドである袈裟堂を迎える。
昨年はこの時点でフラスクが1本空になっていたが、今年は半分くらいしか減ってない。

一応頭からの冷水ぶっかけはしてもらう。これはもはや通過儀礼。エイドでは先述の通りGoPro落としてしまい、少しテンパる。
地場のテレビ局が撮影しており大会についてのインタビューを受ける。慣れてないので緊張しながらコメントを考え、話す。もう確認しようがないけど、どうやら映像は使われたらしい。

袈裟堂から妙見宮へ。昨年との一番違いを感じたのはこの区間。前回はとにかく蒸れて暑かったけど、今年は普通に涼しい。麓付近にある滝の水量も豊富で近くでは冷風が届くほど。
この時点で完走確率が跳ね上がったことを確信する。

中宮。お参り。

蒸れないと全然余裕が違う。登りで息切れしないし、全く疲れや辛さを感じない。開けた箇所に出ると空は明るくなっていた。八代市街にかかる雲は厚く、影も大きく出来ている。

昨年はこの時点でスマホがぐちゃぐちゃに濡れてました

コースで初めての街を臨めるエリア。やはり立ち止まり写真を撮ってしまう。

ここからの眺めは最高

ここからは降りになる。ここが先述の箇所で、沢がありとてもさわやかな空気が漂っている。

この滝がとても涼しい

約16km~

沢地帯を出るとロードに接続、極力直射日光を避けるため日陰を探しつつ走ったり歩いたり切り替える。さすがに時刻的に暑くなってくる。

しばらく進み、八代神社で参拝をしたのちに東片自然公園の階段前にあるエイドに到達。

大量のダンボールに気づいた。ここはあれがある…そう、

グリーンティー!やはりレース中に飲む一杯は最高だ。他には梨などもいただき、しっかり水分を摂る。
おにぎりも1ついただいたが、暑いのでいまいち食べられない。水で喉に流しこむ感じになった。

最高すぎる。マジで最高。

そしてかき氷!これは本当に助かる。前回は行きにもらってなかったのだけど、あるとないとで全く楽さが違う。単純にめちゃくちゃ美味しい。

南阿蘇の水使ってる熊本のメーカーのものだそうです

充分冷えたところで前半の難所、連続する登りに挑む。まずは777階段へ。

キツいのはここからだ

この階段は上に行くほど急斜面になるので大変。心拍を抑えつつ、一歩一歩確実に足を動かす。

階段を登り切り、振り返ると街を一望できる。
ちょっとしたご褒美。

雲は少し散ってきた

しかし登りは終わらない。ここからはトレイルの登りが始まる。

なぜ「竜」か、はこれが答え

竜峰山、竜ヶ峰のエリアは階段の後にひたすら岩稜地帯が続く。これがかなり立派で龍の背中、というのも納得の風貌。普通に歩いて楽しい地帯。ワラーチなどだと大変そうだ。

ピーク前の階段。がんばります

トレイルを登りきると「第二の竜」である竜峰山のピークに着く。
ここが一番見晴らしがよく、八代市街を一望できる。

快晴になってる!

竜ヶ峰まではアップダウン、更なる岩場が待っている。
向かいの山も見え、とても気持ちいい。この辺りは昨年は無風だった。しかし今年は風があるうえに標高500mを超えているので少し冷えている。そのため快適に進めた。

すばらしい景色
雲もいいよね

約20km~

そして竜ヶ峰につく。ピーク間はあまりないけど、標高541mでここがコースの中では最高峰となる。私設エイドの方々がここにいた。
昨年はバテバテだったけど、今年は余裕だ。

いいね~~

そして降りへ。降り始めて間もなく、トップの人たちはもう折り返してきた。速すぎる…

~29km(折り返し)

下山後は地味に長いロード。ここがけっこうしんどくて、立神峡に入るまで日陰がほとんどない。冒頭で書いた通りここは10時過ぎくらいを超えるとアスファルトが熱されることもあり暑さがヤバくなるので、それまでには通過したい。この時のペースはだいたい10時過ぎだったので計画通り。

29km地点・立神峡では橋を渡り五百羅漢を登って降りたのちに今年も特製アイスコーヒーをいただく。これが本当においしい。ちゃんとしたお店でブレンドしてくれているもので、かなりスッキリと口当たりよく飲みやすい。

マジで最高

その後、少し進むとエイドに到着。
ここで一休みと後半に備える。

ありがて~~

写真にはないけど皮ごといけるタイプのブドウをいただいた。一粒単位で食べてたら房を渡された。マジか。シャインじゃないとは思うけど、相当おいしい。ほしいものが全部詰まってる感じがした。ありがとうございました。

ここでもおにぎり

エイドでは後半用装備に切り替える。ウェアは白いノースリーブ、キャップはフルメッシュ、白いサンシェードを装着。BCAA等を一気に摂取。
補給食も入れ替え。暑さもあり、前半あまり摂らなかった。
そして少し休み、再び進む。

「シングルドラゴン」だけじゃ足りない。ここから再スタートだ。
時間的にはかなり余裕。そして気温・気候、体力の残量的に完走は確信した。もし一人だったらあとはタイムがどうなるか、ではあるけど今回は違ったので、ゴールまで行くことだけを考えていた。

約30km~

再び竜ヶ峰を目指しロードを走る。
やはり、湿度はあまり感じない。しかし直射日光がきつい。
この時点で装備が大正解だったことを実感する。

まずノースリーブは涼しさが段違いだ。前半もティートンブロスのエレベーションTという考えうる限り最高の対熱用素材を着ていたので涼しかったのだけど、普通の速乾素材がそれ以上に涼しい。脇に熱がこもらないと全然違う。そしてキャップも熱抜けが抜群に良く、白いサンシェードにより首元が全く暑くならない。

標高が上がるにつれて徐々に涼しくなっていく。登りでは無理しないペースを維持。このときは3人で進んでいた。
この区間けっこう長いな…と思いながら進み、ようやく再び777階段に到着する。と言いつつずっと喋りながらだったので気持ち的には全然楽だった。

天草も見えます
慎重に降る。白パワーはすごい


約40km~

ここと次の区間は諸々あって写真がない。

エイドではしっかりと冷やし、グリーンティーを再度飲んで(おかわりもたくさんいただけた)、おにぎりを食べてかき氷をもらい進む。
前回は八代神社を抜け妙見中宮に至る道は本気で苦しい暑さだったけど、今回は全然余裕だった。川でドボンする必要すらないくらいに。もちろん直射日光はきつい。しかし湿気て息が苦しいタイプの走れない暑さ、ではなかった。トレイルに合流してからはとても涼しい。登りは少ししんどいけど、登り切るとけっこうランナーがいた。ここから道の確認をしつつ、降りは走るというスタンスで山を下る。

山を下ると最初のエイドに帰ってきた。ここではなんともうれしいスイカ・そうめんが待っていた!走ってるときにあったらいいですね~と冗談めかして言ってたら本当にあるとは…最高においしい。元気が出てくる。
水も被り、再びロードを進んでいく。

約50km~

橋を渡った先に八竜山の登山口がある。行きとは別ルートだ。後半はここからがしんどい。ひたすら登り、木の階段が続く。景色が全然変わらないので進んだ感じがしない。はっきり言って大会じゃなかったら絶対通らないタイプのルートだ。ゆっくりと歩を進める。そしてため息を何度もついて案内板を見ると、21XX段的なことが書いてある。そりゃ進まんわ。777段なんてかわいい方だったのだ。

とは言え今年はオーバーヒートもなく進めた。やはり全然湿度の有無で違う。行きと同じルートに合流するとトレイルを降る。ここは気持ちいい区間だが、涼しいと別格である。
トレイルを抜けると舗装路を一気に降る。標高250mくらいは下がってるのではないかと思う。

降りきった後は帰り専用ルートへ。峠道の曲がりくねったアップダウンだ。
昨年はきつくてほぼ歩いたけど、今年は降りなら走っても余裕だった。

約58km~

58km地点、あさひ森の保育園にある最終エイド。
ここで今年もフルーツポンチをいただく。
具材が昨年より大幅にパワーアップしている。なんとアイス入り!

エネルギーの塊

このエイドでは安堵してくつろいでいる人がたくさんだった。
気持ちはとてもわかる。6時までにここまできたら残り時間的にゴールできる確度は極めて高い。あと少し。
しかしあと少しだけど、最後はパワーがいる区間だからしっかり補給する。
ただこの時点で水は確定で足りるため、背中の水を半分捨てる。
結局1L背負っても最後まで使わなかった。この辺りからも発汗量がわかる。

一応ライトは出しておいた。準備が済んだら最後の難所へ。
登りはすべて歩いた。最後のほうの傾斜を計ると20%を超えており、多分25%程度の急斜面だったと思う。自転車で降りたら確実に事故る。道がめちゃくちゃ荒れてるのでそれどころではないけど…

最後のトレイルが記憶より長い気もしたけど、なんとかライトを着けるまでもなく進めた。下山するとあとはロードを走るだけ。ここだけは先にいかせもらった。最後を飛ばすのはマイルールなのである。

そして…ゴール!

ゴールして

無事ゴール。今年も完走賞と「ダブルドラゴン」ITRA 3pointを獲得した。今回初めて他の方とほぼ全行程で一緒した。まるでバディものだ。

全体的にパワーセーブモードでした。終わってからもだいぶ余力あり、翌日も元気!
おつかれ山

ペース配分などいつもと勝手が違うところはあったものの、喋りながらだと気楽で楽しい。気持ちが落ち込みそうなときもポジティブに持っていける。
それに写真を撮ってもらえるというのもいい。普段は自分の写真を撮らないから新鮮だ。すべて出し切った後の気分は好きだけど、大会が終わってから降りかえったときに楽しみが残っているというのも素敵だ。

以前、イベントでかの望月将悟さんが山は二人だともっと楽しい、とおっしゃっていた。あの方の場合はレベルが近くよく知り合ったヤマケンさんであるけど、自分の場合はレースで会った方だったりで少し状況は違う。けれど、「もっと楽しい」のニュアンスが最近よくわかるようになってきた。もちろんひとりで行くのはとても好きだけど、明らかにそれとは違った楽しさがある。

私自身、なんだかんだでレースになると記録を意識する。だけど同時にトレイルでそればかりは違うんじゃないか?という気持ちが強くなっている。山にしかない景色はあり、それは一瞬だけの移ろいであることも多い。つまり山を走ること自体が一期一会だったりする。特に長丁場のロングレースになるとエイドの人たちや他のランナー、そういった関わりもロードレースと違い深くなるため旅の要素も内包する。

まだ能力をあげること自体にも関心はあるけど、それだけじゃない。いい意味で初心に戻ってきている。強さと楽しさを両立できるのが一番いい。

靴のダメージ

ボルケーノトレイルでダメージを受けたティンプにはトドメを指すことになった。しかし意外にも全然走る分には問題がない。さすがに岩に当たると痛いし、小石などは入るけど。ソールは元気なので使用するケースを選べばまだまだ現役でいられそうだ。

ベアフットの感覚が好きだからトレイルはすべてアルトラを履いているけど、やはり耐久性は微妙な気がする。
あと性能以外のところなのではっきり言うと、今季アップデートされた型のカラーリングが全体的にどうかしてるので正直履きたいと思えない。シックなカラーかこのティンプみたいにポイント的に使える統一感あるビビットカラーがいいのに…
知見を広げる意味合いもこめ、一旦は他のシューズも探してみたいと思う。

パカっと大穴が左右共にあいてます

ちなみにペースをセーブしたのでゴール後はかなり余裕があった。
そのためダメージが少なく、翌日から5日間ぶっとおしで毎日色々な山をハイクしたり海を見たりできた。ティンプで歩いても問題は起こらず。

私としてはこの大会から始まったひとつの旅、として捉えている。とても楽しい夏の一週間だった。

昨年の記録

こちらは去年。完走できるか本当に確証がなかった。道中も大半がソロでした。
自身初の8月の大会、そして練習でも経験のない累積標高4000m越え。自分にとって昨夏はこの大会を攻略することが頭の中のほとんどだった。考えられることを全てやった結果、達成できた。この経験で得たものは多く今年につながっている。

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